日常の疲労対策!内臓疲労編#638

内臓の疲れ

これまで肉体、精神、神経と、疲労についてお話ししてきましたが、今回は疲労シリーズラストとなる「内臓疲労」についてです。

肉体疲労は体の異常を、精神的疲労はストレスのかかり過ぎを、神経的疲労は脳の疲れを示すサイン、となりますが、今回の内臓疲労はこれらとは違い、厳密に言うと疲労としては定義されていません。

特定の内臓を使いすぎてしまってバランスが崩れ、健康に悪影響が出た状態のことを内臓疲労と言います。

エネルギーが不足することで働きが落ちているのではなく、エネルギーは足りていても酷使することで働きが悪くなっている状態のことを指します。

内臓疲労の代表的なのが「肝臓」の疲労と、「腸」の疲労です。

今回は内臓の中でも肝臓と腸にフォーカスして、お伝えしていきたいと思います。

肝臓の疲労・腸の疲労

まず始めに、肝臓には沢山の働きがあります。アルコールなどの身体にとって毒となる物を無毒に変えること。エネルギーとなるグリコーゲンを貯めておくこと。また、ATPというエネルギーの元となる物質を作ること等です。

肝臓を毎日のアルコールなどで使いすぎてしまうと、他の肝臓の働きに影響が出てしまいます。

その1つが、だるさや倦怠感で、これはATPを作る働きが充分に行えないからです。

肝炎など肝臓に病気が起こった場合は、そのような症状が一気に強まり、命の危険にも及んできます。

次に「腸」についてですが、腸の疲労は厳密には使い過ぎとは違いますが、何らかの原因で善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れた状態が、腸の疲労と言えます。

腸内細菌のバランスが崩れると、腹痛や便秘や下痢、またおならの臭いが強まるなどの症状が現れます。

肝臓も腸も、休ませて回復を

肝臓疲労、腸疲労の対策ですが、どちらも「休ませる」ことが可能です。

まず肝臓は有名ですが「休肝日」を設けて、お酒を飲まない日を作るなど、肝臓をいたわる日を作ることで、基本的にはすぐに回復していきます。

元々肝臓は回復が早い臓器の一つで、1日使い過ぎないように意識して、栄養をとるだけで充分元に戻ります。

特にお肉のたんぱく質、アミノ酸は肝臓にとって最大の栄養源となるため、普段から意識してとるようにしてください。

次に腸ですが、軽い断食、ファスティングをするのが効果的です。

ファスティングとまでは行かずに、1日24時間のうちの8時間の間に、3食を食べてそれ以外の時間はお水だけで過ごす、というのでも腸にとっては休息になります。

1日の中で行う、プチ断食のようなもので、これを数日続けるのも腸の疲労が取れていきます。

生活リズム的に難しい場合は、数日間消化に良いものを多く食べる、消化に良いものだけを食べて過ごしてみるのも効果的です。

栄養は充分取りつつも、脂ものを避けておかゆや、やわらかく煮たうどんで炭水化物をとっていきます。

大腸内視鏡などの検査の前には、消化の良い食事をとるように、と言われることがあると思いますが、それは胃腸の中をきれいに、見やすくするためです。

可能であれば普段から週に1回ぐらいの頻度で、消化に良いものを食べるようにすると、胃腸に疲労がたまりにくく、働きが健康になるのでおすすめです。

ちなみに、乳製品や発酵食品はもちろん腸にとって最高の栄養源となるので、是非普段から意識してとっていきましょう。

その他だと、お腹を冷やさずに温めるとか、外から揉んで腸マッサージをするのも有効です。

内臓疲労に効くサプリメント・お薬

最後に、内臓疲労に効くサプリメントやお薬ですが、肝臓や腸に効くサプリメントや栄養剤は様々あります。

まず内臓ではアミノ酸系のサプリメントが特に便利で、有名なのがオルニチンやアルギニン、BCAA、肝臓加水分解物などで、これらが入ったものが様々販売されています。

ちなみに、ウコンはお酒のお供とも言える程メジャーな存在になりましたが、これは肝臓の機能を高める働きがあり、お酒を飲む前に摂取することでアルコールの分解が早まるのです。

肝臓の働きを上げるというものですので、特にお酒を飲まない方にとっても役立ちます。

次に腸疲労はやはり、乳酸菌系のものや、ビール酵母のものが挙げられます。

これはいずれも発酵成分で出来たもので、腸に効くサプリメントとして販売されています。

次に医療用医薬品では、肝臓へのアミノ酸系のお薬としてリーバクト、肝臓機能を上げるお薬としてグリチロン、リバオールと言ったものがあります。

腸はいわゆる「整腸剤」の医薬品で、乳酸菌は小腸に、ビフィズス菌は大腸に効果があります。

有名なのだとビオフェルミンやミヤBM、ビオスリーがあります。

最後に漢方薬は、肝臓の機能を回復させる働きがあるのが「小柴胡湯(しょうさいことう)」、「大柴胡湯(だいさいことう)」があります。

小柴胡湯は精神的な、イライラする感じもする人におすすめで、大柴胡湯はコレステロール値が高いとか脂肪肝がある人におすすめです。

ただし、小柴胡湯はインターフェロンという医薬品を使っている際には飲めない漢方薬ですので、今飲んでいるお薬がある場合は事前にお医者さんか薬剤師に相談してください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属