胃腸の病の患者さんが急増
最近、胃腸の調子が悪いということで来られる患者さんが増えて来ています。
原因はいわゆる「胃腸炎」が多いのですが、胃腸炎はウイルス性もあり、voicyでも度々登場している「ノロウイルス」は特に危険です。
今回は、冬だからこそ気を付けたい、ノロウイルスについて今一度まとめて行きます。
インフルエンザも、ノロウイルスも、covid-19も、冬に活発になる
冬は気温も湿度も下がる季節ですので、様々なウイルスの活動が活発になり、感染しやすくなる季節になります。
これはインフルエンザ、ノロウイルス、そしてcovid-19と、感染しやすいウイルスのほぼ全てに当てはまります。
ノロウイルスについては、だいぶ前ですが266回で詳しく触れておりますので、そちらも参考にしてみてください。
ノロウイルスは胃腸にダメージを与えるウイルスで、吐き気、嘔吐と下痢の症状が最も強く出ます。
実は自分も数年前にノロウイルスに感染したことがあり、大変な思いをしたのを思い出します。
ただし、症状が重く出たとしても、ノロウイルスによって命を落とすことはほとんどなく、長くても発症から3日以内には体内から消えて治ります。
感染したときは体内から出し切る
ノロウイルスは文字通りウイルスですがワクチン等は無く、予防は手洗いと手指消毒の徹底ぐらいしかできず、さらに治療薬も無いので、発症した場合は水分補給をしながら嘔吐や下痢をして体内から出す、という事しかできません。
嘔吐や下痢によって、体内から水分も大量に出て行くため、水分補給だけは欠かさずに行います。
ミネラル分も失われるため、飲むのは必ず、スポーツドリンクかOS-1のような経口補水液にしてください。
特に経口補水液は、体に水分として吸収されるスピードが非常に素早く、飲んでからおよそ15分ぐらいで水分として使われますが、スポーツドリンクはおよそ1時間程度は必要になります。
飲み方ですが、吐き気が凄くて受け付けないというときは、経口補水液を15分おきぐらいのペースで、ペットボトルのキャップ1杯分のお水を飲むようにしてみてください。
もしそれでもそれでも受け付けない場合は、点滴による水分補給が必要ですので、病院に連絡してください。
ちなみに、最近は味がついておいしくなった経口補水液のOS-1が発売され、脱水していなくても飲みやすい、というものが出ています。
経口補水液は脱水状態だと飲みやすく感じますが、脱水していなければ非常に飲みづらく、戻してしまうぐらいの味になるため、自分の体の状態が分かりやすいというのが利点の一つでした。
味つきの経口補水液が出たことで、その違いが少なくなってしまい、個人的には正直あまり納得がいっていません。
食べ物はしっかり加熱する・食事前の手洗い手指消毒を徹底する
ノロウイルスの予防ですが、まず食べ物はきちんと加熱することが大切です。
2枚貝で鍋料理などの主役にもなる「カキ」はノロウイルスの感染源として有名ですが、生食用のカキであればきちんとノロウィルスの除去が確認されているため大丈夫ですが、加熱用のものであればノロウイルスが入っていることがあるため、必ず入念に火を通してから食べてください。
次に大切なのが手洗いと手指の消毒ですが、ノロウイルスは一般的なアルコールはあまり効きません。
全く効果が無いという事はありませんが、インフルエンザやcovid-19ほど完全には殺菌されないため、有機酸が入ったノロウイルス用の消毒液があります。
それを常用するのは難しいと思いますので、例えば駅やお店などの公衆トイレを使用した後は感染のリスクが高いため、そういう場合に使うなど、使い分けられると非常に安全かと思います。
そして、同居する家族が感染した場合、嘔吐したものなどを処理する際には、次亜塩素酸ナトリウムが一番効果的です。
これは台所を掃除するキッチンハイターや、赤ちゃんの哺乳瓶などの消毒に使うミルトンで、これを500ミリリットルの水に、キャップ1杯の次亜塩素酸ナトリウムを入れたものが、消毒に最適な濃度になります。
そして、汚物の上に新聞紙をかけて、その上にその消毒液をかけてください。
新聞紙をかけないとノロウイルスがむやみに飛び散り、消毒が不十分になる恐れがあります。
ノロウイルスはわずか2個だけでも体内に入ると発症するため、出た場合の処理は充分に行う必要があります。
新聞紙をかけて、その上に消毒液をかけ、そして新聞紙ごとくるんで、あとはビニール袋に入れてきちんと縛って捨てれば大丈夫です。
このとき、ビニール袋を二重にするとより安全で、処理の際も手袋があるとさらに予防になりますので、できれば家に常備しておくのがおすすめです。