巷で話題の「コオロギ食」
最近、巷で話題になっているのが「コオロギ」を使った食糧です。
少し前のコメントでもコオロギにまつわるものを頂き、SNSやニュースサイトでも特に頻繁に取り上げられていますが、この背景にあるのが食糧問題です。
世界人口は依然として右肩上がりで増えて行っている最中にあり、2050年には100億人に迫る見通しとも言われています。
その時、人間の体にとって欠かせない、牛肉や鶏肉などの動物性タンパク質が完全に不足するとされ、その対策として昆虫食にフォーカスが当てられています。
そこで日本で注目されたのが「コオロギ」です。
コオロギは全体の60%から70%がタンパク質で、鶏肉だとタンパク質は全体の20%しか無いため、タンパク質補給という点で見ると割合が良いという点があります。
今回は話題を集めるコオロギ食について、現時点での情報をもとにまとめて行きたいと思います。
コオロギのメリットデメリット
コオロギ食はタンパク質にも優れますが、他の成分も豊富で、鉄分やカルシウム、ミネラルも多く、エビに近いとも一部では言われているほどです。
さらに飼育のためのエサも少なく、さらに鶏や牛と違い室内で簡単に育てられるのもメリットの一つと言えます。
食べられるまで育つのは、およそ45日から60日ほどとサイクルが短く、単純効率だけで言うと鶏や牛よりも良いという点もあります。
逆にデメリットとしては、まず単純に現時点だとコストが高いという点があります。
今後は安価に生産されていく可能性はありますが、現状だと需要が無いという事もあるため、いわば嗜好品のような意味合いがあるためコストとしてはかなりかかります。
次に問題となるのがアレルギーです。コオロギのタンパク質は、通常食べることのない動物性タンパク質なため、何らかのアレルギーが出て来る可能性があります。
さらに実際、エビやカニに含まれるアレルギー物質がコオロギに含まれていることは明らかなため、甲殻類アレルギーがある方は食べられない可能性もあります。
コオロギは中国でも食べられていない?
先日頂いたコメントで「中国でも体には毒なので食べないそうです」と頂きましたが、これは実際に漢方の古典にはコオロギに毒があると記載されており、妊婦さんには食べさせないように、という注意書きまでされています。
この理由としてはコオロギは雑食で、その地域にある食べ物や風土によってコオロギの中に含まれる栄養素が変わり、人間にとって毒となる成分を含むことがあるためです。
ですので、今後食用としてコオロギが飼育生産されるとしたら、きちんと飼料を管理することで、毒を含まないように調整できるため、毒が含まれるという事はおそらくですが無いと思われます。
背景にある日本の食糧問題
現状としては、先述のように単なる嗜好品の一つで、生産体制もまだ整っておらず、れっきとした「食糧」の一つ、というものにはなっていません。
ただ、日本を含めた世界中で、食糧難という問題は現実味を帯びて迎えて来ているのは事実としてあります。
実際にパンに使う小麦の値段が世界情勢の問題などによって急激に値上がりしているように、パンや米と言った主食の値段が今より遥かに上がる可能性はあります。
そして併せて鶏や牛、豚と言ったものも、今よりも何倍に高価になり、タンパク質を安価に摂るためには昆虫食しかなくなる、という可能性もゼロではありません。
個人的にはやはり、現状だとコオロギ食は食べたくないですが、今後改良が重ねられて味が整ったり、原料がコオロギで粉末を使った食べ物などが出てきて、タンパク質の補給源として有用なものがあれば食べるかもしれません。
そして、少し話はそれますがタンパク質以外にも日本の食糧問題は様々あり、野菜や生乳の廃棄と言ったフードロス問題、水産資源の管理など、改善しなければならない部分は多岐にわたって存在しています。
今後のタンパク源の議論も大切ですが、現状のフードロス問題も含めて、解決に向けて進めて行って欲しいと思います。