市販薬じゃないお薬が、薬局で買える
ドラッグストアやスーパーのお薬コーナーなどには、いわゆる「市販薬」が売られています。
そして、お医者さんの診察を受けた上で、処方箋をもとに薬局から処方されるお薬のことを「医療用医薬品」と言います。
実は、この医療用医薬品の一部は、薬局で販売する事が出来ます。
このことを「零売」と言います。
最近「病院のお薬が処方箋なしで買える」という宣伝が少しずつ出始めていると思いますが、それはこの零売のことを指します。
今回は零売について、詳しくご紹介していきたいと思います。
「処方箋医薬品」と「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」
医療用医薬品には2種類あり、「処方箋医薬品」と「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」に分かれます。
処方箋医薬品は、文字通りお医者さんの処方箋が無ければ入手できないお薬のことで、飲むことで体内の菌を殺す抗菌薬、抗生物質や、血圧、糖尿病のお薬、また精神安定剤や睡眠薬と言った向精神薬などといったものが該当します。
もう一つの「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」は、長い名前ですがそのままの意味で、前述の処方箋医薬品以外の医療用医薬品のことを指します。
具体的には、咳止めや鼻水止めのような症状に効くお薬や、花粉症などのアレルギーに効くお薬が主に該当します
他にはビタミン剤や鉄剤、アミノ酸のお薬のような栄養補給にかかわるもの、そして漢方薬が該当します。
咳止めや鼻水止めなどのお薬全部が処方箋医薬品以外というわけではなく、あくまでも一部ですが、それでもかなりの種類の医療用医薬品が、薬局で誰でも購入できます。
診察を受けずにお薬を買える可能性が
零売の最大のメリットは、時間の短縮です。
例えば、現在何らかの治療中で、一つのお薬が何度も必要になっている場合、使い切る度に病院に行ってお医者さんの診察を受け、薬について伝えて処方箋をもらい、それから薬局に行く、ということをしていると思います。
この時、必要な欲しいお薬が零売にあれば、真っすぐ薬局に行って購入する、ということができるのです。
さらに、薬局が開いていれば問題ないため、病院が休みの日や夜でもお薬を購入できるのも大きなメリットです。
特に先日のようなゴールデンウィークなど、土日や祝日は病院が休みなことが多いですが、薬局の多くは開いている上に、当薬局のように夜8時まで営業しているところも少なからずあります。
病院に行くときは基本的に平日午前やお昼で、休みを取る必要があると思われがちですが、お薬が目的であれば、この零売が非常に便利に活用できます。
10割負担でも処方されるより安価な事が多い
かかるコストについてですが、零売でお薬を買う場合は、保険が適用されず全額自己負担となります。
お薬には「薬価」と言い、厚労省が定めた価格があり、定期的に見直されていますが、これは病院での治療等も含めて考慮した、保険適用の価格で、薬局が販売する分には定めていません。
病院で自由診療の部分は、お医者さんがそれぞれ独自で決めるように、零売のお薬の価格は薬局が独自に決めます。
そう考えると高めに設定されているように思われますが、実は量が少ない場合には零売で買う方が安い事のほうが多いです。
病院から処方箋をもらう場合は、保険適用がされる代わりにお医者さんの診察代や処方箋発行料といった手数料がかかるため、短期間分のお薬で考えると、零売で薬局から直接購入する方が安価に済むことが多いのです。
一方で、1か月分など多い量のお薬になると零売の方が高くなり、保険適用をして入手する方が安価になる可能性があります。もし長期間分のお薬が必要そうであれば、お医者さんに相談してみてください。
零売のお薬はオンライン購入・通販ができない
零売のデメリットは、まず郵送が一切できないという点があります。
市販薬であれば、アマゾンなどネット通販での取り扱いが多く、購入も容易ですが、零売のお薬は郵送ができません。
当薬局でも行っていますが、事前相談をLINEで行ったり、処方箋をオンライン受け付けたりと言ったことはできますが、零売のお薬そのものの郵送はできません。
そして最初に書いたように、全てのお薬が薬局で買えるわけではなく、あくまでも処方箋医薬品以外の医療用医薬品に限定されるため、薬局に行けば必ず買えるというものではありません。
また、零売のお薬であっても、基本的には薬剤師がそのお薬が必要な事情を聴いて、カウンセリングをします。
違うお薬の方が良いか、お薬ではなく再度お医者さんにかかった方が良いかなど、総合的に判断したうえで販売するかが決まり、合っていないと思われる場合は販売しないこともありますので、注意してください。
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