キーンもズキッも甘い罠?!アイスで起こる頭痛と胸痛の真相#908

冷たいものを食べると頭痛がする理由

先日患者さんと、冷たいものを食べると頭痛がする、という話題が出ました。

夏になると、かき氷やアイスクリームを食べた際に「キーン」と頭が痛くなった経験がある方は多いと思います。

これは俗に、アイスクリーム頭痛とも呼ばれるもので、実は医学的にも「冷刺激誘発性頭痛(れいしげきゆうはつせいずつう)」と言う、れっきとした頭痛です。

冷たいものが喉を通ったときに急に頭痛が起こる現象で、原因としては三叉神経が冷たい刺激を受けることで、脳が「痛み」として誤認してしまう説と、脳の血管が急激に収縮・拡張することで神経が刺激される説の2つが考えられています。医学的に完全に解明されているわけではなく、はっきりとした原因は不明とされています。

ちなみに、偏頭痛持ちの方には特に起こりやすいとされています。

今回は冷たいものを食べた時の頭痛や胸痛について、少しご紹介していきます。

冷たいものが食道をけいれんさせることも

冷たいものを食べたときは、頭痛だけでなく胸がキュッと痛むとか、喉に違和感があると感じたという経験がある方もいると思います。

それは食道がけいれんしている状態で、冷たい飲食物が食道を急激に冷やし、食道の筋肉が一時的にけいれんを起こしているのです。

例えば、氷やシェイク、フラペチーノのような半冷凍状態のように極めて冷えた飲み物を一気に飲んだときに起こりやすく、数分で治まることが大半です。

ただ、逆流性食道炎のある方はこの症状が出やすい傾向にありますので、もし頻繁に起こる場合や不快感が長く続く場合には、消化器内科を受診することをおすすめします。

痛みが数分で収まらない場合は病院へ

受診するタイミングですが、アイスクリーム頭痛も食道けいれんも、基本的には一時的なものですので特に心配は不要ですが、前述のように痛みが数分で治まらない場合や、不自然に繰り返し起きる場合、温かいものを食べても同じように痛むというときには、胃腸科や内科の受診を検討してください。

まれに、冷たいものを食べた後に胸の奥がずきずきと痛むとか、症状が後からぶり返すこともありますので、その場合は異常と捉えて、お医者さんに相談してみてください。

また他には、冷や汗を伴う強い胸の痛みや、息苦しさ、左肩や腕への放散痛がある場合は、狭心症のような循環器系の病気の可能性もありますので、循環器内科での診察も検討していただければと思います。

アイスクリーム頭痛の場合では、頭が痛む頻度が異常に多いとか、一度起きたら長く続く、視界がぼやけるといった症状がある場合は、脳の問題が疑われますので、頭痛外来での相談をおすすめします。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属