咳にもいろんな咳がある!対処と危険なサインは何?#797

咳止めのお薬が貴重になる大型連休

ゴールデンウイーク中日の今回は、咳についてのお話です。

ゴールデンウイークという大型連休では、実は咳止めのお薬に困るという特徴があります。

実は、咳止めのお薬は地域によって在庫に差があり、お医者さんも日曜祝日が休むことがあるため、融通が利かなくなることもあるのです。

特に近年は新型コロナの影響等もあり、咳止めのお薬は慢性的に不足している状況もあります。

そして当然、咳は市販の咳止め薬で大丈夫な場合と、そうでは無い場合もありますので、注意が必要です。

咳が表す様々な病

まず、咳にはいくつか種類があり、例えば痰が絡まない乾いた咳は、現在の体の中でウイルスがある場合や、初期の気管支炎で主にみられる症状です。

そして、犬吠様(けんばいよう)咳と言い、犬が吠えるような低い音でかすれたような感じになるのが特徴の咳もあります。

クループ症候群、クループ咳とも言い、特にお子さんの気管支炎で起こることが多く、こうした咳は喉の痛み、刺激が強いという特徴があります。

その逆に、痰が多く出る、湿った咳があります。

これはウイルスではなく、細菌に感染した場合で起こりやすく、また慢性的な気管支炎で主に起こることもあります。

次に、発作的に、一度出たら自分の意思ではしばらく止めることができない咳もあります。

いわゆる喘息の症状に代表される咳で、百日咳もこれに該当します。

こうした咳の際、息苦しそうにヒューヒューと音が鳴るのは、気道が極端に狭くなることで、空気が行き来するだけで音が鳴るようになるためです。

そうした音とともに出る場合の咳は喘息などの中でもかなり激しく、苦しい咳になります。

ちなみに、厳密には別の種類の咳になりますが、喘息の症状においては、夜になると起きやすく悪化するという咳も存在します。

また、逆流性食道炎によって、胃酸が上がってきた刺激で咳が出ることもあります。

咳が出る時点で重大な事態のことも

以上を踏まえて、危険な咳についてですが、まず咳が出る時点で極めて危険な状態になっているというケースもあります。

例えば喘息でも、特に重い発作で呼吸困難も伴い、息をするのもやっとな状態は、喘息重積発作と言い、単純に息が出来なくなる状態になりますので、極めて危険な状態と言えます。

これは、アナフィラキシーショックという、何らかアレルギー反応でも起こることがあり、最初は喉の軽い違和感や軽い咳だったのが、そのアレルギー反応が突然急激になり、呼吸困難を伴うほど激しい咳が出る、ということです。

他には、心不全のサインとして咳が出ることもあります。

心不全では、体全体に酸素が行き渡らないことで咳が起きるため、胸の苦しさや息苦しさが強いのが特徴的です。

上記の呼吸困難を伴う喘息重積発作、アナフィラキシーショック、強い息苦しさを感じる咳が出た場合は、どれも命の危険があるためすぐに救急車を呼んでください。

次に、早急に病院に行くべき咳の症状が、まず激しい咳と同時に痰、つばに血が混ざる、血が出てくるような場合です。

これは重い肺ガンや結核、肺塞栓症のような重い病の可能性が高いため、すぐに病院に行って詳しく検査を受け、治療を始めてください。

ちなみに、さほど激しくない咳で、少し血が混ざっているという程度であれば、咳をした拍子に喉の粘膜に傷がついて少し出血した、ということも起こり得ますので、気をつけてください。

そして、なるべく早めに病院にかかって欲しいという場合が、軽くても長期間続いているような咳や、風邪を引いた後に咳だけが全然治らないという場合です。

体質的に、喉や咳の症状が出やすいという方も多いかと思いますが、大体3週間以上咳の症状が続く場合は、何らかの異常が起きていため、お医者さんに診てもらってください。

喘息の初期の症状で、放っておくと慢性化したり、重くなってしまい、前述の喘息重積発作につながる恐れもあるため、不自然に長引いている場合は病院に行くのがベストです。

次に咳と高熱が出る場合も、肺炎の可能性が高いため、少し休んでも治らない場合は病院に行って処置をしてもらうようにしましょう。

最後に乾いた空咳、軽い咳で熱もあまりなく、鼻水などの症状が出ている場合は、一般的な風邪の可能性が高いので、市販の風邪薬を使って安静にして、様子を見てください。

免疫力を高めて咳予防を

最後に、咳の予防と対策ですが、やはり大まかに言えば、規則正しい生活と感染対策をして、免疫力を高めるということに尽きます。

咳においては、ウイルスや細菌による部分も多いため、風邪の予防をするのがポイントになります。

バランスの良い食事、睡眠と言ったことはもちろんですが、おととしなどに新型コロナの回で再三お伝えした、手洗いや手指消毒の徹底も、咳の予防につながって行きます。

タイミングとしては食事の前とトイレの後が重要ですので、意識していただければと思います。

次に、咳は気管支の問題でもあるため、空気が乾燥すると咳の症状は悪化しやすくなります。

普段から咳が起こりやすいという場合は、室内の湿度を40%から60%ほどを保つようにするのがおすすめです。

特に今の時期は、暖かくなり始めてはいますが、空気は乾燥していることもあるので、こちらも意識して気を付けてください。

最後に、タバコは気管支において非常に悪影響ですので、辞めるのが一番安全です。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属