塗り薬・貼り薬!効果的な使い方は?#654

皮膚のトラブルに欠かせない「塗り薬」「貼り薬」

全国的に冷え始め、乾燥してきた今、お肌のトラブルで来られる方が増えてきました。

お肌のトラブルと言えば、塗り薬貼り薬で対処することが多いと思います。

塗り薬や貼り薬は、皮膚科の病院であれば処方時にしっかりと使い方を説明することもありますが、大きな病院などではあまり丁寧に説明しないこともあり、きちんとした使い方が出来ていないことが多いお薬の一つです。

今回は、今こそしっかりと知っておきたい、塗り薬と貼り薬の使い方について、詳しくまとめて行きます。

軟膏、クリーム、ローションの違い

始めに塗り薬についてですが、大きく分けて3種類あります。軟膏、クリーム、ローションの3つです。

ローションは外用液という形のもありますが、いずれも含まれている成分は同じで、使用感や皮膚の保護力が違うという特徴があります。

例えば、ステロイドのお薬の一つ、ベタメタゾン酪酸プロピオン酸エステル軟膏というのがありますが、これと同じ成分で軟膏以外の製品、クリームやローションになっている製品もある、ということです。

順に見て行くと、最もお肌への刺激が少なく、使いやすいのは「軟膏」です。

いわゆる肌荒れやカサつき、湿疹など頻繁に起こるトラブルにはまず軟膏が最適です。

ただし保護する力が強い分、ベタベタとするため、使用感としてはあまり良くないという点があります。

軟膏よりもサラッとしていて、スッキリと使えるのがローションです。

軟膏は付けた後に服を着たり物を触ったりすると、それに付着することもありますが、ローションはサラッとして吸収も早く、乾きやすいためそういったことがほとんどありません。

ただしその分刺激が強いお薬が多く、肌荒れには使いにくかったり、皮膚の弱いところにはそもそも付けられないという事も多いです。

クリームは軟膏とローションの中間のようなタイプで、夏にできるあせもなどの症状に対して非常に効果的です。

この3種類は使う場所によっても最適なものが変わり、例えばかゆみに効くという塗り薬でも、腕などの肌は軟膏が効きますが、頭皮のかゆみには軟膏では皮膚まで上手く届かないためローションタイプが大半です。

痛み止めの貼り薬・塗り薬

次に、特に種類が豊富なのが痛み止めです。

痛み止めとして使う貼り薬、塗り薬も様々あり、昔ながらの湿布はもちろん、軟膏の痛み止めや、スティックのりのような硬めの塗り薬、またテープ状やゲル状のものなど、非常にたくさんの種類があります。

これも、成分が同じであれば、タイプが違っても効果は変わりません。

例えばロキソニンを使用した貼り薬は、ロキソニンテープやロキソニンゲルなどがありますが、いずれも普通のロキソニンと同じ痛み止めの効果があります。

痛み止めの場合は、使用箇所によって使い分けることが多く、例えば関節の部分には湿布が不向きなため、塗り薬で痛みを和らげていくケースが大半です。

ちなみに、痛み止めの塗り薬は、一昔前には「患部によくすり込むように」と言われていましたが、これは「塗擦剤(とさつざい)」という、すり込んで塗らないと効果が薄い塗り薬があったためです。

現在流通している痛み止めの塗り薬では、一部ではしっかりとすり込んで使うものもありますが、基本的にはすり込まずとも、普通に軽く塗り広げるだけで充分効果が出るお薬が多いです。

痛み止めの貼り薬についてですが、湿布の中に「冷湿布」と「温湿布」という種類があると思いますが、これは貼ったときの感触が冷たいか温かいかの違いで、実際に冷やしたり温めたりする効果はありません。

ちなみに、実際に患部を冷やすか温めるかは、起きている痛みの種類によって変わります。

簡単に言うと、捻挫や打撲などのケガで炎症が起きている場合は冷やして炎症を鎮める方が良いですが、腰痛や肩こりなど血流の悪さから来ている痛みは、温めて血液の流れを良くする方が痛みが取れて行きます。

塗り薬を使う量

最後に、塗り薬は一回にどれだけ塗るかが意外と難しいです。

べたつくのを嫌がったり、使いすぎると嫌だからといって、少なく使うと効果が薄くなることはよくあると思います。

薬の種類や症状にもよるため、かなり難しい部分もありますが、基本的には、塗った表面が光って見える程度は塗った方が良いです。

お薬で表面が光って見える程度というと結構な量だと思いますが、実は厚めに塗る分には問題ないどころか、それぐらいは塗った方が良いと言えるレベルなのです。

厚くたくさん塗っても、皮膚に吸収されるお薬の量は決まっており、塗り過ぎて副作用が出るという事はありません。

むしろ薄く塗る方が効果が出ず、使う意味が無いため、しっかりと塗る方が良いです。

もっと具体的に言うと、軟膏やクリームの場合では、人差し指第一関節の長さの分の量を、チューブから出して塗り広げるのが目安、とされています。

お薬の種類によっても違うため一概には言えませんが、長さとしてはそれぐらいの量があった方がおすすめです。

ローションの場合は、直径で1円玉サイズの量を手のひらにとって塗り広げるのがベストです。

薬によって変わって来ることもあるので、不安があれば是非お医者さんや近くの薬剤師まで相談してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属