ワクチン2回目の副反応がきつい人は3回目打つべき?【リスナーの質問】#598

「3回目」接種の副反応

先日コメントにて、2回目接種の時の副反応が強かったため、3回目接種が怖い、と言った内容のものをいただきました。

covid-19のワクチンの副反応の強さはしばしば話題に上がり、3回目接種が滞っている一因でもあります。

今回はこのワクチンについて、今一度最新情報を踏まえつつおさらいしていきたいと思います。

3回目接種の現状・3回目接種後の効果

まず始めに、3回目接種の現在の状況ですが、日本では3回目の接種率が30%を超えたところにあります。

日本では3回目のワクチン接種は、2回目の接種を終えてから6か月経過してから打つ、と定めています。

そして、2回目の接種を終えた人が全体の50%を超えたのが、今から丁度半年ほど前になります。

接種券配布の遅れなど、初期のころにバタついたせいもありますが、20%も差があることになります。

続いてワクチンの効果ですが、もう一つのコメントにて、「3回目を接種した人の方が感染しやすいのでは」といったもの頂きました。これは確かなデータはないため一概には言えません。

ただし、憶測になりますが、高齢者施設などでのクラスターは現在でも全国的に起きており、高齢者の感染者がしばしば突出して確認されることがあり、その影響で、一部地域で「3回目接種をしても感染する、感染しやすい」と見られるケースがあるのかもしれません。

以前からこのワクチンは、感染予防効果においては打った直後から時間と共に低下していきます。

接種直後は60%から70%の予防効果がありますが、4か月ほど経つと30%~40%、6か月経過でほぼゼロになります。

ですので、全体の30%の方しか3回目接種を終えていない現状では、ワクチンによる感染拡大予防は極めて難しくなっています。

重症化予防効果も時間と共に効果は減少していきますが、2回目の接種から半年経過しても45%は残っており、3回目の接種をすると94%まで上がります。

それから10週間、およそ3か月ほど経過しても89%保つことが分かっているため、重症化の予防においては確実に効果が見込めます。

3回目接種後の副反応について

次に、本題となる3回目接種後の副反応についてですが、データ上では2回目の接種後に出るものとそれほど差はありません。

若干違う部分と言えば、接種部分の痛みや関節痛が、2回目よりも3回目の方が強かったという方が5%、発熱や寒気、筋肉痛が2回目より少なかったという方が5%から10%少ないとされています。

ですので、トータルで見るとあまり差は無いと考えても差し支えありません。

ただ当然ながら、中には1回目2回目は副反応が少なくても、3回目の接種で副反応が強く出るというケースや、逆に3回目の接種が一番副反応が少なかった、という事もあります。

これまでの体質や、1回目2回目の経験を踏まえると、接種が怖いということも充分あると思います。

ワクチン副反応の後遺症

もう一つ、最近徐々に話題になり始めているのが、ワクチンを打って出た副反応が残ってしまう、という後遺症です。

特定が難しく、確かな量のデータが集まっていないため何とも言えませんが、世界的に見ても少しずつは上がってきています。

つまり、ワクチンの副反応が後遺症になるというのは、あり得ないことではない、という意味です。

ただ、そもそも副反応の程度は個人差が大きいため、副反応による後遺症だと断定するのは極めて難しく、集めるにしてもかなりの時間がかかることが予想されます。

今後、日本も含め世界的にワクチン接種の回数が上がるにつれて、副反応によって起きた後遺症の報告も上がって来るかと思いますが、現状では極めてまれなケース、と考えて大丈夫です。

重症化予防の観点では、3回目の接種は有効

covid-19においては必ず、ワクチンは打てるのであれば打った方が良い、とお伝えしていますが、3回目は難しい問題になるのも理解できます。

感染予防効果も打った直後では高い上に、重症化予防の効果も上がるため、非常に有効です。

一方で、副反応によって何らかの後遺症が起こるリスクを考えると、何度も打つのは気が引ける、というのも言えます。

ですので、不安がある場合は、まず自分の重症化リスク、感染リスクを考慮するのが最善かと思います。

ワクチンには副反応のリスクがありますが、covid-19には重症化するというリスクと、感染による後遺症が起こるリスクがあります。

例えば、医療現場や介護施設で働いているような方はもとより、他人との接触機会が多い方も、感染リスクは充分あると思われます。

また、生活習慣病や何らかの基礎疾患がある方は、感染した場合に重症化しやすいですので、重症化リスクが高いと思われます。

そういった場合では、ワクチンによる副反応の大きさや後遺症のリスクよりも、感染して重症化するリスクの方が高いと考えられますので、3回目の接種が可能であれば、接種した方が良い、と言えます。

逆に言えば、そういったことが無い場合、一般的な職場や、リモートワークがある程度可能な業種は感染のリスクが低く、また基礎疾患も無く、年齢も比較的若いという方で、2回目の接種も完了しており、なおかつ前2回の副反応が重かったという経験があれば、3回目は打たないという選択も出てきます。

ただ、重ねてになりますが2回目の接種を完了してから数か月経過している現在は、重症化予防の効果もある程度薄くなっており、感染予防効果はほぼ無い状態、となっていることは間違いありません。

そして、無症状であっても、感染した場合は他者に感染する力を持っている可能性があり、無意識のうちに感染を広めることにつながる恐れもあります。

ワクチンと飲み薬は、全体的な感染収束に向かうための非常に大きな要素ですので、やはり可能であれば、打つ方が安全かと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属