注射で痩せるはどこまで本当?#925

ダイエット注射は本当なのか

最近、SNSやネット広告で、スルリム注射とかダイエット注射と言った言葉を見かけます。

ダイエット注射なるものは一昔前から存在しており、かつてはL-カルニチンやα-リポ酸を用いた「脂肪燃焼注射」で、脂肪酸をエネルギーに変える役割を持つ成分を体内に取り込み、運動時の脂肪燃焼をサポートしてダイエットしていくというものでした。

体重やBMIの軽度な減少は確認されているものの効果は非常に小さく、注射だけで劇的に痩せるわけではありません。

ただ、最近登場してきたのが、脂肪溶解注射と、GLP-1受容体作動薬という新しいタイプの物です。

今回はこれらのダイエット用の注射について、詳しくまとめてみたいと思います。

脂肪溶解注射とは

最近広告で見かけるダイエット注射の大半は、この脂肪溶解注射を指しています。

前述の脂肪燃焼注射はあくまでも運動時の脂肪燃焼をサポートするという仕組みですが、これは脂肪の細胞に直接注射して、その部位の脂肪を溶かして減らすというものです。

主成分はデオキシコール酸というもので、日本では未承認のものです。

主に部分痩せに適しており、顎下への使用は日本でも認められておりますが、顎下以外への使用は承認されておらず、また病院ごとに様々なアプローチがあり、注射のレシピにも差があり、品質に大きく違いがあります。

医薬品であれば当然品質は同一ですが、添加物などに違いがあるため、安全性は成分の濃度、製剤の質や使用する部位によって差があります。

また、1回の注射で大幅な減量はできず、2〜4回の施術が必要な場合が多く、施術後の腫れや痛みが一定期間残る可能性があるためダウンタイムを考慮する必要があるほか、左右差が起こるのリスクもあります。

話題のGLP-1受容体作動薬「マンジャロ」

もうひとつ注目を集めているのが、GLP-1受容体作動薬というものです。

「マンジャロ」という名前で出ているのが有名ですが、糖尿病治療薬として開発されたお薬です。

およそ数ヶ月から1年ほどで、体重が10%から20%ほど減少するというデータがあり、ダイエット目的での使用が広がっています。

仕組みとしては食欲を抑えて、少量の食事で満腹感を得るというもので、摂取カロリー量を下げて体重減少が期待できるというものです。

ただし言い換えれば、あくまでも満腹感が得られるだけですので、満腹感があってもどんどん食べてしまうというタイプの人は全く効果がありません。

また、副作用が多いのが特徴で、吐き気や便秘、まれに膵炎や胆石など重篤な症状が出ることも報告されています。

さらに、突然使用を中止すると食欲が一気に戻りやすく、リバウンドのリスクが高いため、使用を辞める際は徐々に減らして、段階的に辞めていく必要がありますので、注意してください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属