口臭の予防や対策は?#694

今一度見直したい「口臭」

先日、3月13日から、政府は個人のマスクの着用について推奨から、個人の判断に任せるという方針を正式に発表しました。

今は花粉のリスクがあり、マスクを着用している方も多い現在ですが、これから夏に向かって気温が上がるのと同時に、マスクを外してコロナ流行以前のような生活に一気に戻っていく可能性も充分考えられます。

そこで、今一度見直しておきたいのが「口臭」です。

最近の当薬局でも度々、マスクと口臭についてのお話しが出ることがあり、気になっている方も多いように見られます。

今回は口臭について、においが出るメカニズムや対策について、一通りまとめて行きたいと思います。

口臭の3つの原因

「口臭がする」とは、簡単に言えば口のにおいがきつくなる状態のことです。

その原因は大きく分けて3つあり、まず口の渇きや体調不良など生理的なもの、そして虫歯などの口の中の病から出ているもの、最後は食べ物やたばこのような嗜好品によってにおいが起きているもの、の3つです。

まず最初の生理的なものですが、これは口の中が不必要に乾燥して、唾が乾いたように臭いが強くなる場合のことです。

特に寝起きすぐの時や緊張しているときは唾液が少ないため乾燥しやすく、においが強まりやすいです。また、病ではない軽い体調不良やホルモンバランスの乱れでも口臭に影響が出ることがあります。

次の病が原因の口臭は、虫歯から臭いが出ることがあり、例えば磨くことのできない隠れたところに虫歯がある場合や、神経まで深くなっている虫歯は臭いが強まりやすいとされています。

また歯周病でも口臭が強くなりがちですが、これは歯ぐきからの出る血の中に膿が混ざってしまい、それで臭いが一層強まっているという可能性がありますので、もし虫歯や歯周病があれば早めに治療を始めるのをおすすめします。

さらに、病は口の中以外にも、胃や肝臓の調子が悪くなることでも口臭が強まることがあり、特に糖尿病では普段と明らかに違う特徴的な臭いがするため、心当たりがあれば病院に相談してみてください。

最後の、食べ物やたばこなどの嗜好品が原因の場合ですが、これはいわゆるニンニクやネギ類、コーヒーのような臭いの強い物やたばこが原因によるもののことです。

これは前者二つに比べると一時的なものであり、原因が分かっている為、それらについて対策すると治っていくと思われます。

ただ前者二つ、生理的なものの場合と病によるものは、改善にも時間がかかり、難しい問題になってきます。

まずは虫歯や歯周病のチェックを

健康状態は口臭の大きな一因ですので、まずは健康を意識することをしてみてください。

虫歯や歯周病は特に原因になっているので、不安があれば早めに歯医者さんに行ってみてください。

もし、歯や歯茎に問題が無ければ、内臓の方に原因を考えましょう。

例えば胃の調子が悪いとか、体のだるさがずっと続いている場合は肝臓の不調の可能性が高いなどの可能性があり、便秘でも口臭が強くなることがあります。

前述の糖尿病の場合では、血液検査で糖尿病を指摘されているものの特に改善せずに放置している、と言うような場合では、数字がどんどん悪くなっていき、その過程で口臭が強まっているという恐れがあります。

特に病ではなく生理的な原因の場合で口臭が強くなっている場合は、まずは水分をこまめにとって、口の中が乾燥しないように意識してみてください。

水分を取るだけで、口の中がきれいな状態になるため臭いは一気に減ります。もし水分が取れないときはガムやタブレットを食べて、唾液の分泌を促すだけでも乾燥が防げるため、口臭予防につながります。

きちんとした歯磨き・生活習慣で口臭予防を

日ごろからできる口臭ケアは、やはりきちんとした歯磨きが大切です。

不必要に強く磨き過ぎない事と、歯と歯茎の間らへんに歯垢が貯まりやすいため、そこを優しく、マッサージするように磨いて見てください。

そしてもう一つ、舌苔(ぜったい)という舌にできる苔のようなものを取り除くのも口臭対策になります。

舌苔とは舌の老廃物とも言えるもので、歯磨きの際に歯ブラシで磨くのも良いですが、舌苔を取るための舌専用のブラシも販売されているため、もし口臭が気になる場合は舌苔を取るという事もしてみてください。

舌苔をとりすぎると逆に口臭が強くなる恐れがあるため、毎日やる必要は無く、あくまでも口臭が気になって来た時だけやるのがベストです。

最後が生活習慣です。内臓の不調や心身の不調、ストレスや睡眠不足も口臭に影響するため、やはり日ごろから健康的な生活を送ることが必要です。

ポイントは口呼吸をしないで鼻呼吸を意識することと、食事の際はよく噛んで唾液をきちんと出すことです。

鼻呼吸と口呼吸は口臭の話題の時にしばしば出てきますが、実は意外と、気付いたら口呼吸になっているという方が多く、意外に普段からできていない事が多いのです。

なので口臭が気になるというときは必ず、意識して鼻で呼吸するようにしてみてください。

鼻で呼吸することで、口の中が乾くことを防げるため口臭予防につながります。

日ごろから歯磨きを欠かさずに、食生活に気を付けて、そしてきちんと鼻呼吸をすることを忘れないようにすることが、口臭改善につながっていきますので、意識してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属