これからの時期を快適に過ごす秘訣!汗の正体と対策は?#898

早いうちから汗対策を

夏が近づき、だんだんと汗が気になる季節になってきました。

実は個人的に汗をかきやすい体質で、毎年この時期は気になっています。

汗をかくというのは、私たちの体にとって非常に重要な役割を担っています。

今回は夏を迎えるにあたって、今から気を付けていきたい汗についてのお話です。

汗の役割

汗の基本的な役割は人間の体温調節です。

暑いと汗をかくのは、体内の熱を外に逃がそうとする働きによるもので、風邪などで発熱した際も、熱がピークを過ぎて体温を下げようとするときに汗が出ます。

他には、皮膚の保湿作用や免疫機能をサポートする働きもあり、汗の成分には乳酸ナトリウムや尿素など、肌の潤いを保つのに役立つものも含まれており、実は意外にも美肌の味方と言える一面もあるのです。

また、俗に冷や汗と呼ばれるように、精神的な緊張や不安によって起こる、精神性発汗というのもあります。

そして、汗といえば匂いが気になりますが、これは汗を出す汗腺に影響しています。

汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺という2種類があり、それぞれ性質が異なります。

まず、エクリン腺は全身に分布し、その成分はほとんどが水で、状態も無色無臭になります。エクリン腺から出る汗が、前述の体温調節が主な役割となり、日常的に出る汗のほとんどはこのタイプです。

そしてもう一つ、脇の下など特定の部位に多く存在するのがアポクリン腺です。

ここから出る汗には脂質やタンパク質が含まれており、それが皮膚表面の常在菌と反応することで、匂いが強まり、いわゆる体臭や、慢性的になるとわきがとなる原因になります。

汗の匂い対策となるデオドラント製品は、このアポクリン腺由来の汗や匂いを抑えるように作られています。

こまめに拭いて匂い対策を

汗は生理的な現象で、全くかかないようにするのは難しいです。

そこで大切になるのが、清潔感を保つ、ということです。汗をかいたらなるべく早く拭きとるだけでも匂い対策になります。

また、通気性の良い服を着るとか、速乾性のある素材を選ぶなどの工夫でも、匂いの元となる細菌の繁殖を抑えられますので、是非試してみてください。

汗が出すぎる・出なさすぎるとき

ちなみに、自分ではどうにもならないレベルで汗が出てしまうとか、逆に全く汗がでないというケースもあります。

例えば汗を多くかく多汗症は、日常生活に支障をきたすほどの量の汗で、原因としては甲状腺機能の異常や、女性であれば更年期障害などの、ホルモンバランスの乱れが関係していることもあります。

逆に、全然汗をかかないという場合は、暑さに体が慣れておらず、熱がこもってしまい熱中症につながるということもあります。

そこで役立つのが、以前の熱中症の回などでも触れた、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」です。

軽い有酸素運動や、ぬるめのお風呂に20~30分入るなどして、汗をかく環境に体を慣らしておくと、夏の暑さにも対応しやすくなり、汗をかきやすくなり、体温調節がスムーズになります。

さらに、水分不足で汗が出ないというケースもあり、脇の下が乾いているのに体が熱いと感じる場合は、脱水症状や熱中症が起きているサインの可能性があります。

爪先を指で押してみて、白くなったところからピンク色に戻るまでの時間を見てみると、簡単なセルフチェックになります。

もし汗について気になることがある場合や、前述の多汗症などの疑いがあるというときは、皮膚科や内科、婦人科などのお医者さんを受診していただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属