体が感じる「疲労」の正体
8月に入り、夏の暑さも全国的に増してきましたが、今回は趣向を変えて「疲労」に関するお話しです。
疲労は、痛みやかゆみと同じく体が出すサインの一つになります。
痛みやかゆみは、傷や炎症などの何らかの異常を示すサインですが、疲労は「エネルギー不足」を示すサインとなります。
つまり、疲労を感じている状態が続くと、簡単に言えば動けなくなるということです。
今回は疲労の中でも一般的な「肉体疲労」について、詳しく掘り下げていきます。
エネルギーが不足して疲労物質が溜まる
肉体疲労とは、エネルギーが不足して体内に疲労物質が溜まっている状態のことを指します。
体を動かし過ぎて筋肉に疲労物質が溜まるとか、同じ姿勢で居続けることで血液が悪くなり、疲労物質が溜まることで起きます。
また、紫外線を浴びることで発生する活性酸素によっても疲労物質が出ます。
さらには風邪などが治った直後、いわゆる病み上がりのスッキリしない感覚も、エネルギー不足の表れとなります。
肉体疲労の症状としては、だるさや倦怠感はもちろん、頭痛や肩こり、腰痛など一般的なものが大半です。
そして肉体疲労を解消する一番の対処法は「睡眠」です。
まずは「寝る」ことが大切
疲労回復の特効とも言える対策が「睡眠」です。
原因としてはエネルギー不足が大きいですが、症状が出ている場合はまず安静にして休むことが、最大の疲労回復になります。
次に、お風呂に入ったり軽くマッサージをするとか、逆にラジオ体操のように体を動かして血流を促すことで、疲労物質を流すことも回復が早まるのでおすすめです。
ただ当然、激しい運動は疲労物質を分泌させる原因になりますので、疲労回復のための運動はあくまでもゆっくりと、軽い有酸素運動にとどめておくのがベストです。
食事についてですが、有名なのが豚肉やニンニクですが、これはビタミンB1が多く含まれているためです。
ビタミンB1はエネルギーの生成を促す働きがあり、疲労回復の効率が非常に良くなるのです。
他のお肉では、鶏肉にはイミダペプチドという物質があり、これは自律神経に働きかけて疲労物質を取り除いていくということができ、ビタミンとは違ったアプローチから疲労回復ができます。
その他の対策では、前述のように紫外線が疲労の一因となるため、日傘や日焼け止めクリームと言った製品を使って紫外線対策をするのも、疲労予防につながります。
サプリでビタミン補給が便利
最後に、疲労回復に便利なサプリ、お薬だと、ビタミンB群を主成分とするサプリメントがおすすめです。
医療用医薬品で言うとノイロビタン、ビタノイリンなどがあります。
活性酸素を除去したり免疫力という意味では、ビタミンCももちろん効果的です。
他には、ビタミンEは血液の流れを良くする効果が高く、疲労物質を流す働きが期待できるため、ビタミンEのサプリも便利です。
医療用医薬品で言うとガンマリオザノール、アルファトコフェロールや、ユビデカレノンというものがあります。
市販されていてテレビCMでもおなじみの「コエンザイムQ10」という製品は、ユビデカレノンと同じ成分で出来ており、疲労回復に効果的です。
さらに、ATP腸溶錠という、エネルギーを体内で生み出して、疲労をとっていくという仕組みのお薬もあります。
そして肩こりや腰痛など、筋肉に何らかの症状が出ている場合は、それを解消するお薬を使うのも一つです。
エペリゾンやクロルフェネシンカルバミン錠エチルというお薬は、筋肉の緊張やコリをほぐすお薬で、症状を直接緩和できます。
また痛み止めで有名なロキソプロフェン、イブプロフェンも肩こりや腰痛、頭痛と言った痛み全般に効果があるので便利です。
漢方薬では、食欲はあるものの疲れがとれないとか、病み上がりでご飯を食べてもだるさがいまいち治らないような時には「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」がおすすめです。
食欲もない場合は「六君子湯(りっくんしとう)」、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」が便利です。
ちなみに、栄養ドリンクやエナジードリンクはビタミン類と同時に糖質やカフェインが入っていることが多く、これは目覚まし的に、一時的に元気を出すためのアイテムとしては有用ですが疲労回復には不向きです。
どうしても最後のひと踏ん張り、ひと集中が必要な際などに使うのが最適と思います。
症状や生活リズムに併せて、お薬やサプリメントを使い分けていただければと思います。