もし火事を見つけたら、命を守る行動と絶対やっちゃだめなこと#909

火災に遭遇したら

先日、娘が働く会社で小規模ながら火事が起きました。

娘は第二発見者だったようで、消火にあたって事なきを得ましたが、とてもパニックになって大変な目に遭ったと言っていました。

今回はこのお話から、医療健康とは離れますが火事に遭ったときについて、少しまとめて行きたいと思います。

まずは知らせること

火災に遭遇した際は、一人で何とかしようとしないでください。

多くの人がいる場所であれば、まずは周囲に知らせ、危険を共有することが最優先となります。

慌てず冷静に向かって、できれば火元を確認して、周りに協力を呼びかけるとより対処がスムーズになり、被害を最小限に抑えられます。

そして119番へ通報してください。通報時には住所と火災の場所、火の状況、怪我人の有無を伝えますが、通信指令員が質問してくれるので、慌てずに指示に従って答えます。

通報をしたら、可能であれば初期消火も行いますが、火が大きくなる場合は無理せずに避難して、命を守る行動を最優先にしてください。

初期消火は無理をせずに

初期消火についてですが、火が小さいうちに行うことが基本で、大きいようであればすぐに避難することを心がけてください。

火が小さい場合で、もし消火器があれば使用して、消火器がない場合は濡れた毛布や大きめのタオルなどで火を覆って、酸素を遮断して消火を試みます。

ただし、火が天井に届いている場合、火は小さくても煙が充満している状況では、初期消火は危険ですので、速やかに避難してください。

避難時には、煙を吸わないように姿勢を低くして、口元を濡れたタオルやハンカチで覆って動いてください。エレベーターは使わずに、非常階段を利用して逃げます。

万が一、火の手の回りが早いなどでどうしても避難できない場所は、密閉できる部屋に入って、ドアの隙間を濡れたタオルで塞いで、助けを呼びます。

火災時に絶対にやってはいけないこととは

火災時に、絶対に避けるべき行動としては。まず有名ですが天ぷら油の鍋に引火した時に、水をかけることはしないでください。

これは水が油よりも低い温度で蒸発するため、油鍋の中に水を入れた瞬間に蒸発し、爆発するように油が飛び散り、火が爆発的に広がるためです。

油火災には消火器を使用するか、濡れた布でそっと覆うのが正しい対応です。

そしてもう一つ、電気の火災では、感電の危険があるため、こちらも水はかけないでください。

まずはブレーカーを落として、それから電気火災対応の消火器を使用します。例えば電子レンジなどの機器からの発火の場合は、扉を開けると空気が入って火が広がるため、扉は閉めたままで対応します。

そして、前述と繰り返しになりますが煙が立ち込めている状況で無理に消火に向かったり、消火の道具が無いまま火に向かうことは極めて危険です。

特に煙は吸い込むことで火よりも命に関わることが多く、煙による一酸化炭素中毒には充分注意してください。

一酸化炭素は無味、無臭、無色で気づきにくく、吸い込むことで命に関わる危険がありますので煙が多い場合はとにかく逃げる判断をしてください。

火災後の体調異変に注意

ちなみに、火災時の高温の空気を吸い込むことで、気道が火傷を負うことがありますので、火災後に不自然に咳が続いたり、喉の違和感・声枯れがある場合は耳鼻咽喉科を受診します。

もちろん皮膚に火傷を負った場合も同様に、赤みや水ぶくれがある場合や、顔や関節の周囲に熱風が当たった時などは、怪我が深刻になることがありますので、早めに医療機関で診てもらってください。

火災によるダメージは時間が経ってから悪化することもありため、体調に異変を感じた場合は、油断せずに必ず受診するのがベストです。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属