夏風邪とコロナの流行が
夏というと、夏風邪も問題の一つだと思います。
実際、インターネットや自分の周りの患者さんを見ても、風邪の症状で悩んでいる方が多いように見えます。
夏風邪は喉からくることが多いという特徴がありますが、風邪のウイルスだけではなく、同時に新型コロナウイルスが流行しているのも考えられます。
今回は現在の新型コロナの状況をまとめてみたいと思います。
7週連続で増加
現在、厚労省の発表で、1医療機関あたりの1週間の新型コロナの患者数は、4.1人とされています。
これは6月10日から16日の分で、前週は3.99人だったため、わずかながら増加していることが分かっています。
そして、7週連続で少しずつ増加していることも明らかになっています。
ただし地域別では、東北は減少に転じているものの、関東や九州は増加しているとされています。
今後の予測では、やはり例年通り、人の往来が著しく増える8月過ぎ、お盆休みがピークになり、そこから減少するとみられています。
新型コロナの流行は、およそ半年に1回のペースでピークが来て減少するというサイクルを繰り返しており、前回のピークは2月、その前は昨年9月、さらにその前は昨年1月となっています。
一方でピーク時の患者数は段々と減っており、昨年1月時点では最大で30人だったのが9月で20人ほど、2月で18人となっており、減少と増加の幅がだんだんと鈍って来ているのも確かです。
ただ、全員検査も無くなって久しく、5類移行で扱いも大きく変わっているため、あくまでも参考値ですが、徐々に収束していっていると言っても差し支えないかと思います。
しかし、突然変異するリスクは存在しますので、油断しても大丈夫とは言えません。
ちなみに現在流行っている株は、BA.2.86.1という株で、簡単に言うとオミクロン株の変異で、症状もオミクロン株とほぼ同じですが、味覚や嗅覚の障害は少なく、下痢や腹痛といった胃腸炎のような症状と同時に起こることが多いとされています。
発熱したら発熱外来へ相談を
そして、コロナの重症化リスクは、低いものの依然として存在しています。
もし、急に息苦しくなったり、意識がもうろうとしたりと言ったことが起きた場合は、命に関わる事態ですのですぐに救急車を呼んでください。
それ以外で、発熱した場合やコロナが疑われる場合は、通常の対応で安静にして休むのも大切ですが、地域の発熱外来に相談するのがベストです。
ちなみに現在の新型コロナの治療薬は、公費による補助が無く、全額自己負担ですので、使用を希望する際は注意してください。
基本的な感染対策を忘れずに
新型コロナの感染対策は、これまでと全く変わりません。
手洗い、手指の消毒、換気、人との距離を取るといったことが効果的です。
特に、食事の前やトイレの後の手洗いはこれからも極めて重要になります。
現在の新型コロナの株は胃腸炎の症状も強いという特徴があるため、トイレで感染しやすい可能性がありますので、特に注意してください。
一方で、今はマスクは必要ないと思われる方も多いですが、やはり飛沫感染は今でもリスクがあり、また無症状感染の際に他の人にうつさないことにもつながるので、使う意味は充分あると考えられます。
密にならないというのも、現在はお祭りやイベント、旅行などで、人が密集する機会が多く、既にコロナ前の水準になっていると思いますが、不安がある時はそうした機会を避けたり、距離をとって、身を守ることを意識していきましょう。