喉の違和感は逆流性食道炎かも?#612

中高年から増えてくる「逆流性食道炎」

今回はまた一段と、趣向をガラッと変えて「逆流性食道炎」についてのお話です。

名前は聞いたことがある方も多いと思いますが、逆流性食道炎は加齢とともに現れやすくなる病で、男女問わず40代を超えたあたりから増えてくるという特徴があります。

簡単に言うと文字通り、胃の中のものが逆流して、食道を傷つけてしまい炎症になる、というものです。

喉の微妙な違和感は、この逆流性食道炎の可能性があります。

胃酸が食道を荒らしてしまう

逆流性食道炎は、何らかの原因で胃酸が多く出てしまい、それが逆流して食道に炎症を起こすという病です。

食道が荒れるということは、口の中がすっぱい感じがしたり、妙な胸やけ感がする、喉の違和感や声の枯れ、肺や心臓に異常がないのに咳が止まらないと言った症状になって現れます。

また食後に、胸やみぞおちが痛むということもあり、一概に食道周辺のみに症状が現れるとは限りません。

逆流性食道炎は成人の全体の1割から2割ほどの方に経験があるとされ、年齢を経るごとに割合が増えてきています。

原因としては、食道の筋肉の動きが落ちてしまい、上がってきた胃酸が戻りづらくなって食道の表面に残ってしまって炎症になるとか、胃に食べ物が多く残って胃酸が上に押し上げられてしまうことで食道が荒れてしまうことで炎症になります。

また場合によっては体質で生まれつき胃酸が強いことで、起きているケースもあります。

生活習慣を変えることも治療につながる

逆流性食道炎の治療ですが、まずは胃酸の量を抑えて炎症をひかせていきます。

お医者さんから処方されるお薬もありますが、市販のお薬で「ガスタ−10」というお薬があります。

これは胃酸を止める働きがあるため、胃酸が不自然に上がってくる感じがするというときに使うと、症状が落ち着いていきます。

胃酸の働きを抑えても不十分な場合などには、胃の運動を改善するお薬を使う場合もあります。

しかし、胃酸が逆流するのは生活習慣の影響も大きいため、治療をして炎症を抑えても再度起きる可能性があります。

例えば脂っこいものを多く食べる方や、そもそもの食事量が多い方は、必然的に分泌される胃酸量も多くなるため、逆流性食道炎のリスクは高いと言えます。

またアルコールや炭酸飲料が頻繁に摂る方も、そういったものの刺激で食道が荒れやすい環境にありますので、そういった生活習慣を改善することも大切です。

特に、何かを飲食した直後に逆流性食道炎の症状が出た場合は、その食べ物の量を減らしてみてください。

脂ものを食べた後に症状が出れば、脂ものを重点的に控える、お酒を飲んだ直後であればお酒の量を減らす、という風にピンポイントで対策するのも一つの手です。

食べた直後に横にならない

最後に、これも一つの生活習慣の改善ですが、ご飯を食べた直後に横になると、物理的に胃のものが逆流するため、逆流性食道炎の引き金になります。

目安としては、食後3時間は横にならないように意識してみてください。

また、コルセットや矯正下着のような、お腹を締め付ける衣服を身に着けている人も、逆流しやすい状態にありますので、そういったものを改善することも治療につながります。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属