自宅が、お店が浸水!どうしたらよい?#714

床上浸水被害に遭ったとき

先日、台風で関西、西日本を中心に大雨が降り、浸水の被害が出てきたようです。

自分は2015年ごろ、茨城県で薬局を運営しており、その時に鬼怒川氾濫の被害を受けて薬局が床上浸水したという経験があります。

この時の経験は非常に大変でしたが、ためになることばかりでしたので、voicyでも折に触れて簡単にですが取り上げています。

今回はこの台風に関連して、詳しく床上浸水被害に遭ったときの対処について、まとめていきたいと思います。

片付けの前に被害の写真を

浸水してから水が引いて、一通り落ち着いたとき、片付けに入ると思いますが、その前に必ず、何枚も写真を撮ってください。

なぜかというと、写真で被害の状況を残しておかなければ、せっかく入っている保険が下りないためです。

通常、店舗や戸建ては何らかの火災保険に入っていることが大半だと思いますが、それの適用になるためにはきちんと被害の状況を残しておく必要があります。

自分の場合は床上浸水でしたが、証拠を残す前にある程度片付けをしてしまったため保険があまり機能しなかったという経験があります。

プランや実際の被害状況などによっても変わってくると思うため一概には言えませんが、被害の状況をはっきりと写真で残しておければ、交渉もしやすく、保険会社のほうも動きやすいため、何枚も撮っておくことをおすすめします。

室内のどこまで水が入ったとか、水位の高さ、家具の汚れなどはもちろんですが、敷地内の室外の様子も含めて撮っておくのがベストです。

もしメジャーなどがあれば、壁に残った痕を見て水位の高さを測って、明確に何センチの高さまで浸水した、ということもすぐに証明できるようにしておくとなお良いです。

写真を撮ったら早めに、保険会社と建物の施工会社、工務店のほうに連絡してください。

被害が落ち着いてきて、ある程度片付けをしてから連絡する方が多いため、被災から少し経ってからが保険会社が一番混みます。そうなると自分の件はどんどん後回しになるため、写真を撮ったらすぐに保険会社や施工会社に連絡をして、素早く保険を使えるように動くのもおすすめです。

防護を入念に

一通り証拠を撮ってから片付けに入りますが、まず準備としては肌が露出せず、怪我をしないようにきちんと防護することを入念にしてください。

床上浸水とは、単に川や雨の水だけではなく、下水や生活排水なども含めて行き場を失った水が溢れている状態ですので、雑菌が非常に多く、汚れた水になるため万が一そこで怪我をすると悪化するリスクが極めて高いです。

さらにその上で、金属片やガラス片、尖った木枝など、鋭利なものが水中に入っている可能性もあるため、不用意に触ったり、踏んでしまうと一層怪我する可能性が高まります。

ですので、まずは長そで長ズボンは必須で、カビや汚れた土埃を吸わないようにマスクもして、ゴム手と軍手のような手袋があるのが望ましいです。

もしできればヘルメットやゴーグル、安全靴もあるとなお良いです。

ちなみに手袋はゴム手袋の上に軍手をするのが一番安全です。

普通のゴム手だけだと滑って物を持つのが上手くいかず、軍手だけだと刺さって穴が開く可能性があるので、ゴム手の上に軍手をして、二枚重ねるのがおすすめです。

コンセントは抜いて濡れた家具は捨てる

次に大きい家具家電についてですが、まず片付けの時にブレーカーは切ったままにしてください。

ブレーカーが上がっていると、突然復旧して電気が流れることがあり、片付けが不十分だったりするとそこから漏電したりショートする恐れがあるため、完全に片付けが済んで落ち着くまではコンセントは全部抜いて、ブレーカーを切ったままにしてください。

そして、実際に片付けに入るとき、まず浸水で濡れた家具や家電についてですが、再利用できないものや完全に濡れたものは外に運び出して廃棄してください。

床上浸水で一度濡れたものは、水を吸っていて後々カビが生えてくる可能性が高く、再利用するのは難しいです。

見た目で大丈夫そうに見えても、一部でも濡れているとその恐れがあるため、可能であれば捨てることをおすすめします。

床下や壁も同様ですが、建物についての判断は素人だと難しいため、施工した業者さんの判断に任せるのが一番ですが、それが被災直後だと混雑するため、前述のように素早く連絡して、段取りをつけるのが望ましいです。

ちなみに片付けをする際は窓や玄関を完全に開けて行うことで、乾燥も早まって片付けが効率よく進められます。

消毒が何よりも重要

家具の運び出しなど、大きいものの片付けが済んだら、流水で洗って汚水や泥をきれいに流しますが、床下に水が溜まっていることが多いため、その場合はポンプなどで水を排出して掃除する必要があるため、やはり施工会社さんの力を借りるのがベストです。

そして、掃除の際に重要になるのが消毒です。

前述のように、溢れた水は下水や泥も含めた雑菌まみれの水ですので、消毒をしなければその菌が家の中にずっと残ることになります。もっと言うと普段の生活ではまずいない菌が、生活している家の中にいる状態です。

そこで過ごすということは、どこからどのように感染症が起こるかわからないということになり、そこで食事をするということはいつ食中毒が起こるかわからない状態、と言えます。

ですので床、床下、壁と、汚水が触れた箇所はもちろん、室内は基本的に全て入念に消毒することを強くおすすめします。

この時使うのは逆性石鹸や、薄めたキッチンハイターが便利です。これを布に付けて壁や床を拭いて掃除してください。

消毒用のエタノールはコストが高く、室内に充満するため、室内の広範囲にわたる拭き掃除や洗い物に使うには安全面でも不向きです。

最後に、しっかりと片付け掃除が終わったら、着ていた衣類や手袋に注意して、必ずシャワーやお風呂に入って体をきれいにして休んでください。

建物の大きさや被害の状況によっても変わってくるとは思いますが、流れとしてはこのような形でやると、二次的な感染症などの予防をしながら安全に復旧できるかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属