危険な事態も起こる頭痛
今回は、前回からのシリーズで、頭痛についてです。
頭痛は、痛み止めの処方や販売において非常にポピュラーなもので、老若男女問わず全世代的に悩んでいる方が多い病です。
頭痛に際して痛み止めを販売するのは、薬剤師としてはかなり気を遣うケースです。
それは、頭痛においては、痛み止めでは対処してはいけないというケースも多いためです。
頭痛に関してはこれまでも取り上げたことがありますが、今回は今一度、頭痛そのものについて、再度取り上げてみたいと思います。
頭痛の種類
まず、頭痛の種類について簡単にまとめてみると、最も代表的なものが緊張型頭痛というものです。
頭全体が圧迫感を感じるような、ずきずきと締め付けられるような痛みの場合です。
長時間のデスクワークのような、同じ姿勢を取り続けている時や、ストレスによって肩こりと同時に起こることがあります。
原因は非常に様々あり、ホルモンバランスの乱れや気圧や気温の変化によって起こるなど多岐にわたるため、一概には言えないケースです。
次に多いのが偏頭痛です。
偏頭痛は文字通り、頭の一部に偏って痛みが起こるもので、脈打つような痛みが多く起こります。
また、光や音に敏感に反応するのも特徴ですが、これも原因を特定するのが難しく、遺伝的な要因で偏頭痛が起きやすくなっているということもあります。
次が群発頭痛で、目の周りに極端に激しい痛みが走るのが最大の特徴です。
まさに、目が抉り出されるような凄まじい痛みが、何週間や何カ月かにわたって、周期的に起こるという頭痛です。
これも原因は不明で、はっきりとしたことは未だに分かっていません。
そして、薬剤師として非常に心配なものが、薬物乱用頭痛です。
これは前述の痛み止めに関連する頭痛で、頭痛の際にお薬を使って痛みを止め過ぎてしまうと、お薬の効果が切れた時に痛みが強まったり、痛み止めそのものが効かなくなってくる、と言う事態が起きます。
最後が二次性頭痛で、他の何らかの原因によって起きている頭痛で、例えば脳梗塞や高血圧などによって起きている頭痛や、怪我で衝撃が加わったことで痛みが起きているような場合のことです。
突然の激しい頭痛はすぐに救急車を
以上を踏まえて、すぐに救急車が必要なケースとしては、突然激しい痛みが走った場合です。
普通の頭痛は、痛みが徐々に増えてくる場合が多いです。
何らかの前兆や違和感のような、軽い痛みから徐々に強まって来る、という頭痛の場合は、何らかの異変は起きているものの、救急車を呼ぶほどの急を要する事態ではありません。
ですが、不意打ちで突然鈍器で殴られたような、何の前触れも無く、突然激しい頭痛が起きた場合は、脳出血や動脈瘤破裂のような、命に関わる事態になりやすいですので、必ず救急車を呼んでください。
次に痛み以外の場合だと、これも何の前触れも無く突然、視界や見え方がおかしくなったり、呂律が回らなくなったり、体の片側が麻痺したように動かなくなったという場合も、突然の脳梗塞の可能性があるため、すぐに救急車を呼んでください。
それ以外では、高熱と吐き気を伴う強い頭痛は、髄膜炎の可能性があるため、これも救急車を呼んで素早い処置が必要になります。
次に、視界の一部が、漫画の吹き出しで驚いたコマに使われるような、ギザギザとしたものが現れたり、激しい耳鳴りが起こったりすると、高血圧による頭痛や偏頭痛の可能性が高いため、市販のお薬で対処し続けるのではなく、病院に行って診察を受けてください。
もし慢性的な頭痛があり、市販の痛み止めを月に10日以上使っているような場合では、薬物乱用頭痛が起きている恐れがあるため、その場合もお医者さんに相談してみてください。
睡眠をきちんととって体力をつける
頭痛の予防と対策は、様々な原因があるため一概には言えませんが、やはり規則正しい生活や偏らずにバランスよく栄養を取る食生活、そしてストレス対策が大切になります。
ポイントになるのが睡眠で、しっかりと深い睡眠をとって、体全体を休ませることが頭痛の予防につながります。
食生活についてですが、偏頭痛においては偏頭痛を起こしやすい食品と言うものがあり、チョコやコーヒーなどに多いカフェインや、チーズに注意が必要と言われていますので、もし心当たりがあれば少し量を控えるのも手です。
また、お菓子やインスタントの食品に多く含まれるうま味成分の一つの、グルタミン酸ナトリウムという物質も頭痛を起こしやすいとされていますので注意してください。
最後はやはり、ストレスも頭痛の大きな一因になりますので、ストレス解消法をいくつか持っておくことがおすすめです。
ちなみに、眼精疲労からも頭痛が起こりますので、デスクワークなどの際には目のストレッチをしたり、目を温めるなどで血行を良くすることも試してみてください。