大人になってからなんで花粉症や食物アレルギーになるの?【リスナーからの質問】#693

ある日突然アレルギーが起こる

今年も本格的に花粉シーズンを迎え、アレルギーのお薬もよく出るようになってきました。

そんな中、先日のコメントにて「花粉症になる体質や環境はあるのでしょうか」と言ったものいただきました。

花粉に限らず、アレルギーはある日突然、発症するという特徴があります。

以前薬局に、85歳になってから本格的に花粉症が出るようになったという方が来たり、自分の知り合いでは旅行中にカニの食べ放題で吐くほど大量に食べてしまったところ、翌日からカニやエビに触るとかゆみが起こる甲殻類アレルギーのような体質になってしまったという方もいます。

voicyでも度々触れているように、アレルギーは体を守る免疫反応の一種で、目や鼻、喉、皮膚と言った部分に異物が入ってきたら排除しようとする働きが暴走している表れです。

例えば花粉はウイルス等とは違い、特に害を与えるものではありませんが、免疫が「悪い異物だ」と認識してしまい、体内から出そうとして鼻水や涙と言ったものを分泌させ、排除しようとします。

免疫については411回の配信で触れておりますが、今回はなぜアレルギーが突然起こるのか、アレルギーについて少し詳しく掘り下げていきたいと思います。

アレルギーを起こすものにずっと晒されていると発症しやすい

アレルギー反応は医学の中でも完全には解明されていない謎の一つですが、現在分かっている最大の原因、きっかけとも言える特徴が、アレルギーを起こすものにずっと晒されていると起こりやすい、という点です。

例えば花粉症が春に起きやすいのは、スギが日本国内には非常に多く、春になるとそのスギが一気に花粉を飛ばすためです。

つまり春先の屋外にはスギの花粉が大量に舞っており、その中で長時間過ごすことで、呼吸の際に常時花粉が体内に入ってしまい、アレルギー反応を起こすという事です。

前述の甲殻類アレルギーの方の例と同じようなことが、花粉でも起こるのです。

他には、毎日小麦粉に触れることで小麦アレルギーになるとか、毎日金属が肌に触れることでかぶれて金属アレルギーになるとか、さらには医療従事者などの方が毎日ゴム手袋をすることで、ラテックスアレルギーというゴム製品のアレルギーが起こるということもあります。

何らかのアレルギーがあると他のアレルギーも起きる可能性が

アレルギー反応は大半のケースでは子供のうちに分かることが多いですが、前述のように大人になってから突然、何の前触れもなく起こるという事もあります。

この原因は未だに分かっていませんが、大人になってからアレルギーが起こる方には、いくつかの共通点があることは分かっています。

まず第一は簡単に、アレルギー反応を元々起こしやすい体質だと、大人になってから起こりやすいとされています。

例えば小さいころに小児喘息があったとか、軽いアトピー性皮膚炎だった経験があるという方は、大人になってからも何らかのアレルギーが起きる可能性が高いです。

自分はある日突然、リンゴを食べると必ずおなかが痛くなるリンゴアレルギーになりましたが、小さい頃は喘息で頻繁に病院に通っていたという経験があります。

前述の甲殻類アレルギーの方は小さいころアトピー性皮膚炎で病院にかかっていたという事があり、いずれも何らかのアレルギー反応が起きた経験があるという共通点があります。

次が生活習慣の乱れもアレルギーが起こる一因と言われており、特に偏った、同じ物を食べる食事が続くと引き起こしやすいとされています。

自分がなったリンゴアレルギーは、体に良いと思って毎日毎朝必ず、丸かじりでリンゴを食べてましたが、体調が悪い時も欠かさず食べ続けていたタイミングで起こりました。

今ではそれほど強く起こらなくなり、食べることもできますが空腹時にリンゴを食べると今でも腹痛が起こる体質になっています。

そして近年少し注目されているのが、ビタミンD不足がアレルギーを起こしているという点です。

具体的にはまだ不明で研究段階ですが、ビタミンDが不足していることで喘息や花粉、食物などアレルギー全般の症状を悪化させているという報告が少しずつ出てきています。

また逆に、糖分の中でも果糖、フルクトースと言う成分がアレルギーを引き起こしているという説があり、果糖は特に清涼飲料水などに多く含まれているため、ジュースを飲む量を減らしてみるのももしかしたら効果があるかもしれません。

生活習慣を整えて、健康を維持することが大切

アレルギー反応は未だに分かっていない部分が多く、完全に防ぐことは不可能ですが、いわゆる体の不調ですので、生活習慣を整えて体力と免疫力を維持することが、予防に大きく繋がってきます。

特に睡眠をとることと日光に当たることは、生活リズムを整えることに直結するため非常に大切です。

日光に当たるのはセロトニンが分泌されるなど、良い影響が様々ありますが、ビタミンDが体内で生成されるという働きもあるため、アレルギー予防にもつながります。

食材で言うときのこ類に多く、サプリメントでもビタミンDのものもあります。

後はやはり、自律神経が乱れないように整えるのも大切です。

ありきたりになりますが、ストレスを溜め込まないことや、規則正しい生活、バランスの良い食事もアレルギー予防には助かるため、是非普段から気を付けていきましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属