水虫の患者さんがじわじわと増加
今年も本格的に梅雨に入りましたが、梅雨のせいか不明ですが水虫の患者さんが増えて来た気がします。
水虫の患者さんは夏になると増えることはありますが、梅雨に入ったからと言って増えることはあまりなく、偶然かと思いますが、少し気になりました。
以前も何度か水虫や白癬菌について取り上げていますが、今回は今一度まとめて行きますので、梅雨の時期から気を付けていただければと思います。
白癬菌というカビが原因
高温多湿な環境が続くと増えてくるのが、白癬菌(はくせんきん)という菌です。
白癬菌がいわゆる「水虫」の原因となる菌で、正式には「皮膚糸状菌」とも呼ばれる真菌(しんきん)になります。
カビというと、食べ物や浴室のカビを連想しがちですが、白癬菌は皮膚や爪、頭皮などに感染して、さまざまな症状を引き起こします。
白癬菌は場所によって呼び名が変わり、足に感染した場合、一般的な水虫の場合は「足白癬」となり。爪に感染したら「爪白癬(つめはくせん)」、股間などにできれば「股部白癬(こぶはくせん)」、体にできれば「体部白癬」、頭にできると「頭部白癬(とうぶはくせん)」と呼ばれます。
股間や頭部のものは、それぞれいんきんたむしや白雲(しらくも)と呼ばれることもあります。
また、爪の間にできる爪白癬は、位置からして非常に治りにくいという特徴があります。
通常の水虫の症状は、かゆみ、水ぶくれ、皮むけ、乾燥など多岐にわたり、特にジメジメする梅雨時期は、菌が繁殖しやすく感染が広がりやすいため注意が必要です。
症状別の治療法
白癬菌の治療は、感染部位や症状の重さによって異なります。
まず、足白癬の場合は市販薬でも対応可能なケースが多く、ローション、クリーム、パウダーなど、様々な市販薬があり、いずれも薬局で手に入ります。
じゅくじゅくした場合は乾燥させるパウダータイプ、逆に乾燥してかさかさした水虫には保湿性のあるローションやクリームなど、症状に応じて使い分けてください。
ただし、お薬を塗るとかなり素早く治ったような気がしますが、水虫の菌はかなりしぶとく、奥深くに隠れているため、治ったと思っても1カ月ほどは塗り続けて、完全に無くすように意識して、塗り続けてください。
また、水虫の菌は発症した患部以外の場所にも隠れるため、足全体に1か月ほど塗り込むとより安全です。
そして、爪白癬や体部・股部・頭部白癬を発症した場合は、市販薬では治らないため、皮膚科のお医者さんに診てもらうのが確実です。
特に爪白癬は、爪が分厚くなって薬が浸透しにくくなり、奥に残った菌が水虫などを発症させる原因にもなります。爪白癬用のお薬もありますが、効果の出方やスピードを考えると、処方される飲み薬の方がベストです。
自己判断は要注意
意外と大切なことが、水虫や爪白癬に似た症状が出たとしても、実は必ずしも白癬菌が原因とは限らないということです。
実際にこちらに来た患者さんで、爪が濁って汚れた感じになり、分厚くになってきているから水虫になったかもしれない、と思ってお医者さんにかかったら、白癬菌ではなく、別の爪の病だったということがありました。
白癬菌は、お医者さんで検査が可能ですので、爪白癬など見分けがつかない場合はやはり病院に相談するのがおすすめです。
予防は「清潔」と「通気性」を意識する
最後に予防についてですが、白癬菌は接触によって感染するため、基本となるのは「感染源を避ける」ことと「皮膚を清潔に保つ」ことに尽きます。
例えば公衆浴場やスーパー銭湯の脱衣所の足ふきマットなど、不特定多数の人が使う場所では注意が必要で、感染している人が使用したところに足をのせると、白癬菌が付着してしまい、発症する可能性があります。
ただし、白癬菌は皮膚に定着して繁殖するまで、およそ24時間かかると言われており、その間にしっかり洗えば感染は防げますので、足の指の間や爪のまわりなどは丁寧に洗ってください。
また、通気性のよい靴や靴下を選ぶとか、こまめに脱いで、足が蒸れないようにすることでも繁殖を防げます。
これからの季節は、外出してプールや温泉などに入る機会も増えると思いますので、気を付けてみてください。
そして、もし家庭内に水虫になった方がいるなどの場合は、バスマットやスリッパなどは共有しないようにして、しばらく個別のものを使用するなどのゾーニング対策ももちろん有効です。
さらに、ごくまれにですがペットから白癬菌に感染するケースも報告されているため、もしペットを飼われている方はそのペットの皮膚状態にも注意を払って、こまめにケアしていくとより良いかと思います。