インフルエンザのお薬を予防として使う選択
先日、お子さんの保育関係のお仕事をされている方から、インフルエンザのお薬についてコメントを頂きました。
今まさにインフルエンザに感染されてしまったようで、大変な事態となっているようですが、そんな中でインフルエンザ治療薬のイナビルの説明書に、予防ができると書いてあるのを見かけ、実際のところどうなのか、という内容です。
今回はこのコメントから、インフルエンザのお薬の使い方について、詳しくご紹介していきたいと思います。
インフルエンザ治療薬で予防
いきなり今回の本題に入りますが、インフルエンザの治療薬は基本的には予防として使用することができます。
現在、インフルエンザの治療薬には、よく処方されるものでタミフル、イナビル、リレンザ、内服薬のゾフルーザなどがありますが、いずれも症状のない人に対して予防的に使うという方法は、説明書にある通り認められています。
つまり、身近にインフルエンザ患者が出た際などで、先に薬を飲んで自分が発症するのを抑える、という使い方が可能なのです。
具体的に言うと、タミフルでは1日1回飲むのを7日から10日続けるとか、イナビルやリレンザでは吸入で同様の期間使うことで、効果が得られると確認されています。
また、ゾフルーザは1度飲むと約10日間の予防効果が得られるとされています。
これらの薬はいずれも、ウイルスそのものを殺すのではなく、体内で増えないように抑える薬ですので、万が一感染しても症状を出さないようにする、発症予防の役割ができるのです。
ですがこうした使用方法は、耐性ウイルスの問題があるため勧められていません。
耐性ウイルスが生まれる可能性と副作用の問題が
実は日本は世界的に見ると、インフルエンザ治療薬の流通量、使用量が多く、むやみに予防目的で使用してしまうと、薬が効きにくいウイルスが生まれてしまうリスクが高くなるのです。
そのうえ、健康な人が使用する場合の副作用の問題もあるほか、予防として処方する場合は保険適用外ですので費用負担が大きくなるという点もあります。
以上を踏まえると、健康な人が予防としてインフルエンザ用のお薬を服用するのは基本的には避けて、ワクチンによる予防をするのが推奨されます。
予防の基本はワクチンで
まとめると、基本としてはワクチンによる予防がベストで、ワクチンは3~6カ月ほどの期間、重症化を防ぐ効果が安定して得られます。
もし、インフルエンザ用のお薬を予防として使う場合は、万が一症状が出てしまうと生活や進路などで重大な影響が出る場面などのような、非常に限定的な場合のみ使用するのが望ましいです。
例えば、数日後に受験や面接などがある場合のような、絶対に休めない重要行事の直前の時に飲むのは効果的で、実際にそういう方も見かけます。
今後数日、10日間だけどうしてもかかるわけにはいかない、といった状況でのみ使うようにして、基本はワクチンを打って予防するのが安全ですので、もし不安がある方は接種を検討していただければと思います。
