ホントに安全?若い世代のワクチン副反応#532

Voicy更新しましたっ!

今回はモデルナ社のcovid-19のワクチンに関する最新情報から、副反応のお話

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モデルナ社のワクチンの最新情報

今回は、新たに分かったcovid-19のワクチンの副反応についてです。

もうすぐモデルナ社のワクチンが、国内で接種が開始されて2か月になります。

そこで具体的に見えてきた副反応など、いくつかの最新情報をまとめていきたいと思います。

モデルナ社特有の副反応の俗称「モデルナアーム」

モデルナ社のワクチンは、公式発表では1回目の接種をしてからおよそ5日から11日ぐらい後に、0.8%程度の割合で、赤くなってかゆみの症状が出る、つまり湿疹が起こるとされていました。

しかし、現時点で各地で上がってきた報告を見ると、0.8%では済まないぐらい多く出ているように見えます。この症状を俗に「モデルナアーム」と呼ばれています。

こうした湿疹は、正式には「遅発性湿疹」と言い、体内に入ってしばらくしてから湿疹が出るということがありますが、この症状がモデルナ社のワクチンにおいて、起こっていると考えられます。

そしてこの遅発性湿疹は、ワクチンの取扱説明書となる添付文書に明記されています。

まれな副反応ではなく、添付文書にも記載されているこの症状が起こっているとしたら、およそ2%から4%ほどの割合で起こるため、公式発表よりも多く報告されることはあり得ます。

この原因は不明ですが、現時点での統計上では若い女性の方だと、モデルナアームになりやすい傾向があるようです。

また、ファイザー社のワクチンでも赤みや湿疹が出ることはありますが、モデルナ社のと比べると頻度は圧倒的に少ないようです。

この湿疹はあくまでも普通の肌荒れのようなもので、特別大きな問題は報告されていません。

ですので、放っておいても治るレベルで、気になるようであればかゆみ止めを使ったり、冷やしておけば問題なく対処できます。

湿疹が出たり、湿疹を治すために薬を使ったりして、ワクチンの効果に影響が出ることはありません。

特有の痛みについて

ファイザー社のも、モデルナ社のも、ワクチンは痛みが強い、と言われていますが、この痛みと副反応は別物で仕組みが違います。

ワクチンを打った後、じんわりと痛みが強まるのは、まずワクチンを打った部位から細胞に徐々に取り込まれていきます。

その時、covid-19のウイルスの一部を体内で作りだしていますので、それを体の免疫機能が異物と察知して、戦おうとしているために痛みが出ています。

またどちらも筋肉注射で、部位は三角筋という腕を上げる筋肉の位置に注射します。その部分が損傷して炎症となりますので、腕を上げると激しく痛みが出ます。

心筋炎、筋膜炎について

特有の副反応と言えばもう一つ、若い世代に多いとされている「心筋炎」「筋膜炎」の症状です。

海外ではすでに多数の報告がされていて、日本でも先日厚労省が正式に発表しています。

これは、日本ではファイザー社のワクチンでおよそ100万人につき0.7人モデルナ社のワクチンでおよそ100万人につき1.06人、海外では100万人あたり12.6人の方に起きるとされています。

日本人以外の方のほうが、圧倒的に起きやすい傾向と思われがちですが、これは前述のように若い世代に多い症状ですので、日本ではまだ若い世代への接種が進んでいないという現状があり、単純に接種数が少ないためと考えられます。

ですので、これから64歳以下の方への接種が始まる予定ですので、おそらくは海外の傾向と同じ程度に近づいていくことが予想されます。

心筋炎や筋膜炎という症状は、2回目の接種後に出てくることが多く、胸の痛み、脈の乱れといった症状がありますので、もし症状を感じたらお医者さんに受診していただければ大丈夫です。

これは特に重大なものではなく、軽度なもので、発症例の多い海外でも、これによって亡くなった事例は一例もありません。

結局、若い世代の副反応は大丈夫なの?

若い女性に多いとされるモデルナアーム、そして男女問わず若い方に起こりやすい心筋炎、筋膜炎と、若い世代特有の副反応がはっきりと見えてきた現在、「本当に打って大丈夫なのか」ということは確かに不安だと思います。

また「打ちたくない」という気持ちも十分わかります。

こうしたことについては、これまでも度々触れていて、そして本格的に始まる64歳以下の方への接種開始にも併せて、これからも都度取り上げていくかと思いますが、やはり「打てるのであれば、打った方が良い」ということは凄く思います。

今回取り上げた心筋炎について言うと、海外では100万人接種した人がいた場合そのうちの12.6人の割合で心筋炎の症状が起きる、ということになります。

心筋炎はcovid-19に感染した場合でも症状の一つとして起きますが、その場合は感染して発症した人のうち、2.3%の割合で心筋炎が起きています。

比べ方が違うのでいまいち分かりにくいですが、つまり、心筋炎が起こるかどうかのリスクだけで言えば、およそ1800倍の違いがあることになります。

そして言うまでもなく、covid-19に感染して、発症するということは肺炎の症状が起きたり、ウイルスが消えても後遺症が起こりえることは、すでに確認されています。

重症化のリスクが極めて高い高齢者に比べると、若年層がワクチンを打つメリットが薄い、というのも確かなことですが、心筋炎一つで比べても、1800倍ものリスクが変わる、ということを知っていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属