マイコプラズマ肺炎に要注意
先日からインフルエンザやノロウイルスについて取り上げましたが、さらにじわじわと、静かに増えてきているのがマイコプラズマ肺炎です。
「マイコプラズマ」という細菌による感染症のことで、一般的な肺炎は咳と同時に高熱が起こりますが、マイコプラズマ肺炎は発熱よりも異常なほど長引く咳があるのが特徴です。
熱は微熱程度で済むことも多く、咳が出ていてもそのまま学校や仕事へ行き、気づかないうちに周囲へ感染を広げる、という可能性があるのです。
この特徴から、歩く肺炎と呼ばれることもある、マイコプラズマ肺炎についてまとめて行きたいと思います。
マイコプラズマ肺炎の症状と感染経路
マイコプラズマ肺炎の感染は、特に若い世代でみられるのが特徴で、家族内で順番に感染していくことが少なくありません。
症状としては前述の通り、熱が少ないために軽く考えられがちですが、乾いた咳が不自然に長く続き、睡眠などに影響が出て少しずつ体力が削られてしまい、結果として重症化するケースもあります。
言い換えれば、免疫力が弱い高齢者や基礎疾患のある人、お子さんが感染すると重症化しやすい病ですので、周囲にリスクの高い人がいる場合は特に注意が必要です。
痰がほとんど出ない持続的な咳が続いて、そして家族にも似た症状が順番に広がっているというようなときは、マイコプラズマ肺炎を疑う手がかりになります。
抗菌薬による治療を
マイコプラズマ肺炎の治療は、専用の抗菌薬が必要になりますので、お医者さんにかかる必要があります。
種類で言うとマクロライド系のお薬が最も効果がありますが、マイコプラズマのウイルスの中にはマクロライドに耐性のあるものもあり、もしそのウイルスに感染していた場合はお薬が効きにくく、治るのに時間がかかることになります。
また、マイコプラズマ肺炎はそもそも他の病気との見分けが難しいという特徴があります。
高熱が出ることは少なく、微熱状態のまま咳が長引きますので、軽い咳でそのうち治ると思っていても、全く治らず悪化していくというケースが非常に多いです。
ですので、咳と同時に不自然な息苦しさを感じた時や、3日か4日程度咳が続くようなときは、肺炎が起こっていると思って、お医者さんにかかるのがベストです。
そして、最も効果的な感染対策としては、咳が出ている人が確実にマスクを着用することです。
度々お伝えしているように、マスクは自分がうつらないための道具というよりも、症状のある側が周囲へ広げないという場合で有効な手段ですので、症状が出始めた際などにはぜひ活用していただければと思います。
またインフルエンザなどと同じく、室内の乾燥も感染を助長する要因になるため、加湿を心がけて、室内の湿度を保つとか、こまめに換気をすることも有効です。
日常の習慣で免疫力を高める
最後に予防についてですが、やはり一般的なことにはなりますが日常的に免疫力を維持しておくことが大切になります。
特に睡眠は免疫を支える大きな要素で、最低でも6時間から7時間ほどはしっかり確保してください。
運動は1週間で合計150分程度、軽い運動でも良いので、少し早歩きのウォーキング、1分あたり130から135歩ほどで歩くだけでも充分免疫には効果があります。
そしてもう一つ、自分の現在の地域の流行状況を見るのも予防につながります。
例えば、地域の学校が発行する保健だよりや広報誌、地域のSNSには、その地域の感染などが発信されていることがありますので、そうした情報に目を向けると、自然と感染予防へ意識が向きます。
そしてやはり、日常的な手洗い、手指消毒、咳エチケットを習慣化していくと、より良い予防になりますので、実践していただければと思います。
