ビタミン摂るならどちらも同じ?医薬品とサプリメント#659

ビタミンのお薬とサプリメントの違い

最近、特に理由は無く偶然だと思いますが、サプリメントの相談が頻繁に着ます。

二日酔い対策からビタミンのお話しまで、なぜかサプリメントについての問い合わせが良く来ます。

そこで気になったのが、ビタミンのお薬とサプリメントです。

ビタミンを補給するためのお薬が存在するのと同時に、ビタミンを一度に多く補給できるサプリメントもあり、あまり違いが無さそうに思えます。

ここで今一度、医薬品とサプリメントの関係についてまとめて行きたいと思います。

サプリメントは成分が入っていること「だけ」が認められている

始めに、はっきり言えば、サプリメントは「飲んでも効果が無い可能性がある」ものです。

市販されているサプリメントは、例えばビタミン1000mgと書いていれば、ビタミンが1000mg入っていることは確実ですが、それを飲むことでどういう効果が得られるかは確認されていません。

つまり、飲んでも特に効果が無い可能性もあるのです。

一方の医薬品の場合だと、お薬に含まれているビタミンがどのように吸収されて、どういう効果をもたらすかまで、正式に認められています。

病の治療のために飲むお薬と、補給のために飲むサプリメントの違いと考えれば、別に大丈夫そうに思えますが、実は少し前に、サプリメントがきちんと溶けて体に吸収されているか、という研究がありました。

その結果では、調べた100種類のサプリメントのうち、40種類あまりが、体にきちんと吸収されていないことが分かりました。

つまり飲んでも特に補給できず、効果が無かったという事です。

これは栄養分によっては、きちんと消化までの工程を考慮して製薬して、そしてきちんと飲まないと吸収されず、効果が無いものがあるためです。

以前、340回の配信で薬の効き方について触れていますが、簡単に言うと、まずは水に溶ける必要があり、次に胃酸で壊れないように保護する必要があります。

医薬品であれば、このことは基本的には第一に考えられていますが、サプリメントではそこまで重視しておらず、飲んで胃酸に落ちただけで壊れる、というものもあるのです。

確実に補給できるのがビタミンのお薬

医薬品だと、同じビタミン量が含まれたものでもしっかりと、全て吸収されるように作られているためコストも高く、入手もスーパーやコンビニではできず、薬局や薬剤師のいるドラッグストアに限定されるのです。

さらに言うと、安全性にも違いがあり、サプリメントは含まれている成分をすべて公表する必要は無く、海外のサプリだと不要な医薬品が混入しているケースもあります。

例えばプロテインの製品に筋肉増強剤のような、タンパク質ではないものを混ぜて販売しているという事もあります。

競技シーンでアスリートとして活躍している方がそうしたものを飲んでしまうと、いわゆる「ドーピング」になります。

そうした事態を避けるために、トレーナーや栄養士さん、スポーツドクターやスポーツファーマシストなどの助言を得ながら、食事や栄養補給は慎重に行うのです。

また、アレルギーのように体に異常が出た場合も、サプリメントだと会社ごとに対応が大きく違うという点があり、万が一の時でもきちんと責任を持ってくれるところもあれば、そうではないところもあります。

医薬品は安全に対しては細心の注意を払っており、販売後も市販後調査と言い、副作用が出ていないか製薬会社が率先して行っている上に、医薬品被害救済制度もあるため、万が一の時の保護はきちんとされています。

プロテインの医薬品は無い

今回のお話しのきっかけとなる、ビタミンについてですが、個人的にはビタミンの補給のためであれば、どちらかというとやはり医薬品のビタミン剤の方がおすすめです。

医薬品で存在せず、サプリメントでしか補給できないのが、先ほど出て来た「プロテイン」です。

アミノ酸という意味では医薬品が存在しますが、かなりコストが高く飲みにくいため、タンパク質の補給をする場合は、サプリメントでプロテインを飲むのが一番確実で低コストです。

次に、海外製のサプリメントは、日本で決められた以上の量が入っていることがあります。

例えばビタミンDは、日本のサプリメントや医薬品では5㎍までと定められていますが、海外製のは25㎍までと定められています。

これは、ビタミンDで健康被害が出ないことが明らかになっている量が100㎍とされているためです。

以前はもっと少ない量で、現在の日本のビタミンDのサプリは以前の基準で作っているため、現在も5㎍しか含まれていないのです。

一概に海外製のサプリメントは危険、ということはなく、海外製のサプリメントの方が良い場合も、わずかにですが存在します。

ただし、安全面ではやはり不安があり、また見分け方も難しいです。

一つは製造会社がきちんとしているかどうか、そしてもう一つは個人輸入をしない事です。

お薬もサプリメントも、個人輸入はかなり危険で、何が入っているか調べられていなかったり、最悪購入したものと完全に違う偽物を送って来る、という事態もあり得ます。

なので、海外製のサプリメントを試す場合は、信頼のおける会社が製造、そして販売していることを確認するようにしてください。

もちろん、不安なことがあれば遠慮なく、薬剤師まで相談してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属