寝てる間に足がつるのは水分不足?原因と対策は?#629

足が「つる」仕組み

先日、高齢の患者さんで、「寝てる間に足が冷えて、つっちゃう」という方が居ました。

クーラーをかけて寝てしまい、足が冷えて血流が悪くなると、足がつることがありますが、今回はこの「つる」という症状についてまとめて行きたいと思います。

一言で言うと、自分の意思とは関係なく足の筋肉がけいれんして、激痛が走るという現象が、「つる」ということです。

つる原因は大きく分けて4種類

「つる」というのは下半身全般で起こることがあり、一般的にはふくらはぎが多いですが、足の裏や太もも、お尻の筋肉でも起きます。

つる原因は、全てわかっているわけではありませんが、現在は大きく分けて4種類の原因があるとされています。

まずは筋肉の不調、衰えや疲労によるもので、その部分の筋肉の運動神経が衰え、けいれんを起こしてしまうというものです。

例えば同じ姿勢を長時間続けるなど、一部の筋肉を全く伸ばさずに固まってしまったような場合や、反対に激しくスポーツをして、限界まで一部の筋肉を酷使したような場合です。

次がおそらく最も一般的な原因と思われるのが「水分不足」です。

実は、筋肉の直接的な動きは水分とミネラルで調節されているため、夏場や運動中の水分補給、ミネラル補給は体の筋肉にとっても非常に重要なのです。

夏場の夜などは、クーラーの風に直接当たったままで寝たりすると、体から水分が一気に失われます。

そして朝に起きるタイミングで足を軽く伸ばした時に、足がつるという症状が起こりやすい、ということです。

次が、最初の方の例のように、冷えによって筋肉が冷え、血流が悪くなるのと同時に筋肉が緊張して収縮してしまい、つってしまうというものです。

夏場に足が冷えすぎるのは、前項の水分不足と相まって、足がつる可能性がより高まることにつながります。

そして最後が、一部の血圧のお薬や糖尿病のお薬の作用によって、水分がミネラルが余分に排出されていまい、副作用的に足がつりやすくなる、というものです。

これらが、現在言われている4つの「足がつるメカニズム」です。

足がつったとき

「足がつる」、というのは、おそらく一度は経験があると思いますが、いざ起こったら凄く焦ると思います。

とてつもなく、動けないほどの激痛が走りますが、まずは一旦落ち着いて、体の力を抜いてください。

筋肉が緊張している状態ですので、体の力を抜いて、ゆっくりとストレッチする感覚で、痛みが無い角度を探してください。

強くもんだり叩いたりすると余計にこわばって治りづらくなったり、治ったと思ってすぐに伸ばしたりすると再度激痛が走ってつってしまうということがあります。

ですので軽くマッサージしたり、ゆっくりと動かして痛みの無い角度を探してながら、痛みが引くのを待ってください。

足がつった際に出来る対処は、現状ではこれしかありません。

「つる」以外の病の可能性

足がつった際の痛みは長くても数分、5分程度で、つった時の激痛が10分続いていることはまずありません。

しかしもし、つった激痛が長時間続いている場合は、単に足がつったという症状ではない可能性があります。

まず考えられるのが、肉離れを起こしている可能性です。

これは実は数年前、自分に起こったことですが、朝起きた時に足がつった感じがして、強い痛みを感じたまま仕事をしていたことがあります。

その後、どうにかして筋肉をほぐそうと、温泉に入ったりマッサージを受けたりと様々やりましたが全く治らず、病院に行ったところ肉離れと診断されたのです。

肉離れは筋肉の炎症ですので、筋肉を冷やして安静に休ませることが一番の対処で、ほぐそうとして温めるのは全く逆効果だった、ということがありました。

つったときの痛みは、長くても5分程度と思っておいて、それ以上長い場合は別の可能性があるので、お医者さんに相談してみてください。

水分とミネラル補給が重要

最後に、足がつらないようにする、予防についてですが、まずは水分とミネラルを欠かさないようにしてください。

自分の場合は、寝る前にコップ1杯スポーツドリンクを飲むようにするとかなり改善されました。

スポーツドリンクは文字通りスポーツの時に便利ですので、ミネラル分も豊富でとてもおすすめです。

ただ、普通のものだとジュースのように糖分も多いため、寝る前に飲むのは抵抗があるという方もいると思います。

その場合は若干コストはかかりますが、商品名で言うとアクエリアスゼロなど、糖質オフのスポーツドリンクも最近では登場しているので、気になる方は夏場だけでも試してみると良いかと思います。

ちなみにOS-1のような経口補水液は塩分も糖分も濃いので、熱中症や下痢、胃腸炎と言った体から急激に水分が失われた時に最適な飲料ですので、寝る前の軽い水分補給には不向きです。

次に筋肉を冷やし過ぎない事、そしてやはり適度な運動も大切です。

運動は一時的なものではなく、習慣づけてやることが一番で、度々登場していますが万歩計を付けて歩数をカウントするのがおすすめです。

本当にこれだけで少し意識が変わり、これまでよりも運動量が自然と増えるので、是非試してみてください。

最後に、最初の4つの原因のところで、お薬が原因で足がつることがあると記載しましたが、お薬によって足がつりやすくなっている場合の対処は非常に難しいです。

その場合は、水分補給やミネラル補給、筋肉の冷え対策と言ったことを一層意識して、それでもつりやすい場合はかかりつけのお医者さんに相談して、病状に併せてお薬を見直してみる、という風にするのがベストです。

ちなみに漢方薬では、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)というものが足がつるのに効果的です。

これは痛みが出てから飲んでも効果が出る漢方薬で、水分やミネラルを体に貯めるという働きがあるため、予防として飲むこともできます。

ただしその分、体がむくみやすくなるという副作用があったり、他のお薬との飲み合わせもあるため、毎日飲むことはおすすめしません。

2日に1回とか、最初の酷い時は毎日飲んでも、つる頻度が落ちてきたらすぐに飲む回数を減らしていくようにするのが安全です。

その他だと、エペリゾンやミオナールという、筋肉の緊張をほぐすお薬が零売されており、足がつるのには良いかと思いますので、気になる方は薬剤師に相談してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属