喘息と違うの?咳喘息はどうしたらよい?#852

風邪の後に起こる咳喘息という症状

最近、「風邪を引いた後に咳だけが長引く」という経験をされる方が増えているように感じます。

自分も風邪の後に咳が残ることがよくありますが、それは実は「咳喘息」という症状の一つです。

風邪や咳、喘息については度々触れていましたが、咳喘息については一度も触れていませんでしたので、今回は咳喘息の症状、治療、予防について少し詳しくお話していきたいと思います。

気管支喘息の一種

咳喘息とは、平たく言うと気管支喘息の一つです。

喘息のように咳が長期間続くきますが、一般的な喘息とは違い、特有のゼーゼーとした呼吸音や痰がほとんど伴わないという特徴があります。

また発熱やだるさも無いため、コロナやインフルエンザともある程度は見分けやすい症状になります。

症状が出るのは夜間や早朝に悪化する場合が多く、日中は落ちつくことがありますが、何らかの刺激によって発作的に起こることもあります。

もし、風邪やインフルエンザなど感染症が治った後、およそ8週間以上咳が続いた場合は咳喘息の可能性が極めて高いですので、お医者さんに診てもらってください。

きちんと治療しないと、およそ30%の割合で本格的な気管支喘息に移行するリスクがあるので、心当たりがある時は自力で治そうとせず、病院に行くのをおすすめします。

吸入のお薬で対処可能

咳喘息は、市販の咳止め薬ではほとんど効果がなく、一般的な咳止めのお薬を飲んでも無駄に長引くだけというケースが大半です。

これは言い換えれば、咳止めのお薬でも治らない場合は咳喘息の可能性が高いということですので、一つの判断材料にするのも効果的です。

咳喘息の症状が続く場合は、早めに医療機関で診断を受けてください。一般的な喘息と同じく、吸入ステロイドを使用して炎症を抑えていくことで、治療が出来ます。

直接気管支に作用するため、副作用が少なく、安全性が高いのが特徴です。

ただし、治療期間は2~3か月かかることが一般的で、症状が改善しても再発することがあるため、治ってから2か月ほどは使い続けるのがベストです。

ちなみに、市販薬で唯一、喘息に効果のあるアスクロンというお薬がありますが、現在では品薄で、仕組みとしては対症療法になりますので、一時的に症状を和らげるために使用して、本格的な治療はお医者さんと行うようにしてください。

一般的な喘息と同じ予防を

咳喘息の予防は普通の喘息の対策とほぼ同じで、まずはアレルゲンや刺激物を避けること挙げられます。

具体的にはハウスダストやダニを減らすために、定期的に掃除をするとか、空気清浄機を活用するなどをしてみてください。

またもちろん喫煙は悪影響で、受動喫煙も出来るだけ避けるのも予防になります。

そして、咳喘息は風邪や感染症から発症しますので、それらの予防も重要になります。

これまで通り、手洗いやマスク着用の徹底はもとより、これからは空気が乾燥していくため、室内では加湿器を使うとか、外出時にはのど飴を活用して喉を保湿するのも予防につながります。

日々の工夫が症状の予防に役立ちますので、是非取り入れてみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属