急に発症?大腿骨頭壊死症って何?#851

知人が大腿骨頭壊死症に

先日、自分の知り合いが、大腿骨頭壊死症と診断されました。

壊死と聞くととても怖く、不安な印象を持つかもしれません。確かに軽い病気ではなく、難病ではありますが、適切な対処法は存在します。

今回はこの大腿骨頭壊死症について、詳しく解説していきます。

大腿骨頭壊死症とは

大腿骨頭壊死症は、太ももの骨の先端部分にある、大腿骨頭」という部位が壊死する病気です。

大腿骨頭は足と腰をつなぐ関節の一つで、何らかの要因で血流が滞り、それによってその関節の骨が死んでしまう、というメカニズムです。

血流が滞る原因は未だ不明で、厚生労働省の指定難病にも認定されています。

発症しやすい人としては、30代から50代の男性に多く見られ、日本では年間約2000~3000人が診断を受けているとされています。

具体的な症状

初期症状としては股関節や太ももの痛み、歩行時の違和感が主ですが、全く症状が無いまま進行することもあり、壊死によって関節の可動域が制限されはじめてから診断を受け、病に気づくというケースも少なくありません。

はっきりした原因は不明ですが、アルコールの摂りすぎや長期間ステロイドのお薬を使用している人はリスクが高いとされていますが、遺伝的な影響なども考えられるため、完全な予防は難しい病気です。

病院に行くタイミングは難しいところですが、突然、何の前触れも無く股関節に付近に違和感がある時は、一度整形外科に行ってみるのが確実です。

大腿骨頭壊死症の治療とリハビリ

大腿骨頭壊死症の治療は、進行具合に応じて変わります。

早期に発見できた場合は、松葉杖を使うなどで安静にして負荷を避け、自然治癒を待つ保存療法が取られることもあります。

壊死の進行が進んでいる場合は、手術をして治療することもあります。

手術では、自身の骨を温存しつつ壊死部分を削り切る方法や、関節そのものを人工股関節に変える方法があります。

大まかに、若い人は自身の骨を使うことが多く、高齢の方や重症の場合は人工股関節を使うことが多いです。

そして、どちらの場合も術後のリハビリが極めて重要で、リハビリをきちんとしないと元の可動域には戻りません。

期間としては数ヶ月から1年ほどかかり、回復したあとも日常生活の中で関節に負担をかけない工夫が必要になります。

規則正しい生活をして予防を

最後に予防についてですが、大腿骨頭壊死症だけを予防する方法は無いため、やはり基本的な規則正しい生活、バランスのいい食生活が大切になります。

アルコールを摂りすぎないことも当然ですが、一つポイントになるのが、先述したステロイドのお薬についてです。

ステロイドの飲み薬のほうは、例えばリウマチの治療などでは長い期間飲むことがあると思います。

また鼻づまりなど鼻炎用のお薬で、セレスタミンというステロイドのお薬がありますが、これも長期間飲み続ける方がまれに居ます。

先述のように、長期間ステロイドのお薬を服用するのは大腿骨頭壊死症のリスクを高める可能性があるため、注意が必要になります。

過去であっても、もしステロイドの飲み薬を長期間使っていたという方で、股関節付近に違和感を感じた場合は、すぐに整形外科のお医者さんに診てもらってください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属