シミに効く薬って有るの?#690

シミを消す「お薬」

今回はこれまでと趣向をガラッと変えて、「シミ」にまつわるお話しです。

先日美容関連の、お肌にまつわるお話しをする機会があったので、今回取り上げてみたいと思います。

だいたい30代から40代以降の女性にとって、大きな悩みの種となりやすく、対策のための製品は数多くありますが、今回はお薬と言う観点から、シミについて詳しく掘り下げていきます。

シミができる仕組み

始めに、なぜお肌にシミができるのか、平たくまとめると、色素が皮膚に残ってしまうためです。

毛の根元の部分に「メラノサイト」と言う部分があります。これによって、紫外線が当たることで髪の毛が黒くなったり、日焼けしてお肌が黒くなるという影響が出ます。

紫外線は人間にとって必要ですが、お肌に刺激が強すぎるため、ダメージを軽減するためにメラノサイトが働きます。

紫外線を浴びすぎることでその部分が黒くなり、まさに「焼けた」状態になりますが、焼けたとしてもターンオーバーと言う働きにより、皮膚の細胞が入れ替わり、きれいに色が落ちて行きます。

期間で言うとおよそ6週間ほどで入れ替わりますが、偏った食生活や睡眠不足、重いストレスのような生活習慣の乱れによってターンオーバーが上手くできなくなり、色素の排出が遅くなる事があります。

その結果、黒い色素が一部分にずっと残ってしまう、という事が起きます。これがいわゆる「シミ」になります。

これは生活習慣の乱れ以外にも、お風呂などの際に皮膚を不必要にこすりすぎて、ダメージになることでも起こります。

ちなみに、そばかすもシミの一つですが、そばかすは紫外線などの外部からのダメージよりも、遺伝的な原因の方が大きいため、若いうちから出やすいという説があります。

お薬でシミを消す

今回の本題となる、シミに効くお薬についてですが、一番に挙げられるのが「ハイチオールC」というお薬です。

テレビCMでも度々流れ、ご存知の方も多いともいますが、ハイチオールCはシミに効く成分が一通り入っており、非常に効果が高いお薬と言えます。

まず、ビタミンDやA、Cが多いですが、ビタミンCは色素を作る働きを抑えたり、不必要に濃くなった色素を薄くすると言う働きがあります。

次にLシステインと言う成分があり、これは色素を排出しようとする働きを助ける作用があり、ターンオーバーを整える効果が期待できます。

さらにトラネキサム酸と言う医薬品の成分も含まれており、これもビタミンCと同様に色素を作る働きを抑える作用があります。

ただ、トラネキサム酸はのどの痛みを抑える働きもあるため、風邪薬にも含まれることがあり、コロナで需要が高まっている現在、美肌や美容用の方には生産が追い付いていない現状があるため、ハイチオールC自体も品薄になってきているので注意してください。

お薬以外だと、美容整形外科や皮膚科のお医者さんでシミ消しができるところもあります。

レーザーを用いたシミ消しは有名かと思いますが、レーザーによってシミを分解して消す以外にも、お肌のターンオーバーを早めて色素を排出させるような、ケミカルピーリングという手法などもあり、様々な角度からシミ消しができます。

紫外線対策をしてシミ予防を

最後にシミ予防についてですが、一番簡単にできて重要になるのが紫外線対策です。

シミの一番の原因はやはり紫外線ですので、例えば日焼け止めをすることはもちろん、日傘や帽子、長袖などを活用して紫外線が直接お肌に当たらないようにするのも効果的なシミ予防になります。

また、冬場は夏場よりも紫外線量が少なく、対策がおろそかになりがちですが、顔の皮膚は露出しているため、気になるのであればやはりしっかりと対策していくことが確実に予防に繋がります。

その次に、生活習慣を整えてきちんと睡眠をとるようにするとか、ビタミン類やアミノ酸が不足しないように栄養を取っていくという事を意識してください。

特にアミノ酸、タンパク質はお肌の素となる栄養素となり、アミノ酸が不足するとシミができるのはもとより、お肌が荒れやすくなることにも繋がります。

睡眠をとって自律神経を安定させる

生活習慣では睡眠が重要で、睡眠が少ないとストレスもたまりやすくなり、またお肌のターンオーバーにも影響が出てきます。自律神経の安定にもとても大切ですので、しっかりと睡眠をとってください。

睡眠で一つポイントになるのが、早起きです。

ちなみに早寝早起きという言葉がありますが、順序としては早起きをしたために活動時間が普段よりも前倒しになり、普段よりも早い時間に寝ることになると思います。

ですので、まずは早起きをして、そして普段よりも早めに寝るようにするのがいいと思います。

そのために効果的なのが、朝起きて一番に好きなことをする、という事です。

好きな音楽をかけたり、起きてすぐに好きなものを食べる、などといったことを寝る前に決めておいて、起きるのを楽しみにすると、意外にすっきりと早起きができるのでぜひ試してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属