風邪をすぐさま治すために
10月も後半に入り、ついに朝晩の冷え込みが強まってきて、上着が欠かせない季節になってきました。不安定な天気で体調を崩す方も増えますが、気温が下がるとやはり風邪のリスクが高まります。
風邪とは、簡単に言うとさまざまなウイルスが体に入り、喉や鼻、全身の不調を引き起こしている状態の総称です。
多くの場合は、喉の違和感や寒気から始まり、鼻水・鼻づまり・くしゃみ・咳などの症状が現れ、最終的に発熱します。
ポイントは、これらの症状がほぼ同じ強さで出るのが風邪で、どれかひとつだけの症状が極端に強い場合は、扁桃炎やアレルギー、喘息、などのように部位ごとに何らかの別の病が起きている可能性があります。
一般的な風邪であれば、7〜10日ほどで自然に回復することが多く、特別な治療薬を必要としないケースがほとんどです。
言い換えると、最低でも1週間近くは必要になるということですが、万が一風邪をひいた時はなるべく早く治したいと思うはずです。
今回は風邪そのものと、風邪を1日でも早く、すぐさま治す方法という視点から、考えていきます。
抗菌薬はあまり効果が無い
まず始めに、風邪の際に用いられることが多い抗菌薬についてですが、風邪の直接の原因はウイルスですので、細菌を殺すために使う抗菌薬、抗生物質は、実は基本的に効果はありません。
以前は風邪によって免疫力が下がることによる、別の細菌への感染予防を目的として処方されることもありましたが、そうした二次感染はおよそ100人に1人程度にしか起きず、ほとんどの場合は不要です。
ただし、もし持病に喘息やCOPDがある方や妊婦さん、高齢者、免疫抑制薬を使用している方などは、感染が悪化することがあるため、抗菌薬が有効な場合もありますので注意してください。
痛いと思った時は初期ではない
今回の本題となる、風邪を早く治すためのポイントですが、いわゆる風邪の初期症状は、痛いと感じた時はすでに初期症状ではないと思ってください。
例えば風邪をひいた時は喉が痛くなる、という方であれば、痛みではなく、かすかな違和感を感じた段階が初期段階となります。
違和感を覚えた段階で、アズレンを含む喉スプレーなどの市販薬を充分に使うと、炎症を抑えてくれますので、風邪の症状を最小限に食い止めて、治っていきます。
アズレンを含むうがい薬も予防としては便利で、すでに喉に痛みが出ている時は殺菌力のあるイソジン(ポビドンヨード)を使うのがベストです。
普段から予防としてイソジンを使いすぎると、口の中の善玉菌まで減ってしまうため、治療時だけの使用がおすすめです。
漢方薬では桔梗湯(ききょうとう)が有効で、イソジンのように痛みが出た段階で、うがいをするように口に含んでから飲み込むと効果的です。
寒気や肩こりを伴う風邪は葛根湯(かっこんとう)が向いていますが、すでに発熱などによって汗をかいている場合は逆効果になることもあるため注意が必要です。
また、鼻水が多いタイプの風邪には小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が適しています。
前述のように喉の痛みだけが強いとか、他の症状はそれほど強くないのに高熱が突然出たといった場合は、扁桃炎やインフルエンザ、コロナ感染などの可能性もあるため、お医者さんに相談してみてください。
そして、いずれのケースの風邪でも、回復のために最も大切なのは、早く寝て体を休めることです。
初期段階を見逃さないことも大切ですが、違和感を感じた時点で体を冷やさないように暖かくして、水分をとってしっかりと休むことが、結果として最短で回復することにつながります。
逆に言えば、風邪をひいたような違和感があるのに、栄養や水分、睡眠をとらないとか、乾燥した環境に居続けるなどをすると、ウイルスが活発になり、悪化していく可能性が高まります。
風邪を寄せつけない生活の工夫
最後に、風邪の予防についてですが、やはり免疫力を高めることとウイルスを体に入れないことが基本になりますので、まずは規則正しい生活と十分な睡眠が大切です。
また、食事の前の手洗い、アルコール消毒も非常に効果的で、トイレのあとなども含めてこまめな手指消毒を行いましょう。
ウイルスの感染の多くは、手から顔への接触で起きるため、顔を触る回数を減らすだけでも予防効果があります。
そして、部屋の換気と湿度も重要になります。乾燥するとウイルスは長く空気中にとどまりやすくなるため、50〜60%ほどの湿度を保つと、ウイルスは活動が鈍くなるためおすすめです。
その他、水分補給も温かいお茶などをこまめにとるとか、外出時のマスクも予防につながりますので、是非実践していただければと思います。
