日本初のダイエット薬アライってどうなの?【リスナーからの質問】#796

日本で初めて「ダイエットのお薬」が発売

少し前、紅麹の話題で持ち切りだったころに、発売が開始されたのが「アライ」というお薬です。

これは日本で初めてとなる、ダイエットのための医療用医薬品です。

このアライについて取り上げておりませんでしたので、今回ご紹介していきたいと思います。

脂質を吸収せずに便でそのまま排出する

アライの効果は、簡単に言えば食べた脂質を全く吸収することなく、そのまま便として出す、というものです。

繰り返しになりますが、食べた脂分が、そのまま体外に出る、という効果です。

この効果を持ったお薬は、実は以前から個人輸入されて服用されているケースがいくつかありました。

商品名で言うとゼニカルや、オルリスタットと言い、一部の美容整形外科でのダイエット外来において、処方されたケースもあったようです。

ダイエット効果がある医薬品として認められているということは、言い換えれば実際のダイエット効果もあるという意味になり、1年間服用することで腹囲4.7㎝減ったというデータが明らかになっています。

ですが、アライは購入から非常に大変で、面倒なお薬という特徴があります。

アライの購入方法と服用の注意点

アライを購入するためには、まず購入条件を満たしている必要があります。

18歳以上で、腹囲が男性で85㎝以上、女性で90㎝以上で、これはメタボリックシンドロームの指標と同じ数値になります。

つまりメタボリックシンドロームの指標に満たない方は服用が出来ないということになります。

次に前提条件として必要なのが、購入の3ヵ月ほど前から生活習慣の改善の取り組みをしていることと、必須条件として購入の1ヵ月ほど前からの生活習慣改善記録の提出です。

どちらも自己申告にはなりますが、提出する必要がある生活習慣改善記録は、アライのホームページに必要項目が掲載されており、日付と体重、腹囲と言ったデータはもちろん、食事内容や運動量まで、詳細に記載する必要があります。

次に、服用時には重大な副作用があります。

前述のように、アライは脂分を吸収せずにそのまま排出するため、腹痛や下痢、お腹の張りと言った症状が起きるのはもちろん、便漏れや油漏れが意図せずに起こることもあります。

例えば、便意ではなくおならかと思って気を抜いていると、便や油が出てしまう、ということは高い確率で起きる、とされています。

さらに言うと、全く気付かないうちに油が出ていた、ということもあります。

こうした副作用は飲み始めの2週間ほどで多く起き、それ以降を経過すると感覚で違いが分かるため、対処がしやすくなります。

そうしたことを踏まえて、脂分が少ない食事を中心にして、脂分の吸収を大幅に抑えて、痩せていくという流れになります。

そのほかの副作用で言うと、脂分の吸収が減るということは、皮膚に必要な脂分も減るため、肌が乾燥しやすくなるという点があります。

ですので脂溶性ビタミンも同時にとって、お肌の脂分は確保するのがベストです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属