3大幸せホルモンその2!ドーパミンって何?#752

喜び・快楽に関わるドーパミン

前回、セロトニンについてご紹介しましたが、今回はドーパミンについてです。

メジャーなもので、ご存じの方も多いと思いますが、ドーパミンは人間が感じる喜びや快楽、やる気といった部分に作用するホルモンのことです。

車の運転などで、集中力が高まっているときなども分泌されるため、仕事の効率を高めるということにもつながりますが、逆に出すぎるとその行為にのめりこみやすくなり、依存になる恐れもあります。

このドーパミンが出すぎるのを防ぐためにも、前回のセロトニンが働きます。

今回はこのドーパミンについて、詳しくご紹介していきます。

ドーパミンが不足すると

牟田さんとの対談の中でも、ドーパミン的幸福感を求めすぎるのはよくない、というような一幕がありましたが、同時に、一律でドーパミンが悪いというものでも無い、とも仰っていたと思います。

ドーパミンが体内で不足すると、まずやる気や活力といったものが衰えてきて、無関心になるとか、深刻になると無表情で、感情の起伏も無くなってくるような形になります。

また集中力を高めて作業効率を上げる働きもありますが、ドーパミンが不足するということはそれらも逆に無くなっていくことになります。

つまり簡単に言えば、ドーパミンが不足すると、うつの傾向が出てきてしまうのです。

ですので必然的に、不安感や不幸感を感じることにもなってきます。

また、パーキンソン病という病がありますが、これはドーパミンが何らかの理由で体内で分泌されなくなると、運動機能に影響が出てしまい、手足のしびれ、硬直といった症状が出ます。

このメカニズムはまだ解明されていませんが、ドーパミンを外部から体内に補給することで、しびれや震えといった手足の筋肉の不調が解消されるというのは明らかになっています。

ドーパミンを増やすために

以上を踏まえて、ドーパミンを増やすために大切なことですが、前回のセロトニンの回と同様に、人間の気分の問題であり、環境やストレスの部分も非常に大きいですので、増やせればそれでいいという問題ではありません。

それを踏まえて、ドーパミンを増やす方法をまとめていくと、まず体の刺激となる物質を含むものをとると、ドーパミンが出やすいとされています。

例えばコーヒーやコーラのような清涼飲料水に多いカフェイン、辛いスパイス、香辛料が多く含まれているカレーなどの辛い料理、そしてアルコールです。

こうしたものは体にとって刺激物で、受け付けない人もいますが、受け付ける人にとってはドーパミンが出る一つの要因になります。

そしていずれにも共通しているのが、依存、過剰症になる恐れがあるという点です。

カフェイン中毒やアルコール中毒については以前voicyでも取り上げましたが、辛い料理もそれでドーパミンが出るのに慣れ、好きな刺激になっていくと、スパイスの量がどんどん増えて行き、一つの中毒になる可能性があります。

次に、ドーパミンの原料となる成分ですが、これは前回のセロトニンと同じく、アミノ酸でたんぱく質類からとることができます。

正確には、フェニルアラニンとチロシンという成分ですが、どちらもアミノ酸の一種で、お肉類や乳製品に多く含まれます。

増やす方法についてですが、生活習慣の見直しはもちろん効果的ですが、一番確実なのは目標を達成することで、ドーパミンが出る、ということです。

先日の牟田さんとの対談の中でも、数字の目標を設定して、それを追い求め、達成していくことでドーパミンが出る、といったお話があったと思います。

数字ではなくとも、本当に些細なことでも大丈夫なので、一つのゴール、目標を決め、それを達成していくと、達成感、充実感が得られます。この時、ドーパミンが出ていると考えて差し支えありません。

小さな些細な目標とは、例えばこの仕事、この時間が終わったらお菓子を食べる、一休みする、とか、家に帰ったら好きなことをする、など、普段からそれほど意識せずにやっているかもしれませんが、こうしたことでも実はドーパミンが出ています。

また、好きな音楽を聴きながら何かの作業をすると効率が上がったり、集中力が上がると思いますが、これもドーパミンの作用によるものです。

こうしたことを意識して、ドーパミン、セロトニンが不足しないように、気を付けてみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属