近年増えている逆流性食道炎も生活習慣病?!#721

逆流性食道炎の患者さんが増加

最近、体感ですが逆流性食道炎の患者さんが増えているようです。

少し調べてみると、一部では逆流性食道炎も生活習慣病の一種、という言い草もありました。

また実は個人的にも逆流性食道炎の傾向があり、最近は特に症状が強くなってきています。

以前、612回の配信で一度取り上げましたが、今回は今一度まとめてみたいと思います。

胃酸が食道まで逆流する

逆流性食道炎とは、文字通り胃酸が逆流して食道で炎症が起きる、という病のことです。

具体的には、喉の痛みや違和感がしたり、酸っぱいものが上がって来る感じや、胸が詰まる感じがするような場合は、逆流性食道炎の可能性が高いです。

喉にも症状が現れるため、例えば声枯れや咳といったことが起きる場合もあります。

炎症ですので、症状が進行していくとどんどん悪化していき、最終的には食道がんになる恐れもあるため、たとえ軽い症状だとしても放置せずに、治療することを推奨します。

この逆流性食道炎は年齢が高いと発症しやすいですが、それは加齢とともに胃の一番上と食道の間を締める機能が緩んでくるので、自然と逆流しやすくなってしまうためです。

治療としてはまず胃酸を止めるお薬を使いますが、あくまでも上がって来る胃酸を抑えて炎症を治すという方法ですので、お薬を飲むのを辞めてしまうと再度胃酸が増え、上がりやすくなって炎症が起きるため、根本的な治療は難しい病です。

逆流性食道炎の原因

胃酸が上がってくる原因は主に3つあり、一つ目は前項で触れたように、食道と胃の継ぎ目となる部分が緩み、胃酸が食堂に入りやすくなってくるというものです。

この部分は筋肉によって締められているため、加齢での筋肉の衰えによって、ここも緩んできます。

また加齢だけではなく、服用中の何らかのお薬の影響によって緩むということもあります。

2つ目の原因が、お腹に圧が不必要にかかっていて、胃酸が押し出されるような形になっているため、食道まで上がっているという可能性です。

これは例えば早食いや食べすぎによって圧がかかるということですが、早食いをしたりご飯を食べすぎると、胃はその分伸びて行きますが、消化が始まると今度は逆に縮んでいきます。

この縮む作用によって、胃に圧力が一段とかかり、これで食道まで押し出される、ということです。

早食いや食べすぎ以外だと、スマホや携帯の操作などで、前かがみの姿勢を長時間続けることでも、胃には負担になっており、逆流性食道炎の一因とされています。

ちなみに厳密には圧力ではありませんが、食後すぐに横になって寝ることでも、物理的に胃酸が動くため、逆流してくることがあります。

最後の原因が、単純に胃酸が大量に分泌され、行き場を失った胃酸が食道にあふれるというものです。

胃酸が多く出る原因は、食事の内容によるものです。例えばアルコールや脂分、たんぱく質がたくさん入ってくるとその分胃酸を出して消化にかかるため分泌量が増えます。

またストレスで胃腸が弱くなってしまうとか、敏感になってしまった場合でも胃酸が出すぎて逆流性食道炎になるケースもあります。

ストレス、食生活を改善して治療を

前述のように、逆流性食道炎は胃酸を止めることで炎症を治していく、という方法しか治療法がないため、ストレスや食生活を改善していくことが治療につながります。

そう考えると、生活習慣がこの病の引き金であり、生活習慣病の一つという考え方もそれほど間違いではないと言えます。ですので、もし心当たりがあれば是非、改善してみてください。

まず早食いは厳禁で、腹八分目にしてください。

ちなみに脂肪がおなかに乗っていることでも圧力がかかるため、肥満の改善ももちろん大切で、もっと言うとお腹をきつく締めるようなベルトやパンツを履き続けることでも逆流性食道炎の一因となるため、もし症状がある場合はゆったりした服装で過ごすのをおすすめします。

食事の内容についてですが、アルコールや揚げ物、炭酸飲料は注意が必要です。コーヒーやチョコレートも、胃酸を多く出しやすい食べ物ですので、食べ過ぎないように意識してください。

次にこちらも前項で少し触れた、食べた後に横になるということですが、もし横になる場合は体の左側を下にするのがベストです。

右側を下にすると胃の中のものがこぼれやすくなり、逆流する一因になるため、左側を下にするようにしてください。

症状が重いときなどは、上体を少し起こして、物理的に胃酸が上に行かない姿勢をとるのももちろん有効です。

そして最後はやはり、ストレス対策をきちんとしてください。

腸もですが、胃もストレスの影響を強く受け、胃酸にもかかわってくるため、普段からストレスをため込まず、そしてご飯を食べすぎずに、上手に解消していくのが何よりも大切になります。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属