薬局ごとに合計金額が変わる理由
先日コメントにて、同じ処方のお薬を、普段と違う薬局に持っていくと、同じ支払金額にならない、といったものを頂きました。
コメントにある通り、実は、全く同じ内容の処方せんでも、薬局によって合計金額が変わるということがあります。
これは薬局の不手際や悪徳な商法などではなく、ややこしくはなりますが、れっきとした正当な理由があります。
今回はこの点について、詳しくお伝えしていきます。
医療費の削減という課題
同じ処方せんでも金額が変わるのは、非常に簡単に言えば、医療費の削減政策によって起きた現象です。
その政策により、同じお薬の処方せんでも薬局ごとにお会計が変わる、という現象が起きました。
具体的に言うと、二つの方向性が出来たためです。
一つはその薬局の規模、立地によって変わるというもので、受け付ける処方せんの枚数が少なく規模が小さいところは高く、逆にチェーン店の薬局は処方せんの枚数は必然的に増えるため、それよりも安価になります。
処方せんの枚数が多いということはその分利益が出る上に、チェーン店だとお薬の仕入れ量も増え、薬の単価も下がります。
そうなると、利益が多い薬局となりますので、国はその薬局の点数を減らすことを決め、かかる医療費を削減するようにした結果、大手の薬局は一般的な薬局よりも安価に処方するようになったのです。
そして、処方せんは一つの薬局だけで独占するものではなく、どこの病院の処方せんであっても受け付けなければならない、という大前提の方針があります。
しかし、一部の大学病院などでは、敷地内に薬局を置き、実質的にそこの大学病院の処方せんしか受けないような形にしていますが、これでは国の方針から大きく背いているため、医療点数を減らされています。
このように薬局の形態、規模によって医療点数が変わり、患者さんの負担が変わるのです。
もう一つの方向が、国の方針にどれほど則って営業をしているか、どれほど沿った機能を有しているかの判断です。
例えばジェネリック医薬品は、以前から政府が強く利用を推進していますが、これは一つは、薬局がジェネリック医薬品を積極的に使っているかどうかで評価が変わるということでもあります。
またここ数年で強力に推進したマイナンバーと保険証も、マイナンバーカード付保険証の利用を推進している薬局は評価が高くなる要因の一つです。
そのほか、薬局そのものの営業時間や在宅医療の対応の有無、地域への貢献活動など、多岐にわたって評価項目があります。
これらの要因で医療点数が変わります。そして点数が多いほど、一回の処方にかかる総額が上がって薬局に入ってくる利益も増えますので、自然と患者さんの3割の自己負担額も上がっていくのです。
逆に点数が加算されなければ、薬局に入る総額は低くなり、利益も減り、患者さんの自己負担額も下がっていくのです。
これが、同じ処方せんでも患者さんの支払金額が変わる仕組みです。
薬局・薬剤師で判断を
この医療点数による、支払金額の幅は、一般的には100円から150円程度の差であることが多いです。
理論上の最大値で言うと、500円ほどは変わることがあると思いますが、現実にはほぼ起こり得ません。
以上のことを踏まえて、実際にどうするのが良いかというと、やはり薬局の様子、そして薬剤師の質で選ぶのが確実かと思います。
頻繁にお薬が品切れになっているところとか、説明があいまいだったり、ほとんど無かったりするようなところは、少し不安が残ると思います。
そう言ったところは避けて、きちんとした誠実な薬局の中から探していくのが良いかと思います。