骨は静かに弱る!転ぶ前にできること#959

骨密度が落ちてきたら

先日、1年の間に骨密度が一気に落ちて落ち込んだという患者さんとお話をしました。

年齢は80代で、およそ1年前は95%ほどで骨年齢で言うと50代ほどで若々しかったのが、先日測ったら70%と一気に下がり、骨粗鬆症のお薬を飲むようになった、と嘆いていました。

今回はこのお話から、久しぶりに骨粗鬆症そのものについて、取り上げていきたいと思います。

骨粗鬆症とは

骨粗鬆症とは、簡単に言うと骨がスカスカになり、少しの衝撃でも骨折しやすくなるという病で、詳しくは後述しますがこれで特に問題になるのが骨折の怪我です。

人間の骨は、歯のように一度作られたら終わりというものではなく、毎日のように、壊しては作るという新陳代謝を繰り返す細胞です。

骨粗鬆症になると、この新陳代謝をのバランスが崩れ、骨を壊すほうの働きが強くなります。

その結果、骨の中に隙間が増え、骨そのものがもろくなります。

骨粗鬆症が進行して骨が弱くなっても、基本的には痛みはほとんどなく、骨折して初めて気づくか、検査で指摘されて初めて分かることが多いという特徴があります。

骨折は生活に支障が無い部分で起こればまだセーフですが、大腿骨、股関節を骨折すると非常に治りにくく、治るまでは寝たきり状態になる必要があるという、非常に厄介な部位になりますが、大腿骨は太い骨ですので突然折れることはまずありません。

骨粗鬆症が見つかりやすいのは、背骨の圧迫骨折がきっかけとなるケースで、例えば軽い尻もちをついた後や、くしゃみ、重い物を持ったなどで不意に衝撃がかかった際などです。

また、不自然に背中や腰が痛くなったとか、身長が明らかに縮んだ、背中が丸くなってきたと感じた場合も、背骨の圧迫骨折によるもののことが多いです。

こうした変化に気づいた段階で、整形外科を受診できれば、骨粗鬆症の早期発見となり進行を防げます。

治療の目的は骨折を防ぐため

骨粗鬆症の治療の最終目的、ターゲットとなるのは、骨密度の数値を上げていくことではなく、骨折のリスクを減らすということで、血液検査や尿検査、画像検査などを総合的に判断してお薬が選ばれます。

骨粗鬆症は前述のように、骨を壊す働きが活発になりすぎているがために起こっていますので、基本的にはそれを抑えるお薬を使います。

週に一度や月に一度の服用で効果が期待できるものもあり、症状が軽い場合は骨を作る働きを助けるビタミンDを主成分としたお薬を使うこともあります

骨と言うとカルシウムという成分が有名ですが、カルシウムのお薬も実際にありますが、不用意に摂りすぎると悪影響が出るリスクもあるため、最近は必要な場合に限って使われることが多いです。

すでに骨粗鬆症が大きく進行して、骨折のリスクが極めて高いという場合には、骨を作る力を高める注射のお薬を使うこともあります。

骨を守るために筋肉をつける

骨粗鬆症の対策についてですが、やはり運動と生活習慣がカギになります。

特に重要なのが筋肉で、簡単にいえばこけたりふらついたりしないように、きちんと立って、歩ける程度の筋肉量は維持する必要があります。

運動をしなければ当然、筋肉は衰えて転倒しやすくなり、骨折のリスクがあります。

見方を変えれば、少し骨が強くなったとしても、衝撃が加わっては折れてしまいますので、骨に無理な衝撃が加わらないように、骨をきちんと支え、守る筋肉をつけることのほうが重要なのです。

骨自体も刺激が加わることで、ある程度は強くなりますので、やはり適度な運動が大切になります。

今から貯金をする

最後に予防についてですが、骨は栄養を重点的に摂るなどで、突然強くするということは出来ません。

貯蓄のように若いうちから貯めておく、という考え方で、今の生活からきちんと栄養を摂っていくのがベストです。

例えば栄養では、カルシウムはもちろん大事ですが、カルシウムはビタミンDと組み合わせないと体内に取り入れられませんので、日光を浴びて体内でビタミンDを合成して作っていく必要があります。

ですので、朝に外を散歩するのは、骨への刺激と合わせてとても効果的です。

高齢などで毎日外に出るのが大変というときは、かかとの上げ下げやつま先立ちをするだけでも運動になります。

他には、ダイエットのしすぎ、痩せすぎによって体重が軽くなると、骨への刺激が減って骨密度低下の原因になるため、注意が必要です。

もちろん太ることでも負担になるため、やはり適正な体重で、生活習慣や食生活を意識するのが最もおすすめな予防策と言えます。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属