心臓のビタミン?!ビタミンQってなに?#889

ビタミンにQが存在していた

今回は、これまで続いたビタミンシリーズで最終回となる、ビタミンQについてです。

ビタミンKよりも聞き馴染みが無いかと思いますが、おそらく「コエンザイムQ10」、という名前は聞いたことがあるかと思います。

コエンザイムQ10とは、以前は「ビタミンQ」と呼ばれていたことがあり、ビタミンの一つとされていました。

しかし、研究の結果、前回お伝えしたビタミンの定義から外れたことがわかり、コエンザイム(補酵素)という分類に位置づけられるようになったのです。

今回はこのビタミンQもとい、コエンザイムQ10について、まとめた行きたいと思います。

コエンザイムQ10の働き

コエンザイムQ10の働きとしては、簡単に言うと細胞のエネルギーの生産をサポートする、ということが挙げられます。

生物は、細胞内にあるミトコンドリアでエネルギーを生み出し、活動しています。人間だとエネルギー消費の激しい心臓や肝臓に多く存在しますが、コエンザイムQ10も心臓や肝臓に多くあり、ミトコンドリアの働きをサポートすることから、心臓のビタミンとも呼ばれることがあります。

コエンザイムQ10の種類は「ユビキノン」と「ユビキノール」という2つの形があり、後者の方が体内での吸収効率が高いことから、サプリメントなどではユビキノール型がベストです。

コエンザイムQ10が不足すると

コエンザイムQ10が不足すると、細胞でのエネルギー生成が滞りますが、前述のように心臓に関わっているため、心機能に影響が出てきます。

例えば疲れやすさや免疫力の低下はもちろんですが、心臓は常に動き続けている臓器ですので、不足した状態が続くと高血圧や動脈硬化、心不全のリスクが高まります。

ちなみに、コレステロールを下げる働きを持つスタチン系のお薬を飲んでいると、体内のコエンザイムQ10の合成を抑えてしまい、不足する可能性があります。

スタチン系のお薬はコレステロールのお薬のなかでも出やすいものですので、服用中であれば注意が必要です。

また、コエンザイムQ10は過剰に摂取しても副作用はほとんどないのも特徴で、理論上は1日600mg以上の量を摂ると副作用が出る可能性があるとされますが、サプリメントでもそこまでの量を摂ることは難しいですので、過剰摂取の心配はあまり必要ありません。

効率的な摂り方とおすすめの食材

コエンザイムQ10が含まれる食材としては、サバやイワシのような青魚、牛肉、鶏肉、ピーナッツなどの動物性食品に多く含まれています。

ただ、コエンザイムQ10は食事から十分な量を摂取するのは難しいことも多いため、エネルギーの代謝が低下しやすい40代以降の方だと、サプリメントでの補給も便利です。

領としては1日30mgから100mg程を目安に、食後に摂取するのが最も吸収率が良いとされています。

脂溶性になるため、油と一緒に摂ることで吸収が良くなるタイプですので、炒め物など油を使った料理で摂るのが効果的です。

最近疲れやすいとか、体調が整わないと感じ始めた方は、まずは食生活を見直してみていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属