急な暑さで熱中症多発!予防法は?#626

全国的に猛暑日が多発

2022年も半分を終えて7月に入りましたが、すでに全国的に猛暑日が相次いでいます。

特に関東圏では30℃を記録した地点が連日数多く、一部では40℃となったところもあります。

今回は今からしっかりと注意したい、熱中症についてのお話しです。

症状は三段階

熱中症の症状は三段階に分けられ、一度が最も軽いもので、熱によるめまいや立ちくらみ、違和感があります。

一度はいわば熱中症のサインとなる症状で、この時にすぐに日陰などに入って水分をとれば、問題はありません。

一度の時点でこむら返り、熱けいれんが起こることもありますので、注意してください。

二度が一度の症状に加えて、より重いだるさや頭痛、吐き気と言ったことが起き、これらは熱疲労や熱疲弊という言い方になることもあります。

ただ、こうしただるさや頭痛、吐き気と言った症状は熱中症以外でも起こり得るため、判別が難しい部分もあります。

単純に温度が高く、暑い環境に居たところでこうした症状が起きれば、それは熱中症によるものと思って差し支えありません。

これは日差しの強い屋外に限ったことではなく、キッチンや居間でも、換気や水分補給が不十分であれば、熱中症になる恐れは充分あります。

最後の三度は、いわば「倒れた」ような状態で、意識がもうろうとして呼びかけにも上手く応じられないほど、体の自由も利かないレベルの状態です。

この場合は自力での処置はできないため、すぐに救急車を呼んでください。

いずれにしても、温度の高いところに長時間居た時に違和感を感じた場合は熱中症と判断して、すぐに水分補給をして涼しい場所に移動して体温を下げてください。

ちなみに熱中症に関しては、医療健康ナビなくすりーなでも度々取り上げており、直近では526回の配信でマスク社会での熱中症対策について取り上げ、熱中症についての基本的なことであれば321回でお話ししていますので、是非併せてご覧いただければと思います。

飲む物・冷やす場所

熱中症の疑いがあるときは、出来れば経口補水液を飲むのが望ましいです。

冷やす場所は首筋やわきの下、下半身では鼠径部が血流が多いため、そういった部分を冷やすところで全身に冷えた血液が行き渡り、効率よく体温が下がっていきます。

屋外であれば日陰に移動をして、屋内であれば換気をきちんとして、風を送って室内の気温を下げるようにしてください。

自力で処置をしてもあまり回復しない場合や、熱疲労や熱疲弊が重くて症状が改善しない場合は、無理せずに一度お医者さんに相談して処置してもらってください。

熱中症とマスクの関連

熱中症とマスクの関連性ですが、実はマスクをしていても熱中症にかかりやすいというデータはありません。

マスクをすると、口の周りの温度だけで言うと、マスクの有無でおよそ1.78℃上がることが分かっています。

体感では割と暑く感じるのは確かですが、「深部体温」はおよそ0.02℃程しか上がらないというデータがあります。

熱中症は体の中に熱がこもり、深部体温が上がることで起こるものですので、マスクをすることで熱中症のリスクが上がるとは言えないのです。

ただ一方で、マスクをつけるこによる息苦しさや口の周りの暑さの不快感、ストレスは当然かかり、夏場のマスクが体の負担になることも間違いありません。

また小さいお子さんは、呼吸に使う筋肉が発達していないため、マスクをつけることが大人よりも負担になります。

人との会話時や人ごみの中ではマスクをつけて、屋外で人との距離がとれているときはマスクを外す、という風にこまめに使い分けて行きましょう。

水分・塩分補給をこまめに行うこと

熱中症予防は、まず何よりも「こまめな水分補給」が大切です。

ポイントはこまめに摂ることと、カフェインのない飲み物を飲むことです。

具体的には、まず頻度で言うと1回でコップ1杯程度の水分を、1日8回摂るのが望ましいとされています。

これは喉が渇いていなくても、そして特に多く汗をかいていなくても、時間でこまめに補給することが大切です。

年齢が上がっていくほどに体の水分は失われやすくなり、知らず知らずのうちに脱水が進むため、時間で水分補給することが非常に重要です。

塩分も同様ですが、これは単純に「塩」というわけではなく、汗によってミネラル類が失われているということですので、もし外仕事や運動などで激しく汗をかいた場合はスポーツドリンクがあると非常に便利です。

激しい運動はせずに、外に長時間居ることで汗をかいた場合だと、市販されているスポーツドリンクは糖分が多く糖尿病のリスクが高まるため、水分補給には不向きです。

その時は普通のではなく糖質オフのスポーツドリンクを飲むとか、水と塩タブレット同時にとるなどして補給していってください。

そして、飲み物は必ず、カフェインが入っていないものを飲んでください。

カフェインには利尿作用があるため、水分が余分に失われることにつながります。

コーヒーやカフェインの入ったエナジードリンクはもちろん、緑茶もカフェインが入っているため、夏場の水分補給には向いていません。

できれば普通のお水で、お茶であれば麦茶やほうじ茶にはカフェインが入っていないので、そういったものを選ぶのがベストです。

ちなみに経口補水液は、普段の水分補給では体が受け付けないように調整されているため飲みにくい上に、無理やり飲むとお腹を壊す一因になりますので、あくまでも熱中症の症状が出ているとき、水分補給を忘れて熱中症の疑いがあるというときに飲むようにしてください。

最後に、熱中症には関係ありませんが、屋外ではマスクを外すことが推奨され始め、またワクチンによる予防効果も、期間で見ると全体的に落ちてきていると言えます。

その上、全国の感染者数もわずかにですが、上昇に転じつつあります。

ここで今一度、食事前の手洗いや手指消毒、換気、人との距離をとると言ったことをしっかりと徹底して、引き続き感染対策を続けてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属