オミクロン対応とインフルエンザ、この冬のワクチン接種はどうすればよい?#651

今年のインフルエンザはどうする?

今年も10月に入り「インフルエンザワクチン」の季節がやってきました。

インフルエンザはcovid-19の流行が始まってからは目立った流行が無いものの、個人的には毎年、「流行るかも」とお伝えしており、言ってしまえば「流行る詐欺」をしているような形になっています。

そして今年はオミクロン株用のワクチン接種がこの時期に始まり、今年もワクチン接種について様々な議論が交わされることが予想されます。

今回は今年のインフルエンザとワクチン接種について、少しまとめて行きたいと思います。

インフルエンザの流行の仕組み

インフルエンザ流行の仕組みはvoicyでも度々触れておりますが、南半球からの人の往来によって左右されるという特徴があります。

日本ではオーストラリアでの流行が一つの目安となっており、今年のオーストラリアの流行は過去5年で最も多い事が明らかになっています。

オーストラリアでの冬季は日本が6,7,8月ごろとなるため、オーストラリアでインフルエンザが流行するのは寒くなり始める4月ごろで、今年も4月ごろに最初の感染の増加が起きました。

この時の数字が、過去5年間で最も多い数字になったのです。

その上で、今年は水際対策が一段と緩和されたため、外国人の入国者数も過去2年間より一層増えることが予想されることから、日本でも例年のようなインフルエンザの流行が起こる可能性がある、という事です。

インフルエンザワクチンの仕組み

次に、使用するインフルエンザワクチンの仕組みですが、現在は1つのワクチンで4つのウイルスに対応できるように製作、供給しています。

ただ、たまにインフルエンザのワクチンが今年は効きにくいとか、合わなかった、という言い方がされることがありますが、それは流行したインフルエンザのウイルスの形が、供給のワクチンと違う事があるためです。

これは現在のcovid-19とよく似ていますが、従来型やデルタ株、オミクロン株など、covid-19のウイルスにも様々な形があるように、インフルエンザにも「A型」「B型」があります。

AとBのそれぞれの種類の中に、さらにいくつも種類が分かれており、流行したものに適したウイルスのワクチンが供給されなければ、効きが悪くなるのです。

ワクチンの中に入る抗体を決めるのが、オーストラリアを筆頭とした南半球で流行している株です。

ですので例年10月ごろに接種が開始されますが、5月ごろから南半球での流行の様子を捉えています。

ちなみに今年は4月時点で流行が目立ったため、もしかしたら大きく外すことは無い可能性が高いと言えます。

そして今年のワクチンはA型がヴィクトリア株、ダーウィン株、B型がプーケット株オーストラリア株となっています。

インフルエンザワクチンとオミクロン株ワクチンは同時接種が可能

このインフルエンザワクチンと、これから接種が本格的に始まるオミクロン株ワクチンは、同時接種が可能です。

通常、何らかのワクチンを2種類打つ場合は、原則として13日間は開けるようになっていますが、このオミクロン株対応ワクチンと今年のインフルエンザワクチンとは、同時に打った際の有効性と安全性も問題ないことが証明されています。

接種スケジュールですが、オミクロン株対応ワクチンは先日9月26日からスタートしており、対象は3回目の接種を受けていない12歳以上の方で医療従事者や65歳以上の高齢者の方、基礎疾患のある方が対象となっています。

ですので1回目2回目の接種をしていない方は対象外ですので、オミクロン株対応ワクチンを打つ場合は先に従来型のファイザー社、もしくはモデルナ社のワクチンを打つ必要があります。

個人的には、オミクロン株対応ワクチンの対象に12歳未満のお子さんが入っておらず、オミクロン株の12歳未満のお子さんの感染拡大を少し懸念しています。

オミクロン株への感染予防効果は、従来型のワクチンにはほとんどないため、3回目接種をしても感染拡大を防ぐのは難しいです。

難しいところですが、お子さんがいる場合は流行の状況によって、3回目の接種をするかどうかを判断するのが、現状では最善と言えます。

インフルエンザのワクチンは問題なく、これまで通り打つことをおすすめします。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属