乾燥肌を寄せ付けない保湿の仕方
秋から冬にかけて多くの人が悩まされるのが「乾燥肌」です。
寒さが厳しくなり、患者さんでもお肌のトラブルで来られる方が増えてきています。
乾燥肌とは、医学的な正式名では皮脂欠乏症や乾皮症と呼ばれるもので、皮膚の一番外側にある角質層の水分や油分が減少して、皮膚のバリア機能が弱まった状態を指します。
voicyでも度々触れておりますが、今年も冬を迎える今、しっかりと保湿対策をして乾燥肌対策をしてみてください。
乾燥肌と似た別の病の可能性も
まず一般的な乾燥肌は、お肌の角質層がセラミドや皮脂といった成分によって保湿されていますが、これらの成分が不足することで、外部刺激から守る力が落ち、乾燥した状態になります。
そこで、肌のかゆみや粉ふき、ひび割れといった症状が現れ、乾燥肌となります。
寒い外気と暖房などによって室内が乾燥して、温度差も大きくなる冬は、肌の水分が非常に奪われやすく、より悪化しやすくなります。
体質的に肌のバリア機能が弱い方やアトピー性皮膚炎を持つ方、高齢者などはより注意が必要です。
ちなみに、乾燥肌ではかゆみの症状が起きますが、その原因は乾燥ではない可能性もあります。
例えば、加齢によるホルモンバランスの変化や、甲状腺、腎臓や肝臓などでの内臓疾患が関係している場合もあり、服用中のお薬によって原因でかゆみや乾燥が起きることもあり、中には血圧の改善で使う利尿薬によって乾燥肌が起きるケースもあります。
また、乾燥肌と、接触性皮膚炎、いわゆる、かぶれている状態のお肌を見分けることも大切です。
何らかにかぶれている場合は、特定の部分が炎症のように赤くなって、強いかゆみが起こりますが、乾燥肌では全体的にかさつき、粉をふいたような症状が起きます。
ヒリヒリ感や赤みが強い場合は乾燥以外の原因も考えられるため、症状が不自然に続くときは皮膚科を受診するのがベストです。
保湿は入浴後2分以内に
乾燥肌のケアの基本は、やはり保湿です。
ポイントになるのは、お風呂上がり2分以内に保湿剤を塗ることです。
入浴後は皮膚からどんどん水分が蒸発しますが、およそほど15分経つと、お風呂で得た肌の水分の大半が失われるとされています。
ですので、タオルで軽く汗や水分を拭き取ったら、すぐに保湿剤を塗ってください。
保湿剤を複数使う場合は、化粧水のような水分の多いものを最初に使って、その次に乳液やクリームなどの油分の多いものを使って重ねるのが基本です
例えば全体に軽く塗るのはローションタイプで、かゆみが強い場所など気になる部分があれば、クリームタイプを重ねて使うなどが効果的です。
また、かかとのように硬くガサガサと乾燥した部分には尿素入りの保湿剤が有効ですが、ひび割れている部分には刺激の少ないヒルドイド系やワセリン系で、フタをするようにひび割れ部分に塗って、保護をするとなお良いです。
保湿剤を塗る量としては、クリームだと人差し指の第一関節から指先までの量でおよそ手のひら2枚分、ローションだと1円玉サイズで同じく手のひら2枚分程度の範囲を塗れます。
塗った部分のお肌が少し光る程度がちょうどよい量の目安ですので、意識していただければと思います。
ちなみにかゆみが強い時は、かゆみのある部分を冷たいタオルなどでしっかりと抑えて冷やして、かゆみが引いたタイミングで保湿剤を使ってください。
もし、冷やしてもすぐにかゆみがぶり返すことが3回ほど繰り返したり、かゆみだけではなく赤みが出てくる
生活習慣と環境を整えて乾燥を防ぐ
最後に、やはりスキンケアだけでなく、生活全体の見直しも重要です。
お風呂については、お湯の温度は40℃前後で、入浴時間は10分程度が理想です。
42℃以上の熱いお湯や長風呂は皮脂を奪いすぎますので注意してください。
そして、体を洗うときは、ナイロンタオルでゴシゴシとこすらずに、泡を手で乗せてなでるように洗うだけで充分汚れは落ちます。上がってからタオルで拭くときも決してこすらずに、軽く押さえるようにするのが望ましいです。
室内は湿度を40から60%に保って、暖房やエアコンの風が直接肌に当たらないようにするのが理想です。
衣類や肌着は、綿やシルク素材を選ぶと刺激が少ないためおすすめです。
栄養面では、やはり肌の材料となるタンパク質をしっかり摂ることが大切です。
タンパク質は特に、年齢を重ねると不足しやすい栄養素ですので、お肉だけではなくお魚や豆類、乳製品なども含めて積極的に摂っていきましょう。
そしてもちろん、肌を修復するための十分な睡眠も欠かせませんので、ストレス対策なども含めて心がけて頂けると良いかと思います。
