薬局で抗原検査が可能に
今回は久々にcovid-19についてのお話です。
ゴールデンウィークが明け、全国的にcovid-19の感染者数が増加傾向にあります。
そして先日から、当薬局なくすりーなにて、covid-19の抗原検査が可能になりましたが、これに併せて「PCR検査はできますか?」と聞かれるようになりました。
PCR検査と抗原検査は全くの別物で、システムも仕組みも違います。
今回は、この二つの検査方法について、今一度まとめて行きます。
PCR検査の仕組み
covid-19感染拡大当初から世界的に用いられていた検査方法が「PCR検査」です。
PCR検査とは、体内にcovid-19の遺伝子があるかどうかを調べる、という検査です。
鼻の奥の粘膜や唾液の中に、covid-19の遺伝子があれば感染していて「陽性」となり、無ければ感染しておらず「陰性」となります。
遺伝子は簡単に言えば、一つの細胞の中に収納されているもので、その中からcovid-19の遺伝子を見つけるという作業をします。
細胞の中にはcovid-19に限らず、様々な遺伝子があるため、そのままの状態で探すのは困難を極めます。
そこで、収納されている遺伝子の量を複製して、増やすことで、covid-19の遺伝子を見つけやすくします。
これに時間がかかり、早いものでは3時間程度で検査結果が出るという手法も出てきましたが、基本的には陽性かどうかが分かるには1日や2日という時間が必要になります。
そして、陰性と分かってから72時間は、その方は陰性として有効、となります。
PCR検査は精度が高いのが特徴ですが、それでも感染したばかりとか、検体のとり方によっては誤差が生まれ、結果が100%正しいとは限らないため注意してください。
抗原検査の仕組み
もう一つの抗原検査は、これはcovid-19の遺伝子ではなく、covid-19のタンパク質を調べるという事をします。
一般的なインフルエンザの検査と同じタイプのもので、鼻の奥の粘膜をとって、およそ15分とか20分ほどで陽性か陰性かが分かります。
最近では鼻の奥の粘膜ではなく、唾液でも同様の検査ができるキットが出始めており、当薬局でも唾液での検査キットを採用して言います。
キットの種類にもよりますが、自分が感染しているかどうかが数十分でわかり、PCR検査よりも遥かに素早い検査ができるのが特徴ですが、その分検査精度はPCR検査よりも落ちます。
また、PCR検査の場合は陰性が72時間有効ですが、抗原検査は検査後から24時間と、時間が短いのも違いの一つとなります。
抗体検査とは
PCR検査、抗原検査は、どちらも現在感染しているかどうかが分かるという検査ですが、もう一つ抗体検査というものがあります。
抗体検査は自分がcovid-19から守る抗体を持っているかどうか、そして現在体の中にある抗体量はどれくらいかを知る検査です。
抗体検査は、まだワクチンが流通していなかったころ、自分が一度感染したことがあるかどうかを調べるなどの目的で使われており、最近ではワクチン接種後にどれくらいの抗体があるかを確認する目的でも行われています。
種類が多く、15分ほどで結果が出るものから1日かけてしっかりと分析するというものもあります。
ちなみに東京都では、PCR検査、抗原検査の二つは5月22日まで都民の方であれば無料で行うことができますが、抗体検査は無料の対象外となっていますので、注意してください。
ワクチン検査パッケージとは
最後に、旅行割引や補助、イベント、帰省といったことに関連して度々、「ワクチン検査パッケージ」という言葉を聞いたことがあると思います。
ワクチン検査パッケージは正確に言うと「日常生活の回復を目的として、2度目のワクチン接種から14日以上経過した方、もしくはPCR検査、抗原検査で陰性と証明された方へ、規制を緩める」という制度のことを指します。
例えば、2度目の接種から14日以上経過した方や有効時間内の陰性証明がある方に対しては、同テーブルで5人以上の飲食が可能だったり、緊急事態宣言時には自粛の対象にしない、というような施策です。
しかし、現在はそこまで厳格には運用されておらず、現状では原則提出として、イベントの主催やお店の責任者の一存で決めるようになっています。
今後、よりスムーズに接種や検査証明ができるシステムが必要になってくるかと思います。