突然の高熱が出たとき
先日、ある仕事のお話で、先方が突然高熱が出てしまい、一旦取り止めとなったことがありました。
その後は無事に回復され、仕事も進んで行きましたが、その高熱の原因がインフルエンザやコロナではなく、はしか、麻疹でした。
今回は身近であったこのお話を元に、久々に麻疹について取り上げてみたいと思います。
麻疹という感染症
麻疹は感染症の一つで、かつては子どもの頃にかかる代表的な感染症のひとつと考えられていました。
非常に感染力が強い病で、空気感染、飛沫感染、接触感染と、ほぼあらゆる経路で感染し、同じ空間にいるだけでもうつる可能性があります。
日本では2015年、世界保健機関から排除状態と認定され、日本国内では持続的な流行がなくなったとされましたが、実は海外から持ち込まれ、流行するケースは現在でも起こり得ます。
実際に、海外渡航後に発症した例は、去年で265例、2026年2月中旬現在で32例も報告されています。
特に年末年始など海外渡航が増える時期の後に患者数が増える傾向があり、日本ではかからない病気ということは全くありません。
驚異的な感染力と典型的な症状
麻疹の潜伏期間は約10日から12日程度で、症状としてはまず微熱や咳、鼻水、目の充血といった風邪のような症状が出ます。
その後、一旦熱が下がりかけますが、そこから再び高熱が出て全身に発疹が広がるという、二段階の経過をたどるのが典型的です。
また特徴的なのが、頬の内側に白い斑点が見られることがあり、これが診断の手がかりになることもあります。
最も強い感染力を持つのは、最初の風邪のような症状が出ている時で、最も人に移しやすい時期とされています。
小さいお子さんでは、風疹や突発性発疹、溶連菌感染症でも似たような症状が出ますので、疑わしい場合は、すぐに医療機関に相談してください。
予防の基本はワクチンと免疫確認
麻疹は免疫力が低い方、下がっている方は非常に注意が必要で、万が一家庭内に麻疹が持ち込まれてしまったらほぼ確実に感染してしまいます。
もし家庭内に感染者が出た場合は、接触から72時間以内であればワクチンで発症を防げる可能性があるうえ、免疫グロブリン療法というお薬によって発症を抑えるということができますので、もし疑いがある場合はすぐに連絡していただければと思います。
そして、麻疹予防の基本となるのは、やはりワクチンです。
日本では麻疹と風疹を組み合わせたMRワクチンを2回接種することで、十分な免疫が得られるとされています。
しかし、過去に1回しか接種していない世代や、接種歴が不明な方もいるうえ、排除状態が続くことでウイルスに自然に触れる機会が減り、免疫が弱まっている可能性があります。
その状態で海外に行く場合は、感染のリスクがかなり高いと言えるのです。
ですので、今後に海外渡航の予定がある場合や、MRワクチンの接種歴がはっきりしない場合は、血液検査で抗体価を確認し、必要に応じて追加接種を検討すると安心です。
実際に、知り合いのお医者さんで5年に一度のペースで必ずMRワクチンを打つという方もいますので、不安があれば検討してみてください。
免疫のリセットという問題
ちなみに、今回取り上げるきっかけとなった方とのお話のなかで、麻疹にかかれば花粉症が治るのでは、と友達に言われた、とおっしゃっていました。
この理由は、近年注目されはじめた、麻疹による免疫のリセットと呼ばれる現象によるものです。
麻疹のウイルスは体内の免疫記憶に影響を与え、これまで獲得してきた他の感染症に対する免疫を弱めてしまう可能性がある、というものです。
麻疹からの回復後もしばらくの間は免疫力が落ちてしまい、別の感染症にかかりやすくなる可能性があるのです。
この働きを逆手にとり、花粉症はアレルギー反応で免疫の暴走によって起こっているため、免疫力が落ちるということは花粉症の症状も和らぎ、治って行くのでは、という説ですが、これはエビデンスは全くありません。
麻疹は感染力が極めて強く、症状も非常につらいものですので、できる限り予防していただければと思います。
