医療用の抗原検査キットがネット販売!注意点すべきことは?#639

医療用抗原検査キットのネット販売が開始

先日、医療用抗原検査キットのネット販売が正式に決まりました。

現在販売されている抗原検査キットは研究用と言い、雑貨としてのものですが、今月中に開始されるのが「医療用」の抗原検査キットです。

薬局の管理下という制限はありますが、例えばサイトがamazonであっても、そのキットの出品者が薬局であれば、amazonの決済や配送システムを利用して、医療用の抗原検査キットが購入できるようになる、ということです。

今回はこの抗原検査キットのネット販売解禁のニュースに併せて、今一度PCR検査と抗原検査について、ご紹介していきたいと思います。

PCR検査と抗原検査の違い

簡単におさらいすると、PCR検査は少ないウイルス量でも感知できる検査で、抗原検査は体内にある程度ウイルスがいないとしっかりとした結果が出ない検査、となります。

もう少し詳しく説明すると、感染した可能性があるタイミングからあまり時間が経っていないときは、体内のウイルス量が少ないため、PCR検査の方が高い精度で結果が分かります。

ある程度時間が経って、体内のウイルス量が多い場合は、抗原検査でも高い精度で結果が分かりますが、当然PCR検査でも結果は分かります。

そしてPCR検査は専用の機械にかける必要があるため、検査結果が出るまで時間がかかりますが、抗原検査は早いものだと15分ほど、通常のものだと30分から40分程度でその場で結果が分かるという違いがあります。

抗原検査キット「無料配布」の理由

ちなみに抗原検査キットと言うと、少し前に政府から無料配布案が発表されましたが、これは濃厚接触者や軽く症状がある方の感染を確認するという狙いがあります。

これまで、covid-19の検査はほぼ全て病院で行い、各機関に連絡をする必要がありましたが、抗原検査は手軽に自力での検査ができるため、個人にキットを配布することで感染を確認しやすくする事が出来ます。

この無料配布は各自治体の裁量によって行われており、受け取るまでの手続きが地域ごとで変わっています。

例えば東京都では病院のみで配布しており、神奈川県や大阪府では薬局等を含めた医療機関で配布しているなど、差があります。

ちなみにこの施策にも関連して、当薬局でも行っていますが無料抗原検査というものを実施しているところがあります。

店頭での無料検査は、発熱も無く無症状であるものの、感染に不安があるという方に向けて気軽に、病院では無い場所で検査ができるようになっています。

「医療用」であることをしっかりと確認すること

今回、抗原検査キットのネット販売開始について取り上げましたが、今回話題になっているのは「医療用」の抗原検査キットについてです。

研究用の抗原検査キットはすでに販売されており、安価なものだと1000円以下で売られています。

そういったものは精度が極めて低い上に、陽性となっても公式な記録になりません。

自分の知り合いでも、研究用のキットで陽性となったものの、PCR検査でも抗原検査でも陰性となったという方が居ました。

今後は医療用のキットと混ざって販売されることが予測されますので、必ず、しっかりと確認するようにしてください。

例えばamazonからではなく、薬局が運営している公式サイトから購入するなども一つの手です。

次に、検査のやり方も非常に大切で、やり方を間違うと正しい結果が出ず、例えば唾液を使う検査では、検査前の30分以内に飲食していたら正しい結果は出ません。

鼻のぬぐい液で検査するでは、ぬぐった液を3滴にするか4滴にするかとか、待つ時間は15分から30分の間に見なければならないとか、あるいは30分経過後など、キットごとに使い方や注意事項が変わっているため、使用前には必ず外箱や説明書を熟読して、手順ミスがないように検査をしてください。

ただし、陽性か陰性なのか、最後に出てくる線が出てきた場合は、陽性と判断して大丈夫です。

うっすらと、なんとなく線が出ていそう、ということはなく、線がなんとなく出てるなと判断できれば、そのキットでは陽性となっている証ですので、留意しておいてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属