新型コロナ第9波はどう乗り切るの?#724

新型コロナ陽性者が増加傾向に

今年も7月に入り、新型コロナ、covid-19もすっかり落ち着いた様子になって久しいですが、実は検査制度自体はまだ継続しており、陽性者の把握も続いています。

当薬局でも無料の抗原検査を引き続き行っておりますが、少し前までは陽性となったのが1日1件か、0件の日もあるほどでしたが、最近は1日1件や2件と、陽性者が確認される日が増えてきています。

また周りの知り合いからの話でもコロナによる学級閉鎖がところどころであり、さらに先日日本医師会から、第9波に入った判断できる、という発表もありました。

今回は新型コロナについて、最新情報をいくつかまとめていきたいと思います。

データの収集方法に違いが

少し前までは定点報告があったため、一応は感染者数の推移が把握できましたが、第5類に変わったことで定点報告と義務がなくなり、医療機関ごとにデータを収集するようになり、以前よりも実態を把握するのが非常に難しくなっている現状があります。

現在は基本的には、1週間ごとに1医療機関あたりのコロナの患者数という形で調べられており、この数字で言うと3週間ほど前は1医療機関でおよそ5.6人だったのが、2週間前には6.1人となっています。

5類になった直後の5月の連休明けごろでは、2.5人だったため、5類移行後から見ると単純計算で2.5倍に増えていることになります。

さらに現状はまだ増加しているさなかですので、今が第9波の入り口としたら今月後半や来月中ごろ、お盆ごろにピークを迎えるという可能性も高いと言えます。

現在の1つの医療機関当たり6.1人の患者さんがいるという数字も、実は5類移行前のピーク時と比べたら多い数字ではなく、今後増える可能性は充分考えられます。

現在流行中の変異株

次に、現在流行中の株についてですが、直近ではオミクロン株が流行しており、オミクロン株の派生のBA.5などがあったと思いますが、実は現状では変異や派生が増えすぎており、研究は続けられていますが正確にどれの流行が強い、ということは把握できていません。

傾向としては感染力は引き続き強いものの、重症化はしづらく死亡率もこれまでの株よりは弱いことは明らかになっています。

このことはWHOからの発表ですので、信ぴょう性は高いと言えます。

また、無症状感染も引き続き多いため、感染が広がるということは重症者が増えることになりますので、重症化しづらく死亡率が低いとはいえ、やはり完全に弱毒化したとは言い切れません。

さらに後遺症についても、今後ますます大きな課題となってくることは想像できます。

治療と予防の最新情報

最後に現状のコロナの治療についてですが、これまでは薬の処方は重症かリスクの高い人や高齢者など、対象が限定されていましたが、現在は一時よりは流行が落ち着いていることもあり、処方されるケースが増えています。

種類としては変わっておらず、ラゲブリオ、パキロビット、ゾコーバと以前お伝えしたものと変わっておらず、いずれも発症から72時間以内に飲まないと意味がないため、素早い診察と処方が必要になります。

またこれらは飲み合わせが悪いお薬が非常に多く、女性に関しては胎児に影響が出るため、しばらくの間は避妊の必要が出てきます。

薬については、先日自分の知り合いからゾコーバの処方について相談があり、ゾコーバは処方される際に誓約書のような、注意書きに目を通してサインする必要があり、本当に薬は必要なのかと連絡してきたことがあります。

その方は症状が出てから時間もたっており、症状も37度台の熱と喉の痛み程度で、重症化する恐れが無さそうだったので、心配なら飲まなくてもいいのではと、伝えておきました。

このように治療薬はありますが、正直まだ難しく使いづらい部分もあるため、今の症状の重さや自分の重症かリスクを考慮して、飲むかどうかを判断するのも充分効果的かと思います。

最後に予防についてですが、やはり今まで通りの感染対策を続けることをおすすめします。

室内の換気、手洗い、手指の消毒はもちろん必要ですが、マスクも室内や密室であればつけることが望ましいです。

神経質になる必要はありませんが、可能な限りこれまで通りの感染対策をしていきましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属