夜のゼーゼーさようなら!気管支喘息との上手な付き合い方【リスナーからの質問】#946

喘息と付き合っていくために

先日コメントにて、咳が2週間治らずに気管支喘息と診断されました、と頂き、大人になってから突然アレルギーを発症したということで、とてもショックを受けたようです。

大人になってからアレルギーの症状が出ることは珍しくなく、気管支喘息もその一つです。空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起き、何らかの刺激でキュッと細くなるという病です。

今回はこの気管支喘息について、詳しくまとめて行きたいと思います。

気管支喘息の症状

気道に炎症が起き、それが強くなることで、独特のヒューヒューという音が鳴ったり、息苦しさや胸が詰まる感じが出やすくなります。

また、発作のように波があるのが大きな特徴になります。

喘息というと子どもの病気というイメージを持つ方も多いですが、小児喘息は成長とともに気道が太くなり、肺も大きくなるため、中学生や高校生あたりの年齢になるとおよそ7割ほどは症状が出なくなるとされています。

ただ、気道の敏感さは残るため、大人になってから不用意にアレルギー物質に触れてしまって再発したり、感染症やストレスなどがきっかけで免疫力が落ち、再発することもあります。

大人の喘息が起こる要因

今回のコメントでもいただいた、大人になってから発症する喘息は、アレルギーだけではなく生活習慣や生活環境、ストレスなどが複雑に絡んで起きている可能性もあります。

例えば日頃から刺激物を多く摂ってしまって誘発されるとか、風邪やインフルエンザ、コロナなどの感染症をきっかけに気道の炎症が続いてしまい、結果として気管支喘息になるという場合もあります。

また当然、喫煙や職場の空気環境によるものや、女性であれば女性ホルモンの変化によって喘息が起こるということもあります。

た咳が続く病気は喘息だけではなく、百日咳やCOPDなど、別の病気の可能性もあるため、例えば夜だけ症状が悪化するとか、良くなったり悪くなったり波があるような場合は、早めに呼吸器内科のお医者さんに診てもらっていただければと思います。

症状を抑える治療を継続して行う

気管支喘息の治療ですが、気道の炎症が直接的な原因ですので、まずは吸入ステロイドによって炎症をコントロールしていき、必要に応じて気道を広げる吸入薬やアレルギー薬を併用します。

もし急に症状が悪化したような、急性の発作が起きた場合は、気道そのものを素早く広げる薬が必要になり、重症化する場合は飲み薬のステロイドや注射薬を使うこともあります。

症状が落ち着いたからと言って吸入薬を使うのを辞める方も多いですが、炎症は症状がなくても治っておらず、むしろ進行しているため、お薬を辞めると急な悪化を招く危険があります。

ですので、お医者さんからの指示が出るまでは、しっかりと継続することが重要です。

一般的には、症状が収まってからもおよそ3ヶ月は吸入のお薬を続けて、気道の炎症をしっかり鎮めていきます。

もし万が一、きちんと話せないほど息くなったとか、吸入しても症状が治まらず改善しないといった場合は、極めて危険な状態ですので迷わず救急車を呼んでください。

喘息とうまく付き合うために

喘息発作は、大人になってから一度発症してしまうと、完全にゼロにすることは不可能な病になります。

ただ、発作が出にくく、そして出たとしても悪化しにくい環境や生活を整えることは十分可能です。

例えばタバコの煙は喘息にとって大敵ですので、本人が吸わないのはもちろんのこと、副流煙を浴びない環境づくりも不可欠になります。

アレルギーによる場合は、ハウスダストやカビ対策としてこまめな掃除ももちろん有効です。

そして、発作が起きたときに、自分がどんな時に起きたのかをメモしておくと予防に役立ちます。

例えば風邪のあとの咳が長引いくとか、睡眠不足で喉が荒れやすい、運動後にゼーゼーしやすいなど、自分に起きる症状のパターンが分かると、対策も取りやすくなります。

運動も大切ですが、無理に激しいものはせずに、ウォーキングから始めて、吸入薬を事前に使ってからストレッチなどのウォーミングアップを長めにして、それから歩き出してみると、お薬が効き始めたところからウォーキングができるため、発作の大きな予防になります。

そして日頃から大切なことではありますが、ストレスが喘息を誘発することもありますので、ストレス対策も喘息予防として心がけていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属