質問よりっ!子宮頸がんワクチンは男もした方がいいの?#307

Voicy更新しましたっ!

今回は、前回にも少し関わる、子宮頸がんワクチンの話

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子宮頸がんワクチンを男性が受ける

前回のコメントで、子宮頸がんワクチンについての事をいただきました。

子宮頸がんワクチンは、個人的には男性も受けた方が良いと思っています。

今回は前回にも少し関連する、子宮頸がんとそのワクチンについてのお伝えしていきます。

子宮頸がんとは

子宮頸がんとは文字通り女性の子宮にできるがんで、現在も年間で1万人近い方がかかっているとされています。

さらにそのうち3割の方が命と落としている、ともされています。

子宮頸がんの最も大きな原因が、HPVというウイルスです。

このウイルスに感染すること自体は全く珍しくなく、海外のデータでは女性の内5割から8割の方は死ぬまでに1度は感染するというもので、感染したとしてもおよそ2年以内には体外へ排出されていく、という特徴があります。

ただし、何らかの原因でウイルスが排出されず、5年や10年という期間保持し続けてしまうと、がんとなってしまうことがあるのです。

子宮頸がんのワクチンとは、このHPVウイルスにかからないようにするためのワクチンなのです。

子宮頸がんワクチンで9割の子宮頸がんが防げる

HPVウイルスにはインフルエンザのようにいくつかの種類があります。

現在日本で承認されているのは、現在主に流行っている2つのウイルスに効くワクチンと、それにプラスもう2種類のウイルスに効くワクチンが承認されています。

後者の4種類のウイルスが防げるワクチンが一番おすすめで、これを使うと9割以上の子宮頸がんが防げるとされています。

海外では9種類のウイルスに効くというものもありますが、日本ではまだ承認されておりません。ただ病院によってはこのワクチンも自費で打てるというところがあります。

このものだと99%防げる、とされています。

ワクチンを打つときに一番注意が必要なのが、ウイルスに感染していない状態で打つ、というものです。

前述したように、ウイルスは一度感染しても大半の場合は外へ排出されて行きますので、ワクチンを打つときは感染していない時に2回か3回ほど打って、確実に効果を得るのがベストです。

子宮頸がんワクチンのリスク

がんがワクチンで防げるのはかなり画期的なことですが、たまに副作用についてのニュースがあると思います。

例えば強い痛みがずっと続くとか、車いす生活になってしまったなどというようなことがありますが、これらは子宮頸がんワクチンとは無関係、と結論付けられました。

こうしたことは、頻度で言うとおよそ10万人に5人の割合で起こるもので、これほどレアなケースだと、機能性身体症状である、という風に断定されました。

機能性身体症状とは、原因が不明でこれらと同じような症状を起こる病が別にあり、ワクチンを打った後にこれが発症してしまった、という可能性が極めて高い、という結論です。

確かに、インフルエンザワクチンなどと同じように、ワクチンを打った後少し熱が出るというような、軽い副作用の報告はあり、認められていますが、長いこと生活に影響を与えるような重大な副作用は、子宮頸がんワクチンには関係が無いと断定されています

その他のデメリットは、一番は「注射の痛み」にあります。

通常、注射と言えば皮下注射で、よくあるちくっとした痛みですが、子宮頸がんワクチンは筋肉注射と言い、筋肉に届くように皮下注射よりもかなり深く刺すため、痛みが非常に強いという特徴があります。

この痛みや不安で意識を失う方もいるため、接種後30分ほどは病院で安静にしておく、という措置もします。

ただそれ以上に、がんを防げるという絶大なメリットがあるので、是非打っておいてください。

そして、今回の本題となる「男性が子宮頸がんワクチンを打つ」という事ですが、個人的には打った方が良いと思います。

費用に問題がなければ、男性でも打つべき

ズバリ、子宮頸がんワクチンは男性でも効果があります。

なぜかというと、かなりまれなケースですが、男性でも陰茎がんや肛門がんと言ったがんになることはあり、その原因がHPVウイルスなのです。

言い換えると、HPVウイルスは男性も感染することがある、ということになり、男性が子宮頸がんワクチンを打つことでパートナーとなる女性への感染予防にも大いに役立つ、ということがあります。

しかし一番のデメリットがその費用で、1回3万円ほどで、2回3回と打つとワクチンだけで9万円程の負担がかかります。

そもそも男性は子宮頸がんそのものとは関係が無いため、国の補助もなく、自己負担となるので、費用対効果で考えると薄いですが、がんのリスクを少しでも減らすためには効果的ですので、検討してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属