日常の疲労対策!神経的疲労編#637

神経が感じる疲労

前々回は肉体疲労、前回は精神疲労についてお話ししましたが、今回取り上げるのは「神経的疲労」です。

肉体疲労は体の異常を知らせるサインの一つ、精神疲労は精神的なストレスから来る疲れと、いずれも分かりやすいかと思いますが、今回は「神経」の疲労になります。

神経的疲労は、一言で言えば「集中しすぎて疲れた状態」のことです。

今回はこの神経の疲労について触れて行きたいと思います。

脳が感じる「疲れ」

神経的疲労の最も代表的なものが、小さい作業を続けたり、画面を凝視することで起きる「眼精疲労」です。

いわば「脳が感じる疲れ」とも言えるタイプの疲労で、眼精疲労がたまると集中力の低下や、頭痛や肩こりと言った具体的な症状になって現れてきます。

眼精疲労の対策は文字通り、眼に対して行うこと全般が該当します。

眼を休ませるとか、眼の血流を良くして疲労物質を流すと言ったことをします。

これは自分もよくしますが、まぶたの上から両眼を全体的に覆って温めると、全体的に血流が良くなって疲労が大きくとれていきます。

温める以外でも、軽く目頭や眼の周りを揉んでマッサージするだけでも疲労物質が流れて行くのでお勧めです。

ブルーライトカットは眼精疲労にも有効

前回の精神的疲労や睡眠の回などでしばしば「ブルーライトカット」について触れていますが、眼から入るブルーライトを抑えるのは眼精疲労に対しても効果的です。

スマホやテレビ、パソコンモニターから出る光や、LEDのライトから出るブルーライトは非常に刺激が強く、自覚は無くても眼の神経にとっては極めて大きな負担になっているのです。

ですので、可能であればブルーライトカットのフィルムを画面に張ったり、作業の際にはメガネをかけると、眼精疲労を抑えられるので試してみてください。

ちなみに、前回前々回と、疲労回復には睡眠が有効とお伝えしましたが、眼精疲労にももちろん睡眠は効果的な回復方法です。

睡眠ではなくとも、何もせずに落ち着いて遠くを見たり、画面などから目を離すだけで眼が休むため、神経的疲労の回復に直結します。

ポイントとしては「何も考えない」ということで、特に考え事をせずに過ごすだけで、脳の疲れは取れていきます。

前項のマッサージなどと併せて、短くても良いので休む時間をとるようにするのがベストです。

神経的疲労に効果的な栄養

この神経的疲労をとるのに効果的な栄養素は、オメガ3脂肪酸やアントシアニンがあります。

オメガ3脂肪酸は以前のダイエットの回などで度々出て来た、DHAやEPA、αリノレン酸という脂質のことで、アントシアニンはブルーベリー系の、いわゆる「目に良い」とされるサプリメントに良く含まれています。

ビタミンだとビタミンCやビタミンB6、B12が良いとされており、特にビタミンB群は神経を治してくれるような作用があり、眼の疲れを大幅に軽減する働きができます。

ちなみに、ブルーベリー系のサプリメントの大半は「目に良い」といううたい文句がされていますが、これはアントシアニンやルテイン、アスタキサンチンと言った成分が豊富で、そのいずれもが眼の疲労に効果があるためです。

またオメガ3脂肪酸は血流を良くする働きがあるため、眼の疲れや脳の疲れをとるのにも効果があるということです。

その他だと、ご存知の方も多いと思いますが脳の栄養にはブドウ糖が非常に効率が良く、眼精疲労の回復にも役立ちます。

さらに最近ではイチョウ葉のエキスを主成分としたものがありますが、これは特に脳の血流を良くする働きがあり、集中力を高める作用があるためです。

医薬品ではノイロビタンやビタノイリン、アリナミンなどがおすすめです。

これらはいずれもビタミンB群の栄養剤で、前述のように全般的に疲労回復ができ、神経の修復にも使う医療用のお薬ですので効果が高いです。

漢方薬では、眼精疲労に特に良いのが「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」です。

前回などでも出てきましたが、食欲があってご飯が食べられている状態であれば、十全大補湯は特に眼精疲労の回復に効果があるのでおすすめです。

あと、疲れ目やかすみ目に効果がある漢方薬として、「杞菊地黄丸(こぎぐじおうがん)」というのがあり、これは市販のみの漢方薬で医薬品では使われていないものになります。

神経的疲労、眼精疲労にも効果のある漢方薬はありますので、興味があれば是非調べてみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属