出汁と香りとスパイスで舌を整える!塩分オフでも満足する味覚リセット術#936

ダイエットのカギを握る味覚

最近、個人的にですがダイエットをしています。

そんな中で、順調にいっている効果なのか、味に関して敏感になってきた気がします。

単純に食べる量を減らして、噛む回数を増やしましたが、味が濃く感じるようになってきたのです。

今回は自分の例も踏まえて、人間が持つ味覚という感覚についてまとめて行きたいと思います。

味覚は変化する

まず、私たちが「おいしい」と感じたときに関わる味覚というものは、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味の五つです。

ちなみに少し前にご紹介した辛味は、痛みを感じる神経が刺激されますので、正確には痛覚に近い感覚です。

これら五つの味を正しく感じ取れなくなる状態がいわゆる味覚異常で、結果として食欲の低下や栄養バランスの崩れといった深刻な事態へつながります。

味覚異常の原因は口の中の乾燥、亜鉛不足、加齢による変化、鼻炎や副鼻腔炎による嗅覚の低下、喫煙、ストレス、薬の副作用など、さまざまな要因が関係しています。

他には、記憶に新しい新型コロナで、味が分からなくなる症状があったと思いますが、実際に風邪やウイルス感染の後は味を感じづらくなるケースもあり、味覚異常の引き金となることもあります。

味の感じ方を歪める「濃い味」

味覚異常は、いわゆる塩分などが多い濃い味に慣れた状態でもあります。

つまり、普通の塩分量では味が薄く、物足りなく感じるようになっている状態で、摂る調味料の量が増える悪循環に陥ります。

塩分量が増えるということは、言うまでもなく高血圧などの生活習慣病に直結するため、心当たりがある場合は改善するのが望ましいです。

もし濃い味に慣れていると思ったら、一度味覚をリセットして、元に戻すことが大切です。

味覚を整える減塩の工夫

味覚を整えるためのポイントとしては、今の自分がどれだけ塩分を摂っているかを見える化する、ということがあります。

例えば食品や調味料のラベルにある、食塩相当量を確認するだけでも、日々の摂取量を意識できるようになります。

ちなみに、現在日本で推奨されている食塩摂取量の目標は1日6g未満ですが、実は一般的な食生活だと6gはすぐに超えてしまいます。

いきなり減らすと満足感が得られず、かえって強いストレスになりますので、1日6gはあくまでも参考程度にとどめて、徐々に減らしていくのがベストです。

まずは調味料を工夫して、塩分量を減らすというのがおすすめです。

具体的には、醬油は小さじ1杯がおよそ5mlで、食塩量で言うと0.8から9g程度の量になります。

そこで醬油を減らすと味そのものが大きく変化しすぎるため、醤油を使う場合は減塩タイプに変えてみると、味を保ちつつ塩分量を抑えられます。

また例えばうま味や酸味、香りといったものをうまく組み合わせることで、感じる味がはっきりして、満足感を保てます。

レモンやポン酢を加えるのは分かりやすいですが、塩や醬油の代わりに、昆布や鰹節、干し椎茸などの出汁を多くいれてみると、塩分量が減りながらもしっかりと味付けがされるため、とてもおいしい仕上がりになります。

また、甘味についても、お菓子やジュースの量を控えて、果物などで自然な甘みから摂るようにすると、味覚が穏やかに整います。

決して一気に減らさずに、少しずつ段階的に行うことが長続きのコツで、およそ1週間をかけて1割から2割程度減らして、1カ月でトータルで従来の半分ぐらいまでの塩分量に慣れるととても健康的です。

バランスよく栄養をとること・舌と鼻のケアをすること

最後に味覚異常の予防についてですが、味覚異常を起こしやすいのは、何らかの栄養が著しく不足している恐れがあります。

例えば、亜鉛やたんぱく質の不足は味覚異常を起こしやすくなる引き金になるため、牡蠣や赤身の肉、卵などを意識して摂るのがベストです。

栄養面以外では、舌と鼻のケアが大切です。

舌には舌苔という、文字通りコケのような器官がありますが、これを歯磨き時に軽く磨いて、余分なのを取り除くと、口臭予防と同時に味覚保護の効果が得られます。

逆に磨きすぎて、舌苔をとりすぎてしまうと悪影響ですので注意してください。

また、水分をこまめにとって口の中を乾燥させないことも大切で、口呼吸ではなく鼻呼吸を意識することも味覚の維持に役立ちます。

また朝食には、味噌の量を抑えて、出汁をしっかり効かせた薄味のお味噌汁を飲むのもおすすめです。

少量の味噌と出汁の旨味で満足感を得ながら、1日の味覚をリセットできます。

外食だと難しいこともあると思いますが、例えば、たれやドレッシングを半分に減らしたり、逆にレモンなどの酸味を加えるなどで塩分を調整しましょう。

ちなみに、金属のような味を感じたり、何を食べても美味しくないと感じる場合は、何らかの異常が起きている可能性がありますので、内科か口腔外科、耳鼻科のお医者さんを受診していただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属