子供の病気と思ってたら違う?大人の方が辛くなりやすい感染症#983

“子どもの病気”と軽視しないように

前回、りんご病について取り上げましたが、その回にコメントを頂きました。

お子さんが通う保育園にてりんご病が流行していて、親御さんが夫婦そろって感染してしまい、子どもたちよりも私たちのほうが大変な感じがした、というものです。

前回も少しふれたように、りんご病は大人のほうが長引くケースがあり、意外と大変な感染症の一つです。

実は他にも、子どもの病気と思われそうな感染症でも、大人がかかると症状が強く出たり長引いたりするものがあります。

今回は前回も関連して、子どもも感染するが大人が感染した時のほうが大変な感染症について、ご紹介してみたいと思います。

免疫反応の違い

まず、大人と子どもで違いが出るのは、感染症において言うと免疫力と免疫反応の違いが非常に大きいです。

子どもは初感染で症状が出やすい一方、大人は免疫が発達している分、炎症反応が全身に強く現れやすいのです。

今回のきっかけとなったりんご病で言うと、関節に熱を持ったような感じがあり、実際に関節炎となったり、頭痛が出ることがありますが、これも免疫反応の違いによるものです。

その次に、体の成熟度や妊娠などの要素が関係します。

中でも大きな違いが臓器で、例えば思春期以降になると精巣や卵巣といった部分で炎症が起きます。

妊娠については風疹の回などでも触れたように、妊娠初期に感染すると先天性風疹症候群の原因となり、胎児に重大な影響を及ぼす可能性があるほか、前回取り上げたりんご病も妊婦さんにおいては非常に注意が必要な感染症になります。

感染症は全般的に、大人で初めて感染してしまった場合は免疫がないため、ほぼ確実に発症し、肺炎や脳炎などの合併症のリスクも多く、重症化しやすい傾向があります。

つまり、子どもの頃に感染していれば軽く済む病気でも、大人では初対面のウイルスとして強く反応してしまう、ということが、症状の違いや、重症化の違いの一因となっているのです。

全身に症状が出る感染症に注意

これを踏まえて注意するべき感染症は、ウイルス性で全身に症状が出やすい病気です。

前項を踏まえると、大人は免疫ができている分、全身の各部で戦いが起き、炎症となります。

りんご病のほかだと、風疹と水疱瘡が代表的です。

水疱瘡は9歳以下のお子さんに多いですが、大人になって初めて感染すると肺炎を伴うなどの重症化リスクがかなり高い感染症になります。

お子さんが水疱瘡から肺炎になったという例はほぼ無いのに大人では起こるのは、ウイルスが神経に潜み、成人してから帯状疱疹と言う形で発症することがあるためです。

言い換えれば、水疱瘡は症状が無くなるだけで、完全に治るという病気ではありません。

帯状疱疹ワクチンの呼びかけがされると思いますが、こうしたことからもとてもおすすめなワクチンになります。

他にはおたふく風邪や百日咳も注意が必要な感染症になります。

おたふく風邪は大人がなると精巣炎や乳腺炎のリスクが高く、百日咳はお子さんだと典型的な発作が起きますが、大人の場合は発作らしき咳が出ないという特徴があります。

ただなんとなく咳が長引いている風に思われてしまい、むやみに感染を拡大させるという危険がありますので、こちらも注意が必要です。

大人の感染症対策はワクチンと確認が鍵

こうした大人の感染症リスクに対して最も有効な対策は、ワクチンによる予防です。

厳密に言うとりんご病と百日咳にはワクチンはありませんが、風疹や麻疹、水痘はワクチンで予防可能であり、重症化リスクを大きく下げることができます。

新型コロナの際にはワクチンについての議論がされ、様々な考えがあると思いますが、大人になって重症化しやすい病気であれば、子どものうちからワクチンを打っておくことがベストだと思います。

例えば、自分がどのワクチンを接種しているか不明だったり、免疫があるか分からないという場合は、抗体検査で確認することも一つの方法です。

一昔前は、言ってしまえばそこら中にウイルスがあり、一度感染して治ったあともウイルスにさらされており、免疫が常にありましたが、近年はそうした自然感染の機会が減り、免疫が維持されていないという時代になっています。

ワクチンは大人になってからでも追加接種は可能ですので、不安があれば是非検討していただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属