動悸の謎を解き明かす!見逃せない危険なサインは?#795

動悸という症状とは

今回も前回までのシリーズに続いて、コモンディジーズについてのお話です。

今回は、動悸という症状についてです。

先日、狭心症の患者さんとお話しした機会もあったため、今回取り上げてみたいと思います。

心臓の速さが不安定になる

動悸とは、簡単に言うと心臓の速さや強さが不安定になるという症状です。

突然激しく、勢いよく打つ感じになったり、逆にゆっくりと弱弱しい速さになったりするのも、動悸の一つです。

代表的なのが頻拍と言い、拍動の数が多くなるものです。

これはおよそ、1分間に100回心臓が動くと頻拍になり、何らかの問題が起きているため注意が必要、と言えます。

動悸の症状が起きる原因は様々ありますが、やはり心臓や血管にまつわる部分が多く占めます。

例えば、不整脈も動悸を引き起こす病の一つで、これも原因は様々ありますが、例えば心房や心室がしっかりと動かず、けいれんするようにわずかにしか動かず、血液が送れなくなる、というのも一つの原因です。

また心筋梗塞も有名で、血管が詰まることで心臓全体が酸素不足になり、働きが大きく落ちることで動悸が起きていることもあります。

これは言い換えれば、以前お伝えした貧血でも、ヘモグロビンが酸素を運んでいますので、ヘモグロビンの働きが低下することで動悸が起こることもあります。

心臓に関すること以外では、甲状腺機能亢進症という病で、甲状腺ホルモンが異常に多く分泌することも動悸の原因の一つになります。

甲状腺ホルモンは心臓の働きに関わるホルモンですので、甲状腺の機能の低下が動悸を引き起こす、ということもあります。

そしてパニック障害に代表されるような、精神的な影響でも動悸は起こり得ます。

危険な動悸のサイン

動悸という症状は、一時的には起こることもあり、実際に起きてもすぐに収まって元に戻る程度であれば特に問題無いこともあります。

ですが、突然痛みを伴って起きたり、呼吸が苦しくなったりする場合は、心筋梗塞や心不全で重大な事態が起こる場合もあるため、救急車を呼んでください。

次に、動悸と同時に、頭がボーっとしたり、ふらついたり、倒れそうになった場合は、深刻な不整脈が起きている表れで、脳に酸素が行っていない状態ですので、これも救急車を呼んでください。

意識はしっかりしていて、救急車を呼ぶほどではないという自覚があっても、不自然に頭がボーっとしてしまうようなときはすぐに病院に連絡して相談してください。

また、一度起きた動悸が数時間以上長時間続いている場合や、動悸が治まるのは一瞬で、1日に何度も心臓の動きがおかしいと自覚する場合も、循環器科などのお医者さんに相談してください。

ストレスなど精神的な病の可能性もありますが、まずは心臓の病院に行ってみるのがおすすめです。

動悸と一緒に発熱や発汗、重い疲労感がある場合は、重い風邪のような何らかの感染症の可能性や、前述の甲状腺機能亢進症の疑いがありますので、これも症状に合わせてお医者さんに相談するのがベストです。

激しすぎない運動をして心臓をいたわる

動悸を予防するために大切なこと、と一口に言っても、やはり規則正しい生活とバランスの取れた食生活に尽きます。

ただ、心臓においては、突然激しい運動をすると非常に重い負担になり、重大な事態を招く恐れがありますので、激しすぎない運動をする、ということを心がけてください。

運動は健康的な生活に欠かせませんが、激しいと心臓にも悪影響が出ますので、必ず無理なく、負担にならない程度から始めてください。

次に刺激物も心臓には悪影響で、特に重いのがアルコールです。

アルコールは心臓に負担になりやすく、動悸が起きやすいですので、量を決めて、休肝日を作って飲むようにしてください。

食事で言うと塩分も重要で、高血圧などがある方は、塩分に気を付けるように、と言われていると思いますが、塩分量が多いということはドロドロ血液になり、自然に血管に負担がかかっている状態になるためです。

ドロドロの血液を動かすために、心臓の動きも重くなり、自然と酷使するような状況になっているのです。

ですので塩分を控えて、水分をこまめにとることを意識するようにしてください。

最後に、メンタル面からの動悸は、例えば音や光が激しい場所などで、落ち着かない場所に行くと起こることがありますので、そうしたところを避けるのも一つの手です。

パニック障害などの精神的な部分で言うと、現在オンライン診療が可能なメンタルクリニックもあるため、もし心当たりがあれば利用してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属