人の薬は飲んじゃだめ!意外な副作用にご注意!#955

自分以外に処方された薬は飲まないように

先日、夜にトイレが近くなったという患者さんがその場しのぎとして、似たような症状を持っていた家族のお薬を飲んで過ごした、という話題になりました。

60代ぐらいの女性の方で、ご主人が同じような症状で通院されており、すでに処方されていた薬があったため飲んでみた、ということですが、こうしたことは実は危険な行為になります。

今回はこのお話から、お薬の飲み方などについてご紹介していきます。

処方薬が危険になり得る理由

今回のケースは、数ある例のなかでもとりわけ危険なもので、夜の頻尿トラブルのお薬には、男性しか適さないお薬が存在します。

具体的に言うと、中高年の男性の方特有の問題として、前立腺肥大というものがありますが、それに関わるお薬は女性は飲んではいけないお薬になります。

頻尿のトラブルは男女どちらにも起こりますが、同じ症状に見えても原因はまったく異なることがあるため、症状が似ているという理由だけで薬を飲んでしまうと、効果がないどころか、体にとって有害になる可能性もあるのです。

市販薬であれば、基本的には誰が飲んでも大きな問題が起こりにくいよう、用量や成分が調整されていますが、病院で処方されるお薬は、患者さんの年齢、体格、腎臓や肝臓の状態、併用薬、アレルギー歴などを総合的に考えて選び、調剤されています。

ですので、他人にとって問題なかった薬でも、自分にとっては量が合わなかったり、代謝できなかったりするということもあります。

そして当然、薬の飲み合わせや体質によって、アナフィラキシーショックのような重いアレルギー反応や、後述する副作用が起こる可能性ももちろんあります。

さらに、薬で一時的に症状が和らいでしまうことで、本来なら早期発見するべき重大な病が見つかるのが遅れる、というリスクもあるため、他人に処方されたお薬を飲んだり、分けたりするのは辞めていただければと思います。

副作用はすぐ出るとは限らない

そして副作用の問題ももちろんあります。

お薬の副作用というと、飲んですぐに出るもの、というイメージが強いと思いますが、実はそうとは限りません。

例えば、ダイエット目的で使われる飲み薬のリベルサスというものでは、食欲を抑える効果がある一方、吐き気などの副作用が出ることがありますが、副作用が出ると体の中から抜けにくく、長引くという特徴があります。

服用を中止しても、体内の薬の量が半分になって副作用が落ち着くまでにおよそ一週間かかるため、とても辛い時間を過ごすことになります。

お薬にはそれぞれ、体の中での残り方に違いがあり、副作用が数日後、あるいは数週間後に出るケースもありますので、副作用のことを考えても、他人に処方されたお薬を飲むのは非常に危険なことと言えます。

異変を感じたらまずは薬剤師へ

最後に、普段からのこととして、もしお薬を飲んで何となくおかしいとかいつもと違うと感じたとき、まずは薬局や薬剤師に相談してほしいと思います。

その症状が副作用なのか、様子を見てもよいものなのか、あるいはすぐ中止すべきなのかで、対応は大きく変わります。

ただし、息苦しさ、喉や顔の腫れ、意識障害、激しい胸痛、皮膚のただれといった症状が出た場合は、アナフィラキシーショックのような重篤な副作用の可能性があり、すぐに処置が必要ですので、迷わずに救急車を呼んでください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属