慢性蕁麻疹はどうしたらよい?#713

慢性蕁麻疹とは

先日知り合いの方が「ずっとかゆい、ぶつぶつができる」というお話になりました。

市販薬のレスタミンというアレルギーのお薬を飲んだら少し症状が治まって調子が良くなるものの、少し経つとかゆみが再発するというものでした。

これはおそらく、慢性的な蕁麻疹の可能性があると思いました。

voicyでは慢性蕁麻疹について触れたことが無かったようですので、今回はこれを機に慢性蕁麻疹についてお話ししたいと思います。

生活に支障をきたすほどのかゆみ

蕁麻疹、慢性蕁麻疹は何よりも「かゆみ」が最大の症状となります。

かゆいのは痛いのよりマシと思われそうですが、痛みに負けないほど生活の質を下げる、QOLを下げる大きな一因となります。

特に慢性蕁麻疹の場合は、日常生活に支障をきたすほどのかゆみが出ることもあり、見た目としては少し赤くなったり、ぽつぽつとした発疹やミミズ腫れのようなものができることもあります。

原因としては、何らかの刺激によって起こり、例えばお子さんの場合であればプールの塩素によって起こることがあり、プールに入っただけで全身が赤くなったり、かゆみが起こって重大な事態になるというケースもあります。

また食物アレルギーによる刺激で起こるとか、寒冷蕁麻疹と言い、温度差によって赤みやかゆみが起こるのも蕁麻疹の一種です。

ですので、体が何に対してアレルギー反応を起こすのか分からないのと同じく、何によって蕁麻疹が起きるかはほぼ分からない、というのが現状です。

プールの塩素や特定の食べ物など、原因がわかっている場合はそれを避けるのが唯一の解決策ですが、それがわからない場合も多く、さらに今回のきっかけとなった慢性蕁麻疹のほとんどは、食事などで症状が出ることは無く、原因が非常に分かりにくいという特徴があります。

慢性蕁麻疹は、夕方から夜にかけて起こることが多く、症状が出てから1日以内には引くもののまたぶり返してしまう、という症状がおよそ6週間以上続いているものを、慢性蕁麻疹と定義されています。

原因がわからない蕁麻疹を特発性蕁麻疹と言い、慢性蕁麻疹はこれのことを指します。

アレルギー用のお薬を飲んで治療していく

慢性蕁麻疹は前述のようにアレルギー反応のようなものですので、確固とした治療法があるわけではなく、治る場合はいつの間にか治るということが大半です。

時間は個人差があり、早ければ数か月で症状が出なくなることもあれば、数年かかっても症状が出続けるという方もいます。

治療としては、対症療法で症状が出るたびにそれを抑えるという治療しかありません。

ですのでまずはアレルギー用のお薬が候補に挙がりますが、次は薬を辞めるタイミングが難しいという問題が出てきます。

個人差も大きいため何とも言えない部分もありますが、お薬を飲んで蕁麻疹の症状が治まってから、2か月ぐらい飲み続けて、そこから薬を減らしてみて、症状が出てきたらまた飲み始めるというような形でコントロールしていくのがベストです。

薬を減らして、飲まなくなっても症状が出てこなくなれば完治となります。

食べ物・外部からの刺激に注意

一番確実な予防、治療は蕁麻疹が出る原因を探すことに尽きますが、自力で探すのは非常に難しいですが、何らかの拍子に見つかるということもあります。

例えば新しく買った家具の材質など、環境の変化が何らかの刺激になっていたとか、以前ネットで見たことがあるのが、どんなアレルギー用のお薬を試しても蕁麻疹が引かないという方が、全く関係ないと思われていた歯の治療をしたところ蕁麻疹が治まった、ということもありました。

このように、全く思いつかないようなものが蕁麻疹の原因となっていることもあるため、以前触れたようなアレルギーの検査でわかることはほとんどありません。

ですので、まずはアレルギーを起こしやすい食べ物や添加物を控えるとか、蕁麻疹であれば化学繊維の肌への摩擦も大きな一因となるため、そうしたものから離れるというような対策をしてみてください。

またこれも詳しいメカニズムは不明ですが、食後すぐに運動をすると蕁麻疹の症状がひどくなるというケースが多いため、食後すぐの運動は控えるのも一つの予防になります。

あとはやはり、ストレスや免疫力の低下も蕁麻疹の原因になるため、普段からため込まないようにすることや、睡眠をきちんととって体力をつけるのも充分予防になるため、意識していってください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属