左を向いて寝ると悪夢を見る?
前回、逆流性食道炎のお話の中で「体の左側を下にして寝る」という風にお伝えしました。
左側を下にすることで、胃の中のものが物理的に逆流しないように、向きを整えられるということですが、これに関して「左を向いて寝ると悪夢を見る、と新聞で読んだことがある」といったコメントを頂きました。
また別の方からは、心臓を圧迫すると怖い夢を見るなど、いわゆる「寝方」によって怖い夢や嫌な夢を見る、というお話もいくつかありました。
今回はこの、寝るときの姿勢、寝方について詳しく触れていきたいと思います。
理想の寝方は仰向け
通常、人間は体の表側を上に向けた、仰向けで寝ることが多いと思いますが、実はこれは一番理想的で、正しい寝方です。
背骨は自然にするとS字状になるため、できればそのS字のカーブを維持したまま、仰向けで寝るのが最も自然で健康的とされています。
自然な形がとれるということは、体に余分な力や負担がかかっていないことになり、血流が一番スムーズに流れます。
栄養や酸素が流れたり、逆に老廃物が排出されたりといったことはもちろんですが、背骨が自然な形になるため猫背を防ぐ効果があるとか、また顔が上に向くことで肌がシーツなどに当たらず、顔の皮膚に刺激を与えることも無く、メリットがたくさんあります。
言い方を変えれば、横を向いて寝るということは丸まりやすくなり、猫背になりやすいとか、顔の皮膚がベッドやシーツに付き、しわやたるみ、吹き出物の原因になり得ます。
ただ、仰向けで寝るデメリットもあり、例えば骨盤の位置が少し引っ張られる形になるため腰が痛くなるとか、特に舌は重力の影響を受け、落ちてしまい気道をふさぐことがあります。
気道がふさがると、いびきがひどくなるとか、睡眠時無呼吸症候群になる恐れもあるため、全員の方が常に仰向けで寝るのが正しい、ということはありません。
逆にうつぶせで寝ると、舌は喉ではなく、表側となる口のほうに向かって行くため、気道がふさがることが無く、呼吸がしやすくなりますが、首らへんに負担がかかるため肩こりの原因になります。
横向きで寝るとどうなる
今回の本題とも言える、横を向いた状態での寝方ですが、まず前回触れたことを簡単におさらいをすると、胃や消化管の出口は右側にあるため、逆流性食道炎がある場合は左側を下にすると上がって来づらくなるため寝やすく、炎症も防げるということです。
これを踏まえて、まず心臓に負担がかかるという点ですが、実はこれは実際に一理あることです。
心臓の調子が悪い人や心臓に持病のある人は、左側を下にして寝るとかなり辛く、息苦しさや胸の苦しさを感じるということがあります。
その場合はかなり重大な状態ですので、早めに検査をすることをおすすめします。
心臓の病気が無い人は、左側を下にしてもそれほど重い負担にはならないため、もし症状が無ければ特に気にしなくて大丈夫です。
次に、左側を下にして寝ると悪夢を見るということですが、これは2004年の研究で、右側を下にして寝た場合は15%の人が悪夢を見て、左側を下にして寝た場合は41%の人が悪夢を見た、ということに由来しているかと思います。
ただ、この研究は総数で言うと60人程度でのデータなため、一般的に正しいと当てはめられるかというと、正直難しいと思います。
左側を下にして寝ると悪夢を見る、というのはあまり根拠がなく、偶然だと思って差し支えないと思います。
寝返りは血流を良くする行為
最後に、寝返りについてですが、一言で言うと血流をよくする行為です。
仰向けでもうつぶせでも、同じ姿勢で居続けると血流が悪くなるため、いわば「凝ってくる」状態になります。
ですので、寝返りを打って血流をほぐしていきます。
たまに、寝返りを打つのは疲れがとれていない証拠、という風に考える方もいますが、問題なく睡眠をとれているのであれば特に不調ではないため、安心して大丈夫です。